日々是雑感

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ひろがるスカイ!プリキュア総括

2024-01-28 15:54:28 | アニメ

盛大にお別れした後、すぐ再会というのはある意味お約束ではある。次回作への引継ぎを変に本編中にねじ込まなかったことも評価はできる。ただ全体を見ると少し厳しい評価をせざるを得ないのも事実。というわけでここから総括。

少年ソラ・ハレワタール

主人公というべきスカイランド出身のヒーローを目指す女の子、ソラ・ハレワタール。私は私は彼女に「女の子」をそれほど感じなかった。こういう事を言うと「ジェンダーがどうの」という人がいるかもしれないが、「女の子らしさ」というのは確かにあってそれを否定することはできない。「女の子向け」と言っている「プリキュア」というシリーズがそれを否定しようとするなら、自己矛盾を抱えて(抱えされられて)しまっている事となる。

ヒーローという言葉が意味するところにはやはり男性的なものがある。そこを目指す以上、彼女が「男性的」にならざるを得ないのは致し方ないとは思う。だが姿形以外で彼女を「女の子である」と示せたかと言えば私にはそうは思えなかった。

いわゆる「男プリキュア否定論」で「男を出すと『ボーイッシュな女の子』を出せなくなる」というのを聞く事がある。だが「ボーイッシュ」というのは女の子であることを否定する言葉じゃない。だから「ボーイッシュな女の子」と「男の子」は全然違う存在で、この二つを並立させることは十分に可能だ。しかし多くの部分でソラは「男の子」であるツバサと被ってしまった。ツバサという「男の子」の存在によってソラ・ハレワタールの男性性が際立つことになったとも言い換えてもいい。

だから少なくない人が「ソラまし百合~」とか言っていても、私には普通の男の子と女の子のカップルのようにしか見えなかった。だとしたらソラ・ハレワタールが徐々に主人公としての格を失って、その座を虹ヶ丘ましろに譲っていったのは当然の帰結と言えるかもしれない。異世界出身の精神的には男の子なキャラクターは女の子にとってあこがれる存在にはなりえても、感情移入はしにくいだろうからだ。

 

20周年の施策

20周年の施策を見ていると東映アニメーション側はどうにも「プリキュアとはこういうものだ」とされている一般的な常識をむきになって否定しようとしているように映る。

「ひろがるスカイ!プリキュア」にもおけるそれは発想がそこで止まっているように思う。否定したもののその先を感じられないのだ。前述のソラ・ハレワタール、「初のレギュラー男子プリキュア」を喧伝するために物語的にも販促的にも重要であるはずのプニバード族という設定が小出しになったキュアウィング=ツバサ。本来なら追加戦士と言われる程に初変身が引き延ばされた挙句、いらぬツッコミどころ(注)まで生んでしまったキュアバタフライ=聖あげは。トロフィーとして、中心商品の一つとしての存在価値を犠牲にする事でキュアマジェスティ=プリンセス・エルは何を得たのだろう。

「悪役会議」をしなかったことは結局ストーリーの推進力を失わせ、悪役ひいてはそれと闘うプリキュアの魅力をそぐ結果にしかならなかった。「悪役会議」をしたくないのならば、アンダーグ帝国のような明確な敵組織を設定せずに一話完結にこだわればよかったのだ。悪役であったバッタモンダーを掘り下げる事で虹ヶ丘ましろ=キュアプリズムを掘り下げられたのは皮肉以外の何物でもない。

何か一般的な常識を覆してやろうという制作側と女の子向けを作ろうというバンダイナムコを軸にしたスポンサー側とが「プリキュアを作る」という点では一致していたものの、バラバラな方向を向いた結果こうなったという感は否めない。

 

次回からは「わんだふるぷりきゅあ!」。タイトルを全てひらがなにしたことでより低年齢層に特化していくのか、それともあえて逆張りをしていくのか、また少し距離を置いて見守りたいと思う。

 

 

 

 

 

 

注:「研修期間長すぎ」問題に関しては年齢を22~3に引き上げた上で「ソラシド保育園の新米保育士」にすれば回避できたんじゃね?別のツッコミどころは生まれるかもしれないけど。


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