観測にまつわる問題

政治ブログ。政策中心。「多重下請」「保険」「相続」「農業」「医者の給与」「解雇規制」「国民年金」を考察する予定。

岩屑なだれ(富士山と防災)

2018-03-28 21:41:16 | 政策関連メモ
富士山の山体崩壊(東京新聞2012年10月31日コラム「談論誘発」)

>このように山体崩壊は広域的かつ深刻な現象であるが、現行の富士山のハザードマップでは想定されていないため、それに対する避難計画も存在しない。「想定外」となった主な理由は、約5000年に1回という発生頻度の小ささである。

>しかし、たとえ発生頻度が小さくても、起きた時の被害が甚大である現象に対して全く無防備だとどうなるかを、昨年私たちは嫌と言うほど見せつけられた。東日本大震災と福島原発災害である。しかも、最近の研究によって、宝永噴火の際にも地下のマグマの「突き上げ」による宝永山の隆起が起き、山体崩壊の一歩手前まで行ったことが明らかになった。

>幸いにして、こうした明瞭な前兆をともなう山体崩壊は、山の変形を監視することによる予知が可能である。しかし、山体崩壊を想定したハザードマップと避難計画がない現状では、40万人もの人間をすみやかに遠方に避難させることは困難である。山体崩壊による甚大な被害が予想される静岡・山梨・神奈川の3県は、それを考慮した避難対策を早急に作成すべきである。


静岡大学小山研究室

富士山の裾野には大勢の人が住んでますしね。可能性が低くともやはり心配なところがあります。想定し研究することは大切ではないかと思います。

自然は改変できますけど、自然にあわせるようなところも必要ではないでしょうか?

火山砂防・火山防災(国土交通省)

火山砂防もあるようですが、富士山が入っていないのは、①発生頻度の低さ②規模の大きさから来る対策の困難性が考えられます。ただ、①に関しては、確率が低い事象も日本の何処かでは起こりますから、特に被害が大きそうなところでは十分検討する必要があると思います。

阪神大震災の時に動いたと言われる野島断層(ウィキペディア)も前回の活動時期は約2000年前と推定されます。数1000年クラスの災害も日本の何処かでと考えるとわりとある訳で、何も考えない何も対策しないという訳にはいかないはずです。

昔はさしたる知見・技術がありませんでしたが、今は知見も深まり技術も向上しています。何も想定していなかったら、今後知見も技術も上がる見込みもありません。

富士山噴火に備え緊急対策、国交省が策定

>国土交通省は3月13日、富士山の噴火で生じる土砂災害に備えて、仮設の堰堤(えんてい)を設置することなどを盛り込んだ緊急減災対策を定めた。着手するのは噴火の前兆が表れた時だが、平常時から行うべき準備事項も列挙している。

規模が大きそうだからこそ、仮設で大丈夫かなとは思いますね。富士山は世界遺産ですが、自然遺産ではないので、手を加えても別に構わないのではないかと思うのですが、どうなんでしょうね。文化遺産というなら手を加えるのも文化で、景観を損ねないように工夫すればいいと思うのですが。仮設で対処できるなら仮設でいいと思いますが、常設+仮設も有り得るんじゃないでしょうか。地盤改良(ウィキペディア)の技術を応用できないかとか、不恰好かもしれませんが、穴を掘ったり壁を建てたりして誘導できないかとか考えてしまいますね。

「富士山 岩屑なだれ」で検索して出てきたページ(2番目)

4.実績図(富士山火山防災協議会 内閣府)

岩屑なだれは止められるのか心配してしまいますが、雪泥流(ウィキペディア)は対策ができそうなんですよね。16世紀以降、明治以前の実績の流れを見るとどうも、川を雪泥流を流れることがあるようです。昭和以降は山麓を流れただけのようですが、対策をしているという南西部以外が心配です。

新しい雪氷災害「雪泥流」とその予測(新潟大学 小林俊一*)

富士山には川が無い!(かなた富士山研究所 オフィシャルブログ)

富士山には川がないと言いますけど、山麓から地下水が湧出して川が出来ているんですよね。川まで雪泥流が辿りつくと一気に下流まで行く恐れがある訳で、その対策が考えられているのかなと心配します。



「富士山 岩屑なだれ」で検索して出てきたページ(4番目)

「火山」としての富士山(大石雅之のホームページ)

>なぜ300年間も噴火しないのか

巻頭言:特集「トレンチ調査による富士火山の噴火史の高精度化」(地質調査研究報告)

「富士火山は,実は,噴火活動に盛衰の波がある火山である」ということで、今は静謐期なんですね。少し安心しました。

>なぜ2200年前以降、山頂噴火をしないのか
>2400年前の大事件―御殿場岩屑なだれで富士山はどのように崩壊・修復したか。

第6回 富士山の誕生と噴火の歴史をひもとく(NHK備える防災)

6万年前の箱根山の大噴火による火砕流は東京近くまで辿りついたのだとか。まぁウン万年に一度の災害の想定をしたくないというのも分かりますね。気になるのは2900年前の御殿場の山体崩壊です。これは富士川河口断層帯での地震が原因なのだとか。そう考えると火山が山体の変化で大きな噴火が予測できるとしても、地震による山体崩壊は予測困難ということになると思います。大体が火山は崩れ易いそうですが、地震と火山の連動を憶測する言説はよく見かけますが、地震と火山の山体崩壊の関連性を指摘した言説は寡聞にして見たことはありませんでした。富士山以外も要チェックかもしれません。

富士山の修復は小規模な噴火の繰り返しによって行われたようです。

宝永噴火は南海トラフ地震が引き金になって起こったようです。静謐期と言われる富士山で突然の噴火があるとしたら、南海トラフ地震が関連する可能性もありますが、大地震と噴火の関連性は必ずしも明確ではないようです(巨大地震は火山噴火のトリガー(引き金)か? —研究者らの議論より— サイエンスポータル)。南海トラフ、過去に100~150年の周期で発生(産経新聞 2016.4.2 04:30)だということですから、80年生きる現代では、一生に一回起こってもおかしくはないと言えるので、かなり現実的な危険だと思います。それに連動する可能性があるなら、やはり問題ですね。マグマだまりの位置や形状が分かれば、地震がどう刺激するかあるいは関係ないのか分かってくるとは思いますが、仕組みが分からないと予測は難しいと思います(データの蓄積での予測も有効と思いますが、地形が変わって次の動きが変わる可能性があるので、やはり地下の構造が分かることが重要な気がします)。

首都圏も大量降灰か、富士山噴火対策初検討 避難の目安となる噴火規模や降灰予測を議論(読売新聞 2018年03月26日 東洋経済オンライン)

>大沢崩れは将来山頂を真っ二つにする?

富士山の基礎知識 大沢崩れはなぜそこにあるのか?vol.1(国土交通省中部地方整備局)

大沢崩れは続くようですね。基本的には崩れたところは噴火で埋めるようですが、それが無さそうだということです。ただ、地震や雪泥流(北部や東部でも実績があります)との関連性はより考えられていいのかもしれません。崩れ易いところは大きな刺激で簡単に崩れることは道理です。対策は取れると思いますが、規模が大きいものが何処まで対策できるかが心配です。

>足柄峠はなぜ使われなくなった?

歴史時代の3大噴火であるところの宝永噴火で足柄峠に降砂があったのでそれが関係しているかもしれません。距離的に足柄峠よりは箱根峠の方が降砂の影響が少ないと考えられます。

防災講演録(4)富士山宝永大爆発ー災害と復興の社会史ー(消防防災博物館 永原 慶二(一橋大学名誉教授・和光大学名誉教授))

>足柄地方の民衆は藩の無力ぶりをすぐ見すかして見切りをつけ、幕府に直接願い出ようとします。江戸に集団で願い出れば一揆強訴と見なされ藩は取り潰されてしまいますから、藩側は危機意識を強めて、訴願集団を何としても小田原藩内から出さないことだけに一所懸命になっていました。それでも足柄の地元百カ村以上の村々の住民は各地で集会を開き、その規模は5000人を超え、小田原藩役人の制止を聞かず、集団で江戸に訴願に行くことになりました。これを聞いた藩主は次々に使を出し、それを途中で止めようとしましたが、品川まで来たところで江戸藩邸からの使者がその場しのぎの二枚舌でやっとこれを食い止めるといった状況でした。

民衆を怒らせると藩などの言うことは聞かないのかもしれません。無力な権力は罪とも言えます。

富士山の大規模噴火と山体崩壊(宮地直道 日本大学文理学部 日本火山学界)
過去1万1000年間の富士火山の噴火史と噴出率,噴火規模の推移(宮地直道 山梨県富士山科学研究所)

古富士の変質帯が山体崩壊のすべり面となる可能性が高く、変質帯の分布を確認することが大切だということです。産総研の約50年ぶりに富士山の地質図を全面改定で調査されたかは分かりません。

「富士山 岩屑なだれ」で検索して出てきたページ(5番目)

富士山 山体崩壊の危機 ドローンで追う大沢崩れ(WEDGE 2015年10月14日)


Mount St. Helens Erupting(YouTube)

これは衝撃的ですね。

>昔から富士山の土石流は麓の人々の生活を脅かし被害を与えてきた。最近では1972年(昭和47年)と1979年(昭和54年)に大きな土石流が発生し、潤井川を始め数多くの川に被害が出た。このような災害を未然に防ぐために、大沢崩れの土石流を砂防ダムによって食い止める工事が国土交通省富士山砂防事業として継続されており、現在は土石流による下流域の被害はほとんどなくなったとのことである。

砂防ダムは無駄の象徴みたいに言われてましたが、必ずしもそうではないのではないかと思います。無駄無駄言われて必要な砂防事業が行われないことがあるとしたら問題ですね。景観に調和した砂防ダムも有り得ます(景観に配慮した砂防施設の紹介(今久保谷堰堤による地域振興支援 国土交通省四国地方整備局 内山俊浩)。

火山体崩壊 - 防災基礎講座 災害事例編 - 防災科学技術研究所

もっとも大型の成層火山であるがゆえにもっとも山体崩壊に注意すべきなのが富士山なのかもしれません。

火山土地条件図「富士山」について(国土交通省国土地理院)

>2000年11月21日に大沢崩れ下部で発生した大規模な土石流では、28万m3(ダンプカー5万6千台分)もの土砂が流出しましたが、大沢扇状地上に設置された砂防施設により下流への影響はありませんでした。


富士山の山体崩壊がつくった流れ山地形 Hummocky hills made by the Gotemba debris avalanche at Fuji Volcano(YouTube)

山体崩壊後も時が経てばこんな美しい土地になるんですね。美しくとも恐ろしいのが自然ということでしょうか。






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