ビアンカの  GOING MY WAY ♪

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フランスが夢見た日本

2008-07-28 | art/exhibit/museum

 
連日の蒸し暑さで行動範囲が狭まり、かといって家事も全く捗らず、何もかもやる気が失せていましたが、重い腰をすくっとあげて向かった先は上野の山。閉館時間が8時となる金曜日だったからです。
主婦が夕方から外出することは、母には理解出来ないようです。これから絵を見にいってくる、といえば決まって驚き、呆れ、そんなこと自分はした事がない、と言います。
安心して!食事の支度はしてあるし、第一私はパパの召使じゃないんだしね、と、理解に苦しむ親に言っても無駄とは判りながらも正直な言い方しか出来ない自分に肩をすくめながら、じゃぁね~と言い放ち、出かけました。
東京国立博物館の平成館のほうでは「対決・巨匠たちの日本美術」開催中で、入場者はほとんどそちらに向かって歩いて行くのでした。この暑さでは、“対決” などは暑苦しくて見たくないんですよ。
表慶館が綺麗に改装されてから初めて中に入りました。それほど広くはないので見易い事と、展示物が陶器であったことで、スイスイと楽しく見学することが出来ました。

日仏交流150周年記念
      《オルセー美術館コレクション特別展
       フランスが夢見た日本
                   ~陶器に写した北斎、広重~

19世紀のヨーロッパのジャポニズムに於いて、印象派の画家たちに強烈な影響を与え続けた日本の浮世絵ですが、工藝の分野でも、当代一流の版画家ブラックモンや装飾画家ランベール等が、フランスで大ブームを巻き起こしていた広重や北斎、河鍋暁斎などの日本版画から、全く同じモチーフを抜き出して図案集を作り、その図案を独自に組み合わせてお皿やカップ&ソーサーなどのテーブルウェアを製作していたのです。
これらのフランス陶器 「セルヴィス・ルソー(ルソーセット)」と、「セルヴィス・ランベール(ランベールセット)」の収集を進めてきたのが、19世紀全般を扱うオルセー美術館でした。著作権とか、どうなっているの・・?と思ってしまいましたが、全く同じ絵が描かれている、とわかっていても、出来上がった作品の数々は、ヨーロッパの土壌で一たんふるいにかけられ、エッチングによる図案集が作られ、フランスで充分人気を博すことを確信して制作された、すばらしいものでした。今回、約100点のテーブルウェアが出品されていますが、その7割以上の作品の元絵が判明されたということです。元絵と比較しながら、フランス人がどのように元絵を利用し、各プレートにレイアウトしていたかを見ることができる楽しい展覧会でした。

元絵:葛飾北斎 元絵:歌川広重 元絵:歌川広重元絵:河鍋暁斎
     

上二枚は、私の購入した絵葉書です。左がセルビス・ランベールの《深皿 波に鯉図》、 右は同じく《平皿 鵞鳥図》 共に図の部分です。

最後の部屋には大テーブルが真ん中にでんと設置され、これらのテーブルウェアが素敵にセッティングされていました。

帰りは本館へ寄り、「六波羅蜜寺の仏像」~平安・鎌倉彫刻の宝庫~を見て来ました。
京都にある六波羅蜜寺は真言宗智山派の寺院で、空也が創立者となります。
広くて薄暗い会場内に置かれた13体の仏像のうち、10体が重要文化財。ここを見ようと思って来たわけではなかったので、偶然同時期に開催されていたので得した気分になりました。
これらの特集陳列以外にも、本館には沢山の展示物があり、一枚の券さえ持っていれば他の企画展以外なら全部を見ることが出来、時間と気力がある時にはゆっくりと見て回ると実に贅沢な心地になりますね。
今回は、表慶館の規模がそれほど大きくなかったのと、閉館の8時までに少し時間があったので寄る気になったのです。日差しの強い日中に訪れていたら、きっと、立ち寄る気力は無かったでしょう。金曜夕方からの美術館巡り・・・夏にはいいかも。
帰りの上野の山ですが、ベンチというベンチを占領して、山の住民がごろ寝していました。真ん中に仕切りがあるベンチだけは、ペアが座っていましたが、ちょっと異様な光景です。
ちなみに、夕方、美術館に向かっている時には上半身裸の住民が、ビールだか焼酎だかの缶を飲みながら、井戸端会議の真っ最中でした。上野の山は日本という国の縮図のなのかしら。明日はわが身・・・と、思えてしまうのですもの。