うたのすけの日常

日々の単なる日記等

うたのすけの日常 自費出版のお話

2008-01-24 06:06:22 | 身辺雑記

新風舎倒産騒動ひと事でなし<o:p></o:p>

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 自費出版の大手出版社が、詐欺まがいの営業で裁判沙汰となりました。その結果かどうか分かりませんが、倒産騒ぎとなり契約だけでも億単位の出版契約が、代金だけ頂いたまま出版棚上げ状態ということです。多くの執筆者が心血を注いで書き上げたに違いない作品が、宙に浮いたまま、代金も返らず著者にとっては痛恨やるかた無き事態に落とされたわけです。新聞テレビなどで次第に新風舎の内情というか、営業の実態が明らかになってきました。それによると最初から契約した出版物を市場に流通させる意思など無く、ただ代金を収奪する組織だった疑いが濃厚になってきたわけです。追々にそのことについては明らかになるでしょうが、今回あるテレビ局で著者を出版契約に誘い込むマニュアルが公開されました。持ち込まれた作品をそれぞれ褒め上げるといった、くすぐりのテクニックなどが並んでいます。ハハーン、あたしの場合と似たり寄ったりなのです。そうです。あたしも今一歩でその気にさせられそうになったのです。しかし費用と自著を天秤にかけみて、作品にいまひとつ自信もなく、費用の用立てにも二の足を踏んだりして契約をしませんでした。正直言ってその時はあたしの一方的な判断で諦めたわけでして、新風舎の営業の姿勢に何の疑問を抱いたわけではありません。<o:p></o:p>

 ある日「新風舎出版賞」なる広告が新聞に載りました。いろいろ応募内容が書かれていまして、結論としては大賞を含め12作品を賞金授与と共に出版化するということです。あたしは一応脱稿した戯曲がありましたので乗りました。鋭意添削して応募しました。タイトルは「ひぐらし食堂」芝居の本です。<o:p></o:p>

 先ず応募のお礼を兼ねた作品受領の通知。次に1次審査通過。そして2次審査通過の知らせで「三次審査」を経て「最終審査」の結果は応募者全員に通知するといった内容でした。そしてご挨拶のタイトルで結果が知らされました。勿論あたしの名前はなく入賞作品の冊子が送られてきました。中々立派な冊子です。そして別途あたしの作品に対する審査コメントがあります。やや間が空いた後共同出版を勧める案内が届きました。<o:p></o:p>

 コメントはテレビで報じられたマニュアルに沿ったもののようです。ざっと書いてみます「しみじみとした味わいを持った作品です…どの人物も実に個性的に描かれていて、声が聞こえてきそうなほど生き生きと作品の中を動き回っているのが印象的でした。戦後の日本の様子を伝える戯曲として、多くの人に受け入れられる可能性を持った作品」<o:p></o:p>

 大いに気持はくすぐられ、その気にさせられたことも事実であります。出版プロデューサーと数回メールのやり取りの後、あたしは新風舎に出掛けていきました。<o:p></o:p>

受付を通して一室に通され担当者が名刺を差し出します。あたしはいささか緊張気味で挨拶を返し、今度は落ち着いて椅子に掛けます。話の内容は精しくはおぼえていませんが、とにかく会社の宣伝と出版物の流通機構の完璧さが話の主眼でした。机上には既にあたしの名前が刷り込まれた「ひぐらし食堂」出版企画書なるものが置かれていました。<o:p></o:p>

企画は造本にこだわるA、簡素で上質なB、並製のCとあります。Aを要点だけ取り上げてみます。B6判ハードカバー(上製)、カバー・帯ともフルカラー、ページ数96ページ内、発行部数500部、予価1400円。そして著者ご負担費用の合計金額提示です。この段階であたしの気持は冷えてきました。なにしろその金額が税込み194万2千5百円です。そして但し書きとして通常価額は259万3千5百円で、今回の価額は新風舎出版賞の特別価額ということでした。一番廉価な企画Cでも141万7千5百円です。よく新聞紙上で見る自費出版の価額とは雲泥の差でして、見ると聞くとでは大違いということをしみじみと知らされました。因みに企画Cの出版本を見せてもらったのですが、見るも無残な冊子程度の代物なので吃驚しまして、ここで完全に出版に対する気持は消えました。<o:p></o:p>

帰りの道中の長かったこと、これもひとつの経験で大事にせねばならぬと、決して負け惜しみでなく肝に銘じた次第です。<o:p></o:p>

そんなわけでして、この際「ひぐらし食堂」をブログで発表し、陽の目を見せてやりたいなんて思ったりしております。<o:p></o:p>