観測にまつわる問題

政治ブログ。政策中心。「北方領土」を考察する予定(未定)。

戦後復興を遂げて以降の日本経済とインフレ考

2024-03-04 00:41:27 | 経済財政
日銀 マイナス金利解除へ“布石”着々?注目すべき「5つの発信」を読み解く(日テレNEWS NNN)

私見では利上げの環境は全く整っていないと思います。金利を上げたら、ただでさえ貸出不足の金融機関から借りる人が減ってしまうのは自明でしょうから。国外への国内資金の逃避を防ぐためには円安でなければならないのと同じ理屈です。日本人は借金が嫌い過ぎるんです。借金で身を亡ぼす人は多く、そういう見方に一理はありますが、企業が借金せず、自前の資金のみで事業をするなら、需要が無いのですから、当然国民が預けても利息はつきません。借金をする人がいて、預ける意味が出てくる訳です。無借金経営等、経済的には悪徳そのもののようにしか見えませんし、少なくとも美徳のように吹聴するのは間違っています。全体的に市場が縮小する中、誰がお金を借りてでも事業するのか?という話ですが、それが出来る人が評価されて然るべきですし、それが出来ないなら、低金利に甘んじるしかありません。民間資金が動かないのですから、当然経済は悪くなります。これが近年の日本で起こってきたことで、これを変えるには誰かがお金を借りて事業をするしかありません。出来ないことを言ってるのではなく、先進国では日本だけが出来てなかったことです。そしてお金を借りて事業をする人が少ないのであれば、低金利にしておくしかない。金利を上げて経済を良くしようなんて邪道ですし、お金を借りようという人が益々減って、ドツボに嵌るようにしか私には思えないところです。頭のいい人が無駄に難しく考えて、自分でも分からなくなっているんじゃないかなぁ。

金利を上げたら、銀行は儲かるのかもしれませんがね。銀行を儲けさせて日本を貧しくする理由がありません。銀行の人は貸出しする努力をしてくださいねといったところです。

ただ民間の貸し出しが増えると、勿論インフレになります。インフレで大丈夫なのかという話ですが、インフレを定着させて、手元資金を厚く積む企業とか内部留保を貯めこむ企業を煽るのが政策目的ですから、全然全く構わないと私は思います。そんな経済のためにならないことをするなら、労働者に還元して、消費を刺激してくれということなんです。設備投資でも構いません。どの程度インフレになったら不味いのかの数値基準は恐らく無いと思いますが(賃金の上昇が上回れば、基本的に問題ないですし、欧米は問題ありませんでした)、ハイパーインフレは勿論失敗にはなります。毎度デノミをする訳にはいきませんからね。

賃金の上昇が物価の上昇を上回らないのは悪いインフレと言われますが、要はコストプッシュインフレが悪いインフレということなのでしょう。だから円高がいいのではないかという人が出てくるのですが、円高だとただでさえ国外に流出している日本の資金が益々流出するのは間違いありません。OPECとかが原油を増産してくれると良いのかもしれませんがね(資源エネルギーは侵略国のロシアを支えており、資源エネルギー政策は安全保障にも関わりますが、(中東とか特に)こちらを立てればあちらが立たずの複雑な面があって、ここでは置いておきます)。何でも安定しているのがいいので(まともな投資の見通しが立ちません)、(FXとかをやっている)投機家が儲けようと美人投票せず、為替が乱高下しないでくれるといいのですが(政府が投機家に嫌がらせをして恨まれるのは正解のような気がします)。投機家の皆さんはマネーゲームで遊んでないで、事業にお金を投下してくださいということで、あなた方が日本経済を停滞させている一因です。勿論土地に皆で投資して値上がりを待つ等、もっての他です。株は企業が賃上げや設備投資にお金を使ってくれるなら、値上がり待ちの投資は歓迎できますが、国内資金はまだ日本株に流れていないとされます。中国人に底値で買われた形はシャクですが、自傷行為で日本株を下げて得するのは志の低い(自分が政権与党になりたいだけの)野党諸氏だけでしょう。中国本国はああはなりましたが、転んでもタダではおきない人達ということなんでしょうし、中々手ごわい人達に(尖閣とか)日本も侵略されたものです。

コストが上昇したら値上げするのは当然ですが、便乗値上げで、経営者が自分や会社の懐にいれるなら大問題です。これは単なるコストプッシュインフレで悪いインフレになります。労務費もコストですが、賃上げのための値上げは経済にとって基本的に問題ないはずではあります。一時的な(一括払いの)設備投資のための値上げは、すぐに便乗値上げになりえます。

以上ですが、賃上げにも陥穽があって、賃上げの流れが定着してから言えという話なのですが、予め書いておくと、労働者が消費しなければ、賃上げしても意味がありません。タンス預金(ヘソクリ=不記載を奨励している訳ではありません!)はここでも悪な訳です。消費性向が高いところ=若者の給与上げ(初任給上げ)は経済的に正義と言え、丁稚奉公/仕事は買ってでもしろは(少なくとも平均寿命が延びた現代社会では)(俯瞰的にみれば)悪なんです。やはり仕事の対価は必要です。老後が不安で貯蓄がよく言われますが、老後を迎えるまでに経済がボロボロになっていたら意味が無く、そこは政府を信頼して、日本経済に良いことをするしかないと思います。つまり需要が無い=頼まれてもいないのにそんなに貯蓄してもしょうがありません。どうせ今の日本の医療介護制度は高齢者世代の貰い過ぎ(賦課方式で払ってもないものを貰っている)なので調整が入るでしょうが、もらえなくなることはないでしょうし、何時まで生きるか分からないのに適切に貯めることは出来ず(死ぬまで貰える年金は良くできた制度です)、身を削って貯めたとして、高齢者になってお金が使えるとも思いません。医療介護政策は重要だと思いますが、不満があるからと言って、過剰な(何があるか分からないのである程度の資金は必要としても老後の生活を賄うほどの)貯蓄に走るのは更にドツボに向かう道だと言えるのではないでしょうか。高齢者になる前に(ローンの払い終わった)自宅があれば、年金で暮らせるのが目安になるような気もしますが、医療介護政策にここで踏み込むのは止めておきます。

最後に簡単にまとめておくと、利上げは引き締めの手段ですから、経済が過熱していない現状では環境が整っていません。真剣に検討すること自体が誤ったメッセージになるでしょう。経済の過熱の定義は中々難しいと思いますが、上がった株価が賃金(や設備投資)に回ったら(賃上げする企業の株価の上昇が定着すれば)、ひとまずテイクオフしたと言えるでしょう。また良いインフレが定着して、社会が物価の上昇を織り込むようになったら、利上げしても問題ないと思います(インフレで名目儲かりますから、利上げしないと辻褄があいません)。利上げで経済を良くするという発想があるとしたら、それは可笑しいんですね。利下げが経済を刺激する手段のはずですから。つまり現状の日本経済は光が見えてきていますが、外国マネーの流入によるので、安定していると言えず、大丈夫と言えるか疑問な訳です。まぁ外国マネーが逃げたら、また利下げすればいいのかもしれませんがね。どうもインフレを定着させるという迫力(意志)が欠けているように見えて、このような記事を書いた次第です。今は悪いインフレ状態で無理もないのですが。時間が経ったら良いインフレに変わるものでもないように見えたというのもあります。

追記:戦後復興を遂げるまでは、いくら貯金しても構わなかったと思います。使いどころだらけだったでしょうから。問題はその後ですね。バブルは過剰な土地投機に走った失敗の象徴です。無借金経営が持て囃されたのもミスリードとしか思えません。

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