【これまで】
亡き母との思い出にあふれた京都を離れて彼女について回ったのは「人気モデルの月島まいら」だった。
周りが作り上げた設定、モデルとしての姿だけを見て近づいてくる周囲、そして本当の自分の夢とのギャップ。登場した当初の彼女の姿はそれらを明るくそつなく振舞うことでその状況を仕方が無いものだと諦めているようにさえ見えた。
だが何の打算もなく素の自分を受け入れあまつさえ後押しさえしてくれたゆめちゃん、そしてぺこという運命の相方との出会いは確実に彼女を変えていった。
お笑い芸人を目指すとカミングアウトしたことでもう自分の素を隠す必要はもうない。そんな姿は以前よりもずっと楽しそうで、魅力的だ。だが肝心のお笑い芸人への道はまだまだ険しそうだ。
【影と厚み】
前回ゆめちゃんの事をバトルヒロインというより探索者だと紹介した。他のキャラクターはその力すら持たないのだから更に探索者的だと言える。これをマイナスとしてとらえる人も多いが、私はそうは思わない。これがあればこそ「ミュークルドリーミー」は他の変身美少女ものとは違う独特の魅力を出しているのだと思う。
話をまいらちゃんに戻そう。キャラクターの立ち位置としてはコメディーリリーフだが、それにとどまらない厚みをきちんと用意している。それが【これまで】の所で記した影の部分だ。影の部分を重くしすぎると闇となって、コメディリリーフとしてふさわしくなくなってしまうが、それもうまく回避している。
そういった影を物語の中で徐々に解消していくことで成長も描いている。モデルという職業を通じての様々なフックは彼女を話の導入や中心に据えていく。そんな彼女を全面的にフィーチャーした第28話が「神回」という呼び声が高いのも納得だ。
まいらちゃんは運動神経もそれほど良くないわ、勉強は赤点すれすれ、お笑いもウケないと魅力以外の能力値が高いわけじゃない。だからこそ物語の中で目立ち、輝いている。