日々是雑感

アニメや映画の感想を中心に雑多に述べていきます

深掘りミュークルみっくす!「恋の決着」

2022-06-26 17:59:10 | アニメ

15話で初登場して以来、結果的に物語のゲームチェンジャーとして機能した森村さん。20話での表舞台からの退場は唐突なものに思えたし、その後杉山ファンクラ部の活動にいそしむ姿に何かもやもやしたものを感じていた。それは森村さんが自分の意志というより、周り(特に親友のミカちゃん)に振り回されただけのように見えたからだろう。

想いの決着

それをよそに32話でゆめちゃんが48話で杉山ファンクラ部の押尾部長が杉山先輩に対する届かなかった想いに自分で決着(注)をつけた。想いは届かなくとも推しを続ける押尾部長の姿に森村さんが何かを感じ取ったとしても不思議ではない。

「みっくす!」15話でその森村さんへの思わせぶりな描写が入った。それは何を意味するのか?その答えは後の19話で示されることとなる。まいらちゃんやことこ先輩を加える作劇的な都合上設定こそ変わってしまったが、皆が同じ場所に泊まっている間にゆめちゃんの誕生日を迎えるという物語の本質は何も変わらない。

昨年と同じ場所で森村さんは自分の想いに決着をつけるための告白を朝陽君にする。これでようやく「森村さんの物語」は完成し、その後「NEW森村」として「南川くんを応援する部」を立ち上げるという道(注2)を歩み始めた。

朝ゆめ

森村さんの告白に固まってしまった朝陽君(注3)。ゆめちゃんへの誕生日プレゼントも渡せるかという問題もまだある。だが今彼の周りにはにはれいくんを始め、二人の事を生暖かく見守る「いつものみんな」がいる。その「いつものみんな」の後押し(注4)で二人は急接近し、無事プレゼントも渡すことができた。

 

まとめ

「森村さんの物語」はまさに恋が自分と周りを変えていった物語だった。ゆめちゃんと朝陽君も憧れの二人に向けてようやくスタートラインに立てたところだ。そういった恋物語に先鞭をつけたのは8話に続き、「みっくす!」19話で被害に遭ったわかばちゃん。だけどそこでの翔平君はもう少し魅せてくれても良かったんじゃないかと。でもその不満を後に解消させてくれるところはさすがという他ない。

その辺の話は次回。

 

 

 

 

 

 

 

注:後にはアッキーもゆめちゃんに対する想いに自分で決着をつけた。そして金杉弘子さんがシリーズ構成を担当した「ハクション大魔王2020」でもこの届かなかった想いに自分で決着をつけるくだりがあった。

注2:つまりこれは押尾部長と同じ道を歩むという事。森村さんにとって杉山ファンクラ部の活動は無駄じゃなかったと思えたのは素直にうれしかった。それがあればこそ後にフルネームが判明(「みっくす!」36話)したり、新しい設定が付け加えられたりする(「みっくす!」49話)優遇措置を受けられたのだろう。

注3:昨年朝陽君は告白に対してあいまい戦術で応じたが、もしれいくんがあの場に居たならそれを許さなかったろう。

注4:ねねちゃんは後押しというより力押し。


深掘りミュークルみっくす!「恋の始まり」

2022-06-11 16:38:04 | アニメ

総括でも指摘したように「ミュークルドリーミーみっくす!」第1クール最大の問題点は「二組の幼なじみの物語」という軸となる物語が失われても、新要素がその代替になれなかったことだ。アッキーやアクムーは主体とならず、ちあちゃんのお世話、みんなのユメシンクロ、新アイテムにチアふる☆タイムもメインにはなりえない。結局はゆに達が泥をかぶり、軸が失われたまま今までの繰り返しをやらざるを得なかった。

「みっくす!」14話におけるアッキーの「きゅーーーーん」はその場限りのもので終わらてしまえばそこまでだった。だが17話でアッキーが自分の想いを自覚して「杉山亮仁の物語」が本格的に始まった。

ボスの想いを知ったゆに達はアクムーの思惑から離れて動き始め、杉山遼仁、今井律が兄、友人として腑抜けと化したアッキーを心配する協力者としての立ち位置が決まり、アクムーも自発的に動き始めた。ついに「ミュークルドリーミーみっくす!」にも強力な軸となる物語が生まれたのだ。

アッキーが自分の想いを自覚した17話は「二組の幼なじみの物語」の中心軸であった百合先輩の一時帰国の話。エピソードとしての中心はその百合先輩とちあちゃんの交流。そこにちあちゃんを狙うゆに達が関わってくる。

一番危惧したのはゆにが「おやびん」を救ってくれた大恩ある「あねさん」に何の躊躇もなくゆにっちアビスを打ち込むような真似しないかという事だ。それは今までのシリーズを否定する行為に他ならない。だがゆには最後まで迷い、「あねさん」にゆにっちアビスを打ち込むことができなかった。

「ゆりりん」こと百合先輩が去り際にアッキーに放った言葉はあくまで「彼氏の弟」への完全な善意によるものだろうとは思う。だが私にはこれが実に効果的な復讐に思えてならないのだ。

新しい想いが物語を引っ張る軸として始まる一方で、昨年一つだけ積み残した想いがあった。その想いへの答えもまた動き出そうとしていた。