観測にまつわる問題

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ウクライナの工場の技術が北朝鮮へ

2017-08-15 08:23:10 | メディア
保守速報・大艦巨砲主義で北朝鮮のICBMエンジンがウクライナでつくられたという共同通信の記事(元記事はニューヨークタイムズ)がリンクされていました。一言だけ述べれば、共同の記事は短すぎて、それを元に考えることは危険が多いということです。

日本語だとロシアよりの報道姿勢と言われるスプートニクの方が詳しいです。専門家の所属・氏名・工場の場所について具体的な言及があります。やっていいことか知りませんが、元記事へのリンクもありますね。筆者の感覚ではリンクを拒否する方が不審ですが、良く分からないのでおいておきます。ただ、元記事を翻訳機能で読んだところ、ロシアの関与をにおわせる部分は省略しているので、元記事にあたるのがベストだと思います。翻訳した日本語は変ですが、まぁ大体意味は分かる感じです。ニューヨークタイムズが元ネタだと信じていいのか迷う保守派日本人は結構いると思いますが、解説している専門家の身元がハッキリしているので、そこまで疑わなくてもいいのではないかと思います。

North Korea’s Missile Success Is Linked to Ukrainian Plant, Investigators Say(By WILLIAM J. BROAD and DAVID E. SANGERAUG. 14, 2017)

主として解説している専門家は国際戦略研究所(ウィキペディア)のMichael Elleman氏です。国際戦略研究所はフォード財団の支援によりロンドンに設立された民間の国際的戦略研究機関で、アジアにおいてはアジア安全保障会議(通称:シャングリラ会合)を開催しています。>開催地はシンガポールのシャングリラホテルで、アジア太平洋地域と関係する国々の国防大臣などが、地域の課題や防衛協力などを議論することを目的としている。参加国は、日本、米国、中国、韓国、英国、豪州、シンガポール、ベトナム、マレーシア、フィリピンなど31か国に及ぶ。・・・ということですが、筆者もシャングリラ会合の名前は聞き覚えがあります。中国は嫌がっているらしく(自分の拡張主義がバラされてしまいますからね)中国軍幹部を派遣しないとか何とか(北の核・ミサイルに懸念 アジア安保会議が開幕 産経ニュース 2017.6.3 08:26)。ちなみに検索で「中国 シャングリラ会合」で検索すると、中国メディアの中国が評価された!という記事がゾロゾロ上位で出てきます。ワロス。しかし、共同は専門家の名前・所属ぐらい書けばいいのにね。情報の核心でしょうに。英米の言うことはそんなに大本営に都合が悪いですかね?ニューヨークタイムズが元で専門家や米情報機関って言われると、アメリカの専門家かと思いますよね。

工場の場所はウクライナ「ドニエプロ」で、冷戦後もロシアのミサイルをつくっていたようですが、(親露派の)ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ(ウィキペディア)大統領退任後、苦境に陥るようです。後任のオレクサンドル・トゥルチノフ大統領代行は所属政党が全ウクライナ連合「祖国」(ウィキペディア)ですから、反露・親欧米ですね。スプートニクはウクライナ危機後に工場に危機が訪れたとしているので、欧米のせいだと示唆したいのでしょう。それはともかく現在の大統領はペトロ・ポロシェンコですが、こちらも反露的性質が伺えます(ポロシェンコ大統領「対露制裁の強化」訴え 毎日新聞2017年2月22日 19時39分 ウクライナのポロシェンコ大統領、NATO加盟で国民投票と表明 産経ニュース2017.2.2 21:20)。武器密売に関わる怪しい奴だとする意見もあるようです(ペトロ・ポロシェンコが関わっていたもの、武器と売春と麻薬 マスコミにのらない海外記事 2014年5月26日)。こちらの元ネタのStrategic Culture Foundation (wikispooks)はモスクワに拠点を置く反シオニストのシンクタンクとウェブ出版組織だということです。ニュヨークタイムズ記事によると、ポロシェンコ政権は関与を強く否定しています。ウクライナ政府は、北朝鮮を「全体主義的、危険で予測不可能なもの」と見なし、この国に対するすべての制裁を支持している・・・だということです。

ロシアに渡った経緯ですが、Michael Elleman氏はウクライナの複合体と強い関係を持つ大規模なロシアのミサイル企業であるEnergomashが技術移転に関与した可能性を排除できないとしています。

この工場のモデルRD-250は潜在的にコピーが簡単であるようです。(米当局者情報?)

Norbert Brüggeというドイツ人アナリストも北朝鮮のミサイルとウクライナの当該工場モデルが似ていると示唆したようです。

Bulletin of the Atomic Scientists(ウィキペディア)(原子力科学者の報道/米国)は新しいエンジンの詳細な分析を行い、それがRD-250から派生したと結論付けたそうです。記事によるとミサイルに関しては、アメリカに届く能力はありませんが、長期的には良いニュースでないということです(当初北朝鮮の欺瞞行為により誤った印象が与えられたようです)。

結論としては、北朝鮮のミサイルはウクライナの工場のミサイルから派生していることは否めないと思いますが、それが北朝鮮に渡った経緯は良く分かりません。指摘されたようにロシアの関与でミサイル技術が横流しされた可能性もあると思いますし、ウクライナの工場が苦境に陥ったことから北朝鮮に直接流した可能性もあるかもしれません。諜報機関は勿論監視していたようですが失敗したようですね。ポロシェンコ大統領を何処まで信用するべきか分かりませんが、とにもかくにもよく話し合って対応策を練るべきでしょう(できることは勿論やっていると思いますが)。ウクライナの工場から技術が危ない国に拡散したら大変ですからね。

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