日々是雑感

アニメや映画の感想を中心に雑多に述べていきます

ミュークルドリーミー エピソード紹介 第17話「恐怖のプチトマトマン」

2021-07-27 20:06:00 | アニメ
【あらすじ】
夏、トマトの旬な季節。そんな夏休みの日、ゆめちゃんはプチトマトマンと名乗る存在が「おなかがすいているなら僕を食べればいい」と迫ってくる夢を見ます。それはトマトが嫌いなゆめちゃんにとっては悪夢に他なりません。

学校から帰ってみると、さまざまなプチトマトを使った料理が並んでいます。それはみゅーちゃんが初めて口にして以来、大好きになったプチトマトをゆめちゃんにも何とか好きになって欲しいと頑張った成果でした。ですがゆめちゃんにとってそれはさらなる圧にすぎません。

その後にさらにパワーアップしたプチトマトの夢を見てしまって、「こんな夢を見たのはみゅーちゃんのせいだ!」と憤るゆめちゃん。みゅーちゃんはせっかくの努力を否定され、二人はケンカを始めてしまいます。

それを見かけたゆにはお手製のゆにっちアビスをゆめちゃんの夢に投げ入れます。これによって夢の中の存在でしかなかったはずのプチトマトマンが強化され、現実世界に出てきたのはゆにでさえも予想しなかった事態でした。

プチトマトを奪い、人々に無理やりプチトマトを口にさせようとするプチトマトマン。この事態を解決するためにとりあえずみゅーちゃんと仲直りしたゆめちゃんは根本的な解決を図るためにドリーミーメイトと共に夢の中へ、他のメンバーはこれ以上の被害を食い止めるために現実世界のプチトマトマンに対して行動を開始します。

【B級ホラーのお約束】
世の中には「巨大化したトマトが襲ってくる」というB級映画もあるわけで(注)、この終始ドタバタしたお話の中にはB級ホラーのお約束とも言えるようなシーンも含まれている。ただシャワーシーンが無いのは惜しい(注2)。

それ故にこのエピソードはTRPGとしてB級ホラーを扱う時に役立つエッセンスが詰まっていると思う。特にユメシンクロしないパートナーたちの行動は「具体的な解決手段を持たない時間稼ぎ」をどう演出するかの参考の一つにはなると思う。

【事態の解決、そして少しの変化】
夢の中では「僕を食べて」と迫ってくる小型プチトマトマンの集団。その絵面は完全にゾンビ映画だ。それを解決するには小屋の中にあるプチトマト料理をすべて平らげるしかない。その状況をドリーミーメイトたちの力を借りて何とか解決したゆめちゃんは嫌いなトマトにほんのちょっとだけ向き合うことができるようになった。

そう「トマトが嫌いで食べられない」から「トマトは嫌いだけど、何とか我慢して食べるようにする」とバックストーリーが書き換わったのだ(注3)。

【日向ゆめの物語】
このエピソードは夢の中での事象が現実世界に侵食する、ゆめちゃんとみゅーちゃんがユメシンクロに支障をきたすレベルでケンカする、といった今までの話の中では起こりえなかったことが次々と起こる。そのせいで「カオス」とか「狂気」とか言われることも多い。だが私は「トマトが嫌い」というバックストーリーをいかした「日向ゆめの物語」として意外と作りこまれたエピソードではないかと考える。

次の18話は一転して怪談風の話だし、21話のぬいぐるみチームによる小学校の探索場面、22話のAパートなど「ミュークルドリーミー」はキーパー視点から見ると参考になるシチュエーションの宝庫だ(注4)。

だから私はこの作品を「パステル・ホラー」などと勝手に呼んでいたりする。











注:私もそんな映画があるという知識くらいしかないけどね。

注2:これだってB級ホラーのお約束だろ。日曜昼間のファミリー向けアニメに何を求めてるんだ、って言われるだろうけど。

注3:バックストーリーの書き換えは7版での大きな改訂要素だけど、このくらいの細かい書き換えでも十分効果があると思う。後はそれをプレイヤーとキーパーがどう活かすか。

注4:この他にも取り入れられそうな要素はたくさんあるので、意識して観るといいかも?

ミュークルドリーミー エピソード紹介 第15話「ドキドキ花火大会」

2021-07-07 05:55:00 | アニメ
【あらすじ】
夏休みを迎え、ゆめちゃんたちは花火大会の話題で持ちきりです。わかばちゃんは翔平君を誘ってOKをもらえたそうです。ゆめちゃんは海辺の花火を初めて見るというときわちゃんをはじめ、みんなで行く事にします。去年着ていた浴衣は小さくなっていましたが、まいらちゃんの知り合いのスタイリストさんに浴衣を提供してもらえることになりました。

隣のクラスで女子テニス部の森村さんは朝陽君を花火大会に誘うのですが、朝陽君はその日用事があるからとその誘いを断ってしまいます。

そして花火大会当日、思ったより早く用事が済んだ朝陽君は花火大会へ向かうゆめちゃんに出くわし、成り行きで一緒に花火大会に行く事になります。花火大会の出店を楽しむゆめちゃんたちでしたが、そこでゆめちゃんは二人で歩く杉山先輩と百合先輩を目撃します。そして森村さんは朝陽君たちと鉢合わせしてしまうのでした。

涙ながらに走り去っていく森村さん。そんな森村さんにゆに達はブラックスキーマを見出します。その機を逃さず、ゆにはそのブラックスキーマに向けてブックアビスを投げ入れるのです。

【幼なじみとは?】
日向ゆめの世界において南川朝陽とはどのような存在なのか?これについてはこれまで何度も「幼なじみ」という言葉で表されてきた。そしてこの幼なじみという言葉はここまでも、そしてこの後も恋愛感情を否定する言葉として用いられる。花火大会に一緒に行くという行動に際してもゆめちゃんにはそれほど強い意識は感じられない。だが当人にとってどうあれ、周りからの見え方というのはおのずと別な問題であって・・・。

【修羅場】
近年、昼間のアニメでこのレベルの修羅場ってあまりやってこなかったように思う。純粋なラブコメがメインストリームから外れても、恋愛要素の需要が完全に無くなったとは到底思えないのだがなぁ。だが「男」の存在を毛嫌いする一定の層が確実にあるわけで。

それはともかく、この修羅場に対してゆめちゃんは「誤解を与えそうなら追いかけて謝るべきだ」、「付き合っているなんて誤解されると困る」とやはり「幼なじみ」としての言動に終始している。ゆめちゃんはこの状況をあまり深く考えてはいないように見える。

そう、ここまではまだ。

【ユメシンクロ】
森村さんが「日向さん」の事をどれだけ知っていたのかは推測するしかない。ただブラックアビスに侵されたとはいえ、森村さんが「あの子のせいで」「あなたさえいなければ」とゆめちゃんに詰め寄ったのは案外本音だったんじゃないか。その時もゆめちゃんは「ただの幼なじみ」と従来の主張を繰り返すが、森村さんは「だから何だっていうの」と意に介さない。

ここで初めて「全く知らない他者から見た時、自分たちがどう映るのか」に思い至ったのかもしれない。それはこの時点ですでに幼なじみだという事を知っている、杉山先輩と百合先輩の事にも思いをはせる事になったはずだ。

【このもやもやは・・・】
事件が解決し、結果的に一緒に花火を見ることができた森村さん。そしてそれをはたで見ているゆめちゃんたち。その胸にあるはいかなる想いか?「幼なじみとしてどや?」とまいらちゃんにツッコまれた時も、いつもの窓越しの会話にも迷いが見て取れる。ここでみゅーちゃんも何か感じるところがあったように見える。

ラストカットにその迷いが凝縮されている。

【忘れてはいけないこと】
重要なのはこれがあくまで話の始まりにすぎないという事。19、20話で森村さんの存在がゆめちゃんの感情をひっかきまわす。

そしてもう一つ忘れてはいけないのがこの話の中に28話につながる重要な伏線が引かれている事。

【まとめ】
いろいろな想いが交錯し、当たり前だと思っていたものが変化していく。まさに物語の潮目を変えるエピソードだ。