日々是雑感

アニメや映画の感想を中心に雑多に述べていきます

ミュークルドリーミー キャラクター紹介第12回 「ゆに、つぎ&はぎ」

2021-04-27 21:24:00 | アニメ



【これまで】
ゆにはお空の上で作られ、地上に落ちてきたものの誰にも拾ってもらえず動くこともできないまま無為の時を過ごした。それを哀れに思った(業を煮やした)悪夢の女王様によってようやく動けるようにはなったが、相変わらず独りだった。

そんな何もない寂しさを紛らわせるために作った2体のつぎはぎのぬいぐるみがしゃべり始めた時、ゆには驚きもしたが、同時に子分であり仲間ができたと喜びもした。

それぞれが自身の創造主のために働き始めた事で物語は動き始めた。ゆには悪夢の女王様のため、つぎはぎはゆにのために。

といってもゆにの働きは到底悪夢の女王様の満足できるものではなかった。そんなことであてがわれたパートナーが杉山遼仁だった。

パートナーができた事でうかれたゆには啓蒙本を買ったりしてひたすら空回りを続けた。そんなゆにの姿に困りつつも、”杉山のおやびん”は心を開き始めていた。そんな”おやびん”が苦しみだしたとき、ゆにの口をついて出た言葉は「助けよう」であった。

問題が解決し、”杉山のおやびん”がゆににとって大切な友達となって卒業式を迎えた時、ゆにも”おやびん”の元から卒業するという大きな決断を下す。つぎとはぎもゆにと一緒だ。

だが卒業といいつつ、すぐ戻ってくるのはお話の都合とはいえなんというか・・・

【悪役が作り出すもの】
悪役というのは物語のトーンを決めていく。女王様やおやびんに健気に尽くしながらもサボり癖を見せたり、勢い込んで空回りしたり、詰めが甘かったりする事で愛すべき悪役としての立ち位置をしっかりと確保している。

それでも所々でいい判断をしているし、ゆにっちアビスを自作して活用する(注)などゆには無能とは言えない。

つぎとはぎもゆに様に忠実ではあるものの、時々辛辣なことを吐いたり、ゆに様の暴走を止めようとするなどただの子分とは言えないような行動を見せたりする。綿の入っていない安普請であるが故に狭いところに入り込んでいけるというのは設定の勝利と言っていい。

そして【これまで】で見てきたゆにの物語は決して軽くない。この絶妙なバランスこそが「ミュークルドリーミー」という物語のトーンと言えるのではなかろうか。

とりあえずライラさん(元・悪夢の女王様)に言いたいのは自分のやった事の後始末くらいちゃんと自分でしてください。そのためにゆめちゃんたちがいらぬ苦労をするわけで。

あと全くの余談だけど、ゆに様の帽子を見て思い出したのが、釘宮VOICEで似たような悪党3人組のボスが憧れた人。彼はすごく帽子が決まってたよなぁ(注2)。その決めゼリフはこうだった。
「引き金は二度引かねぇ。一発が全てだ」




注:ただ自分の作ったゆにっちアビスがどれだけすごいものだったのか自分では理解していなかった模様。

注2:モチーフを考えれば「みっくす!」のオープニングで朝陽君とれいくんが被っているのがより近いんだけど。

ミュークルドリーミー45話のシーンを新クトゥルフ神話TRPGで再現する(妄想)

2021-04-14 17:42:00 | TRPG
「ミュークルドリーミー」第45話の悪夢のお城に入るくだりがTRPGあるあるネタすぎて笑っちまった。それを解決する手法がちょっと強引すぎる感はあってもなかなか面白かった。それを「新クトゥルフ神話TRPG」を使えばこんな風に再現できるのではないかというのをリプレイ風に紹介したい。

少し長くなりますがお付き合いください。

凡例
ドリーミーメイトとそのパートナーは同一のプレイヤーによってプレイされると仮定している。略称はこのようになる。
P1:ゆめ/みゅー
P2:まいら/ぺこ
P3:ことこ/すう
P4:ときわ/ねね
P5:朝陽/れい
キャラ台詞のみの場合はキャラの名称のみ、行動宣言や思考のみの場合はプレイヤー番号のみで示す。キャラ台詞と行動宣言の両方を含む場合はプレイヤー番号の後にかっこ付きでキャラ名を入れる。

実際の発言と想定しているものは「」で表記する。()内の物はキーパーや当該プレイヤーの思考であると想定している。

行動や処理の根拠となる「新クトゥルフ神話TRPG」の記述ページは*で示す。

あと関西人ではないので、似非関西弁になってしまっていたらごめんなさい。


本文
キーパー:「じゃあ、頂上のお城みたいな岩の前についたよ。洞窟みたいな入り口があって奥へと続いてるみたい」(まあ、ここまで来たんだから入ってくれるだろ)

P5(朝陽):「ここか~、と言いながら中を覗き込みます」

他のプレイヤーも中を覗き込むことに同意する。そしてキーパーはもう少し詳しく入り口付近の描写を行う。

れい:「何が出てもおかしくないニュアンスだね」

ことこ:「大丈夫かしら」

P1:(あたしたちはハイキングで前に見ることができなかった頂上の岩山を見に来ただけだよね。だから危なそうな洞窟に入る積極的な理由はなにもないはず。それなら幼なじみに懸念を示すのは変じゃないよね)

ゆめ:「え~、朝陽入るの?やめようよ~」

キーパー:(えっ、ゆめちゃんそう来るの?これはまずいな)

P5:(ゆめが反対するのに無理して入るのは朝陽のキャラじゃない。れいもマドモアゼルを危険にさらすのを是とはしないだろう。とすれば答えは一つ)

朝陽:「そうだな、やめようか」

キーパー:(やっぱりそうなるか~。でも無理強いはできないしなぁ)

ことこ:「安全に帰るのが大前提よね」

ときわ:「安全大事」

キーパー:(この流れになってくよねぇ。これからどうしようか)

P2:(完全にキーパー困っとるな。でもうちのキャラではこの流れを変えるためのきっかけを与えるくらいのことしかできん。これでどや)

まいら:「ぺこっち、そのリンゴどこから出してん」

ぺこ:「わいのポシェットからや」

P2:(うちにできるのはここまでや。あと、しっかりな)

キーパー:(サンキュー)「ぺこくんが持ったリンゴが急に浮かび上がったかと思うと、奥の方へとむけて飛び去ろうとしているよ」(これで少なくとも中に入って欲しいという意思表示はできたろう)

ぺこ:「ぺこのおやつ~」

P4(ときわ):「任せろっ!と言って、そのリンゴをつかみます」

キーパー:(ダイス・ロールをさせない手もあるが、それではときわちゃんの行動を無にしてしまう。もし成功したとしても中に入るという主張はよりしやすいだろう)「難易度イクストリームのDEX判定をお願いします」*P.78、P.190~191、P.201

P4:「DEX判定はわかりますけど、なぜイクストリームなんですか?」

キーパー:「これは何か魔術的な力によるものだという事はわかりますよね?つまりこれはPOWとDEXの対抗ロールになります。そして相手方のPOWは90以上を想定しています。したがって難易度はイクストリームになります」*P.78~79

P4:「わかりました。ダイス・ロールします」

結果は失敗。

キーパー:「つかめなかったけどここからどうします?プッシュ・ロールのために何か追加の行動をとります?」*P.80

P4:(ここでプッシュ・ロールのリスクを背負うよりは失敗を認めて素直に入った方がいいぞ)「何もしません」*P.81

キーパー:「OK、リンゴはてんころりんと転がりながら奥へと向かっていったよ」

P4(ときわ):「こいつ逃げるぞ、待て待て~、と言って奥へと入っていきます」

ときわちゃんにつられて他のキャラクターたちも奥へと入っていった。

3/17:加筆、修正しました。

4/13:ほんのちょっと加筆しました。

ミュークルドリーミー キャラクター紹介第11回 「杉山遼仁」

2021-04-12 05:52:00 | アニメ

【これまで】
テニス部部長で生徒会長、優しくてイケメンで学内でファンクラブまで作られる超人気者。だが彼は優秀ではあるが決して完ぺきではない。だからこそ規格外の知能を持った弟の存在によって心に闇を生み出したのだ。

両親ですら気づけなかったその闇に気付いたのはずっと背中を支え続けていた幼なじみと同様の苦悩を持った悪夢の女王様だけだった。

悪夢の女王様はそんな彼を闇へと誘おうとした。だが結局彼は最後まで完全に闇に染まることなく、あれよあれよという間に解決してしまった。

想いを通じた幼なじみも大切な友達になれたかつての部下も旅立った。弟はどうやら逆に戻ってきたようだ。彼は吹っ切ることができたのだろうか?もしかしたらもう一度仮面を被ることもあるかもしれない。でもその仮面は闇からのみ来るものではないと思いたい。

【もう一人の主役】
19話でれいくんが落ちてくるまで、「ミュークルドリーミー」は間違いなく日向ゆめの物語だった。ところが朝陽君とれいくんが出会い、その視点が加わった事で物語の構造は変化を始めた。

この物語は24話で杉山先輩が仮面を被り、26話で百合先輩がその違和感を吐露したことで、「日向ゆめの物語」から「二組の幼なじみの物語」へと移行していった。

闇堕ちして仮面をつけた憧れの先輩という記号化によって「日向ゆめの物語」として単純化を図る事もできた。「変身美少女」とか「カオスギャグ」としてならそうした方がずっと簡単だったろう。だが「本格学園ラブコメ」まで指向したこの作品はその道を選ばなかった。

後半戦はまさに彼がゆにというドリーミーメイトに出会い、救われていく物語でもあったのだ。

とりあえず彼の物語は幕を閉じた。次の物語において彼の立ち位置や役割は今までとは違ったものになるだろう。それがどんな形になっていくのか見守っていきたい。

ミュークルドリーミー キャラクター紹介第10回 「れい」

2021-04-08 05:45:00 | アニメ

【共に王子として】
製作途中の白いぬいぐるみが第1話の冒頭(注)に登場している。これが間違いなくれいくんなのだろう。これを初登場といって良いのかどうか疑問だが。

登場した時から特別な力を持っているというのは示唆されていたものの、それが発揮されたのは本当に最後。そこら辺がかなりバタバタしちゃったのは仕方ないか。

それでもイケメン力の高さで作中で十分に存在感は発揮できた。登場当初はそのイケメン力に気圧されていた感のあるぺこくんも4クール目に入ったあたりからそのイケメン力を取り入れる方向にシフトしていけた。そのれいくんがヨゴレをやればやはり目立つ。

朝陽君との関係はみゅーちゃんと対になる男の子の親友といって良いと思う。ただ少し違うのはみゅーちゃんは恋愛感情についてはあまり踏み込まずにリマインダーに徹している(注2)が、れいくんは朝陽君の恋愛感情に積極的に踏み込み、茶化したりたきつけたりするような言動をするところだ。そこはれいくんのキャラもあるだろうが、朝陽君とゆめちゃんの恋愛感情の差もあると思う。朝陽君には一緒になってバカをやる親友として北田翔平(注3)がいるしね。

男の子同士のバディがメインを張り、恋愛から目を背けない事は「ミュークルドリーミー」の特色だと思う。





注:参考までに第1話の配信。


注2:みゅーちゃんの場合はわざと茶化すというよりは無邪気な言動が結果的に恋愛感情に影響を与えるような感じ。

注3:あとで取り上げるつもりだけど、まさか彼が恋愛面で一番最初に動きを見せる事になるとは。

ミュークルドリーミー総括

2021-04-04 16:22:00 | アニメ
ほぼ一話かけてしっかりと普通の卒業式をやったアニメって自分の記憶だとゴウザウラー以来だぞ。その上で主人公は卒業生じゃなくて在校生だという。

個性的なキャラクターによる会話主体でハイテンポにいろいろな事を詰め込んでいくスタイルはTRPGのセッションを見ているかような感じで、それを一年通してやり続ける形はいいキャンペーンを見せてもらったような気にさせてもらった。

コロナ禍による遅延を調整したともとれるような部分があったりして、名作だとか言えるほどのものではない。ただ完全な女児向けアニメにここまで入れ込んだのは「ママは小学4年生」以来だし、TRPGにからめてのものは「宇宙船サジタリウス」以来になると考えるとそのくらい力のある作品だったのは確か。

さて来週からは新装開店、「ミュークルドリーミーみっくす!」。お世話展開は女児向けアニメの根底が「ママは小学4年生」である私にとってはキター!って感じ。さてどんな感じになっていくのか期待。

そしてここでの「ミュークルドリーミー」特集記事はまだまだ続きます。