日々是雑感

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ミュークルドリーミー エピソード紹介 第20話「ボンジュール!れいくん」

2021-08-13 09:04:00 | アニメ
【あらすじ】
合宿から帰宅した直後、空から落ちてきた白いぬいぐるみを拾った朝陽君。その傍らには合宿中に渡せなかったゆめちゃんへの誕生日プレゼントが置かれています。

一方のゆめちゃんも合宿中に森村さんの朝陽君への告白場面を目撃してしまった事で、もやもやを抱えたまま夏休みのラストスパートを迎えることとなります。

そんな森村さんですが、告白にOKをもらったと思い込んでお弁当まで作ってきてます。しかし、OKしたつもりのない朝陽君にはその意味が分かりません。森村さんの親友のミカちゃんに選択を迫られた挙句に結局、朝陽君は「付き合うつもりはない」と告げます。これによってある一つの恋は終わりました。

そんな感じでぐったり疲れ果てた朝陽君は夢を見ます。そこにはミラクルドリーミー王国の女王を名乗る女性がいました。そしてその傍らの拾った白いぬいぐるみが話しだし、自らを「れい」と名乗りました。女王さまは朝陽君に「れいのドリームパートナーになって欲しい。あなたたちには大事な使命がある」と伝えます。

目覚めると夢と同様にれいくんは朝陽君に話しかけてきます。これによってかの夢がただの夢ではない事を知った朝陽君。これはお隣のゆめちゃんにも秘密にしなきゃいけない、とゆめちゃんも避けるようになってしまいます。

誕生日プレゼントもまだ渡せないまま。ゆに達も新しいぬいぐるみの出現を察知した悪夢の女王様の命によって動き出しました。そんな状況で二学期が始まります。

【情報量や認識の差】
情報量や認識の差によるすれ違いや誤解は場面を作る重要な要素だ。れいくんの存在によってゆめちゃんと朝陽君はすれ違う。でも視聴者が知りうる客観的情報からすれば二人が秘密を共有できることを知っている。

こうやって客観的な事実も含めた認識のぶつかり合いこそがお話を形作っていく。特にこの話では朝陽君、ゆめちゃん、森村さん、ゆにといろいろな視点が入り込んでくるためお話の分量としてはかなり重たい。

そのせいで玩具販促しなきゃならないのにバンクを入れている余裕がない。その解決策がわざわざオープニングを差し替えるという荒技だ。(注)

【あたしも恋がしたいゾ】
20話で一番注目したのが、ときわちゃんのこのセリフ。作中でもゆめちゃん達はびっくりしていたが、いささか唐突な発言は次の展開をにらんでの仕込みだったのではないかと思っている。

ときわちゃんはまいらちゃんやことこ先輩のように明快なビジョンを持たないために、どうしてもバックストーリーが弱くなる。これを解決するためには何かフックが必要だ。それがこのセリフにつながったのではないだろうか。そしてその答えが次の21話「寛太と健太のユメシンクロ」(ときわちゃんの双子の弟の話)なのでは。(注2)

ゲームマスター的な感覚で言えばこれは完全なプレイヤー側の仕掛けだ。それに対してマスターは次のシナリオで答えたという事になろう。

とはいえ、前半だけで分量的にかなり重たいのにコロナ禍による遅延もあり、後半ではもう一組の幼なじみの話も始めていかなきゃならない。森村さんの事も含めて、これ以上シリーズ全体に影響を与えるような恋愛事を持ち込まれても処理しきれないと判断したのだろうな。(注3)

【後半へ向けて】
森村さんの件も一応片付き、誕生日プレゼントも渡せた。これによって一応「日向ゆめの物語」は一区切りついた。だがれいくんの存在による視点の二重構造はいまだに残っている。ここから物語は後半に向けて動き始める。











注:この後もいかにしてバンクをねじ込むか苦労した節がうかがえる。そしてそれは「みっくす」でも受け継がれており、バンクを使えない「バラエティ回」では別バージョンのオープニングを採用している。

注2:この流れを見た時に私は「ときわ→朝陽」の展開は十分にありうると思ったものだ。

注3:森村さんの件はあのまま行ったらファミリー向けアニメでは流せないような修羅場に発展しかねないし、その上で朝ときフラグなぞ立てられたらジェットマンばりの複雑な人間関係が構築されてしまうことになる。

でももしこれがやれていたならときわちゃんはもう少し話に食い込めていたんじゃないかな。