日々是雑感

アニメや映画の感想を中心に雑多に述べていきます

ウルトラマンデッカー最終章 旅立ちの彼方へ・・・

2023-02-26 22:43:09 | 映画

昨年の劇場版トリガーは見ることができなかったのですが、今回は何とか見ることができました。というわけで今回の感想を。

 

 

悪い宇宙人軍団が攻めてきてどうのっていうものすごく単純な話。それだけに絞るべき焦点としてGUTS-SELECT(カナタ、リュウモン、イチカ)の行く末、そして新キャラのディナスに収束していく。

そのウルトラマンディナスだけど早々にウルトラマンになった過程が明かされて「いや、これで裏あったらまずいだろう」になった。それ故にってわけでもないけど、作中敵ボスに指摘された「ウルトラマンのなりそこない」のような感じでデッカーの前座のような感じになったのは少しもったいなかったかな。新たな女性ウルトラマンとしての可能性を感じたのに。

あとは「シン・ウルトラマン」の感想の時に「物足りない」と述べた生身のバトル、防衛チーム(ここではGUTS-SELECT)とウルトラマンの共闘、着ぐるみとミニチュアによる「伝統芸能」を映画館の大画面で堪能できた。やはり自分が「ウルトラマン」に求めているのは表面だけのリアリティじゃなくてこういういい意味での「子供だまし」なんだなぁ、と。

危機を救ってくれた二人の宇宙人については最初にハネジローのナレーションでお話を振り返ってくれたおかげで「誰、こいつ」にならずに済んだ人もいるんじゃないか。二人とも相当印象的なキャラだからそうそう忘れるって事はないと思うんだけど。

ラストでカナタが選んだ道は未来のデッカーにつながる道だな、と。地球のせんべいが少し心配になるけど。

 

「ウルトラマンデッカー完結編」という点に絞るならそれぞれの行く末を見据えた良い話だったと思う。


深掘りミュークルみっくす!「二年越しのバレンタイン」

2023-02-10 20:41:12 | アニメ

「深掘りミュークルみっくす!」をサボってはや2月。いろいろな予定をすっ飛ばしてあのイベントの話をしようと思う。最近では少し変わってしまった感もあるが、ラブコメには欠かせないあのイベントを。ではそれぞれを見ていこう。

 

41話「バレンタイン和菓子配っちゃお!」

ゆめちゃん達がバレンタインをどうするかという話題からの流れでクラスメイトである和菓子屋の娘、白玉すあまちゃん(注1)が「バレンタインにチョコだけなんておかしい。和菓子だっていいじゃない」と言い出したことから始まるこのエピソードは徐々にゆめちゃんとみゅーちゃん、朝陽君とれいくんの二組へと収束していく。

バレンタイン前日、各所で怪しい動きを見せる杉山先輩への疑念を口にする朝陽君に対して、尊敬しているはずの先輩を疑うなんておかしいと言うゆめちゃんとのすれ違いからこの物語は実質的に始まる。ここで朝陽君はゆめちゃんとケンカしてしまったと思い込んだけど、ゆめちゃんは「疑う朝陽を理解できない」と言っただけでケンカしているという意識がない。ここで認識のずれが生まれる。

バレンタインと縁のない男子のブラックスキーマを糾合した怪物は当事者であるゆに達の予想を大きく超えて町中からバレンタインを奪っていく。その中には前日にケンカしたと思い込んだ朝陽君のものもあった。

不条理な夢の世界でみゅーちゃんと奮闘する最中にミュークルステッキを失うゆめちゃん。現実世界ではまいらちゃん、ことこ先輩、ときわちゃん、そしてこの怪物を生み出したゆに達すらバレンタインを奪われる絶望的な状況。

その中で朝陽君とれいくんは朝陽君が女装(注2)して和菓子を配るという奇想天外な方法でこの事態を解決へと導く。

 

このエピソードを通じて杉山先輩と百合先輩の姿はない。ゆめちゃんは杉山先輩へのチョコについて「ファンクラ部に任せる」旨の発言をしている。32話でゆめちゃんが杉山先輩について自らの想いを吐露したことでラブコメとしての「二組の幼なじみの物語」はほぼ決着がついていた。だからこそこの物語は「朝ゆめ」の物語に収束したのだ。そしてゆめちゃんが朝陽君にチョコを渡したことで「認識のずれ」も解消された。

 

「みっくす!」44話「アクムーちゃんもバレンタイン」

前のエピソード(43話「入れ替え作戦やっちゃうにゅい!」)でアッキーは自らの過ちを悟り、アクムー陣営から離れる決断をする。それに納得できないアクムーちゃんはアッキー離反の裏にいるゆめちゃんを消そうとたくらむ。そうする事でアッキーが自分の元に帰ってきてくれると信じて。

ここでゆに達も大きな決断をしている。アクムーちゃんが間違っていることを知り、ボスと袂を分かつ事になってもゆにはアクムー陣営に残ると決めたのだ。ボッチの人をボッチのままにしないために。それはかつての啓蒙本をうのみにした姿じゃない。自らの経験からいっぱい悩んで出した答えだ。

アクムーちゃんはアクムーアビスチョコをばらまくことでわくわくキラキラなバレンタインをひやひやゾゾゾにしてゆめちゃん達をおびき寄せる策に出る。それをゆに達から聞いたブラザー律(今井律)とはるる(杉山遼仁)は自らが売り子に入り、アクムーアビスチョコと普通のチョコをすり替える事でその被害を食い止めようとする。だがこの対応策は致命的な戦略ミスとなる。二人は自分たちの価値を計算に入れていなかったのだ。イケメン二人が売り子に入る事でアクムーアビスチョコショップは大盛況(注3)となる。すり替え作業を行っていたゆに達もてんやわんやになってしまい、二人も動くに動けない。結果、ゆめちゃん達のユメシンクロを止められなかった。

罠にはまったゆめちゃん達はアクムーちゃんに捕らえられてしまう。アッキーが救援に入ったが、アクムーちゃんの攻撃の前に手も足も出ない。朝陽君だけはゆめちゃん達と別行動をとっていたためにいまだに自由に動ける状態だった。ゆめちゃん達の危機を知った朝陽君はかつて使ったプリンスストーンでユメシンクロして救援へと向かう。ミュークルレインボウが無い状態で事態は絶望的かと思われたが、ちあちゃんの力でいつも連絡用に使っているおもちゃの弓矢を仮のミュークルレインボウとしてゆめちゃん達の救出に成功(注4)する。

ゆめちゃんのために懸命な朝陽君、その朝陽君を信じることができたゆめちゃん。二人の姿を見てことこ先輩は「またあの幼なじみコンビに救われちゃった」とつぶやく。そしてアッキーはゆめちゃんにとってのプリンスは自分ではないと悟るのだった。

 

このエピソードは「みっくす!」全体のストーリーにおける強力な軸であったアッキーの想いを終わらせるためのもの。そのために朝陽君に必要だったのは女装ではなくプリンスとしての姿だった。その姿を見せつける事でアッキーに身を引かせることを決断させた。ゆに、アッキー、アクムーちゃん、それぞれの思いが変化していき物語は最終決戦へと加速していく。それにしても次のエピソード(45話「ボクたちサンシャルルです!」)でこれが前座に思えてしまうほどのラブ要素を見せるのが「みっくす!」のすごさだよなぁ。

 

二つのバレンタインエピソード

二つのバレンタインエピソードが決定的に異なるのは全体のストーリーの中での位置づけだ。「バレンタイン和菓子配っちゃお!」は全体のストーリーとは少し離れた独立したエピソード。それに対して「アクムーちゃんもバレンタイン」は全体のストーリーと密接にかかわった物語であった。

どちらも中心となるのは朝陽君やアッキーといった男の子だ。だがこれは「多様性」じゃない。男の子にご褒美が欲しいならこうやって頑張りなさいよという話だ。「多様性」ならば「アクムーちゃんもバレンタイン」の中でドリーミーメイトみんなでチョコをかき混ぜている場面(注5)や杉山兄弟が日米のバレンタインデーの扱いの差を語る場面がそれに相当するだろう。

決定的に異なる部分もあるが、相似の部分も多い。そうやって見比べると脚本家(注6)のバレンタインデーに対する感性の違いも垣間見えてそこも興味深い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

注1:彼女はシリーズを通してなかなか面白い進化を遂げたので後に紹介する予定

注2:少年役を演じられることが多い(というかほとんど)れいくん役の田村睦心さんにこんなヒロインボイスが出せるのか、などと失礼な事を思ってしまった。

注3:昨年の白玉庵の失敗はイケメンを入れなかった事ではないだろうか。しかしここまで大盛況だったのに売れ残るなんてアクムーちゃんどんだけ作ったのよ。

注4:この時ほど以前教わった(16話「いちなるとチアふるに挑戦!」)チアふるをしようと思った事はなかったし、弓矢を放つ前のれいくんと朝陽君とのやり取りも熱い!

注5:「バレンタイン和菓子配っちゃお!」では女の子(みゅーちゃん、すうちゃん、ねねちゃん)がチョコを作っている様子を男の子(ぺこくん、れいくん)が眺めるという構図になっている。

注6:「バレンタイン和菓子配っちゃお!」は横谷昌弘さん、「アクムーちゃんもバレンタイン」はシリーズ構成の金杉弘子さん。


「ひろがるスカイ!プリキュア」へとつながる男子像のトレンド

2023-02-05 13:11:30 | アニメ

前置き

「ひろがるスカイ!プリキュア」ですでに公表されていたキュアウィングが男の子であることが正式に発表された。しかもそれは「プリキュアの生みの親」とも言われるエグゼクティブプロデューサーの鷲尾氏自身の口から(注)。多くの人がそれに驚き、賛否両論を巻き起こしているが、私にとってそれは全然驚きべき事ではない。

私は「女の子と肩を並べる男の子の存在」というのはすでに女の子向けコンテンツにおいてトレンドになっていて、「プリキュア」もまた女の子向けコンテンツとしてこのトレンドを無視できない(していない)事をツイッター上で何度か述べてきた。そこで今一度「女の子向けコンテンツにおける男子像のトレンド」についてみていきたい。

 

男子像のトレンドってどういうこと?

端的に言ってしまうと、

「自ら運命を切り開こうとするプリンセス(女の子)の頼れる仲間にプリンス(男の子)がいて何のおかしい事がある」

こういう事だと思う。「男の子向けコンテンツ」で男性と共に進む女性の姿を見る事はもう珍しくない。それと逆の波が「女の子向けコンテンツ」に来たというだけの話だ。それは決して存在しなかった流れでもない(注2)。だから私はこれを「革命」でも「革新」でもなく「トレンド(流行)」と表現した。

そして大前提となるのは女の子が「自ら運命を切り開こうとする」存在であることだ。だから多少男性の存在があったところで「女性の自立性」が揺らいだりはしない(注3)。むしろそういう男性の存在を通して「もうちょっとしっかりしてよ」と叱咤しているようにすら見える。だからこれは多くの識者と言われる人たちが言うような「多様性」の話でもないのだ。

 

まとめ

キュアウィングがどういうキャラクターになるのかはまだ分からない。公開された情報は年下系だということだけだ。そこからマスコット的なキャラクターとしてプリキュアのおねえさんたちについていく姿を想像推測することはできるが、そのくらいだ。ただ彼もまた、

・W主人公として同じように悩みながら、パリの街を守るスーパーヒーローとして並び立つアドリアン=シャノワール。(ミラキュラス)(注4)

・過去にも取り上げた、まさにこの男子像の代表格ともいうべき南川朝陽。(ミュークルドリーミー)(注5)

・自らの夢を持ちながらも同じものが見たいからと女の子しか立てないと思われていたステージに立った伊吹橙真。(プリマジ)

・何ら変わらぬ試練を乗り越え「一番でナンバーワン」という夢に向かって共に歩む天宮翔太。一人でスキルを突き詰める中でアノニマスという闇に堕ちながらも、0を1にした幼なじみの姿から光を得た一条蓮。(リズスタ)

・物語の最初からその場にあり、時に頼れる仲間として、時に共に日常を楽しむ「いつものみんな」として最後までプリキュアの傍らに立ち続けたローズマリー。そのローズマリーに押されてしまった感はあるものの、「自ら運命を切り開こうとする」女の子たちのために「俺にできる事」をなそうとした品田拓海=ブラックペッパー。(デリシャスパーティ プリキュア)

この系譜に連なる者であるのは間違いない。どんな活躍をし、バトンをつないでいくのか見守ろうではないか。

 

 

 

 

 

注: 『ひろがるスカイ!プリキュア』オンライン会見映像 - YouTube

注2:「カードキャプターさくら」とか「ジュエルペット てぃんくる」とか

注3:むしろそういう事を心配するような人たちこそ女の子を見下しているのではないかと思うくらいだ。

注4:プリキュアとは東映アニメーションというつながりがあるのだから、様々な障害を乗り越えられるならコラボというのもありじゃね?

注5:深掘りミュークルみっくす!「南川朝陽」 - 日々是雑感 (goo.ne.jp)