【これまで】
ゆにはお空の上で作られ、地上に落ちてきたものの誰にも拾ってもらえず動くこともできないまま無為の時を過ごした。それを哀れに思った(業を煮やした)悪夢の女王様によってようやく動けるようにはなったが、相変わらず独りだった。
そんな何もない寂しさを紛らわせるために作った2体のつぎはぎのぬいぐるみがしゃべり始めた時、ゆには驚きもしたが、同時に子分であり仲間ができたと喜びもした。
それぞれが自身の創造主のために働き始めた事で物語は動き始めた。ゆには悪夢の女王様のため、つぎはぎはゆにのために。
といってもゆにの働きは到底悪夢の女王様の満足できるものではなかった。そんなことであてがわれたパートナーが杉山遼仁だった。
パートナーができた事でうかれたゆには啓蒙本を買ったりしてひたすら空回りを続けた。そんなゆにの姿に困りつつも、”杉山のおやびん”は心を開き始めていた。そんな”おやびん”が苦しみだしたとき、ゆにの口をついて出た言葉は「助けよう」であった。
問題が解決し、”杉山のおやびん”がゆににとって大切な友達となって卒業式を迎えた時、ゆにも”おやびん”の元から卒業するという大きな決断を下す。つぎとはぎもゆにと一緒だ。
だが卒業といいつつ、すぐ戻ってくるのはお話の都合とはいえなんというか・・・
【悪役が作り出すもの】
悪役というのは物語のトーンを決めていく。女王様やおやびんに健気に尽くしながらもサボり癖を見せたり、勢い込んで空回りしたり、詰めが甘かったりする事で愛すべき悪役としての立ち位置をしっかりと確保している。
それでも所々でいい判断をしているし、ゆにっちアビスを自作して活用する(注)などゆには無能とは言えない。
つぎとはぎもゆに様に忠実ではあるものの、時々辛辣なことを吐いたり、ゆに様の暴走を止めようとするなどただの子分とは言えないような行動を見せたりする。綿の入っていない安普請であるが故に狭いところに入り込んでいけるというのは設定の勝利と言っていい。
そして【これまで】で見てきたゆにの物語は決して軽くない。この絶妙なバランスこそが「ミュークルドリーミー」という物語のトーンと言えるのではなかろうか。
とりあえずライラさん(元・悪夢の女王様)に言いたいのは自分のやった事の後始末くらいちゃんと自分でしてください。そのためにゆめちゃんたちがいらぬ苦労をするわけで。
あと全くの余談だけど、ゆに様の帽子を見て思い出したのが、釘宮VOICEで似たような悪党3人組のボスが憧れた人。彼はすごく帽子が決まってたよなぁ(注2)。その決めゼリフはこうだった。
「引き金は二度引かねぇ。一発が全てだ」
注:ただ自分の作ったゆにっちアビスがどれだけすごいものだったのか自分では理解していなかった模様。
注2:モチーフを考えれば「みっくす!」のオープニングで朝陽君とれいくんが被っているのがより近いんだけど。