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観測にまつわる問題

政治ブログです。「保険」「相続」「国民年金」「AIロボット」「運輸エンタメ長時間労働」「GX」を考察予定。

小林よしのり氏の「脱原発論」が国民に理論的根拠を与える2

2011-12-08 20:46:24 | 日記
中断していた前回の記事を再開する。今週号のSAPIOでも相変わらずぶっていて看過できないと判断した次第(時間の関係上、今週号の分の批判はまた次回)。

>真面目に「エネルギー安全保障」を考えるのなら、確実に化石燃料を調達できるように外交分野に全力を挙げ、シーレーン防衛を確固たるものとする一方~(63p)

小林はオーストラリア(やアメリカやカナダ)といった資源国との間で関税を下げるTPPに断固として反対している。とてもエネルギー安全保障に関心のある人間の言説には見えないのだが、小林が口を極めて罵っている国基研などの保守派はTPPを推進している。何も考えてない小林に言われなくても、エネルギー安全保障ぐらい考えているだろう。反米にせいを出すのもいいが、シーレーン防衛に力を入れているのは小林の嫌いなアメリカで、日本はそういうことをあまりやってない(安保のタダ乗りではないかと言われている)のだが、ポチとも揶揄される親米保守は小林に言われずとも、シーレーン防衛を言ってきているのはそういうものを読んでる人間はみんな知っていると思う。

>~同時に尖閣の油田や近海のメタンハイドレードといった日本国内に潤沢にあるといわれる資源を開発し、さらに自然エネルギーの割合をできる限り増やせるよう技術を進めることだ。(63p)

メタンハイドレードは深海底にあり、採掘は経済的に見合わない。採掘し易いエネルギー資源が枯渇したらペイするようになるので、技術を開発してその時を待てば良い。尖閣の油田が採掘困難なのは中国との絡みで明らか(資源量もそれほどでもないという)で、自然エネルギーの不経済も明らかだ。残念ながら、日本がエネルギー資源貧国なのは明らかで、技術は開発すべきだが、現状は輸入に頼らざるを得ない(が、国際オンチ・経済オンチの小林は何も考えず好き放題吼える)。大体、安全保障や尖閣に興味があるなら、F-Xへの小林の無関心が全く解せない。国防論を書くぐらいなら、こういう話題を知らないはずがないと思うのだが、島国日本の航空防衛産業が潰れるか潰れないかの瀬戸際に何も言わないのは、あるいは何も知らないのではなかろうか。かつてのF-2で圧力をかけたのが周知の事実のアメリカが今回何も言ってないとは考えにくいのだが、(ビンラディンを応援してしまうぐらい)ガチガチの反米小林がここでアメリカに噛み付かないのが何とも不可解なのである・・・やはり何も知らないのではないか。知っててスルーするなら、そういうインチキ反米は止めてほしい。アメリカに対し日本の国益を主張する味方がひとりでもほしい時に何の役にも立たない反米なんて存在意義はゼロだ。

>「安全保障」のためには、逆に「原発を即時に止めろ!」と言わなければならない。原発は危険過ぎるからだ!(63p)

もっとも危険なのは明らかに火力発電(石炭)である。他所の国の炭鉱で幾ら人が死のうが日本には関係ないと言うのであれば、その限りではないが。真偽はさておき、エネルギーで戦争をしていると言われる国もある。「安全保障のために原発を即時に止めろ!」は小林が思うほど自明ではないのだが。

>先祖伝来の土地、生まれ育った故郷を無理矢理追われ、愛するふるさとが荒廃していくのを防ぐ手立てもない人々の気持ちを考えた形跡もない。(64p)

小林が知らないだけである。愛国的な人々が福島を応援するとともに、原発に理解を求めるスタンスを崩さない実例は幾らもある。

また、先祖伝来の土地どころか、気候変動で地球規模で環境が激変すると言われており、原発は発電段階でCO2を排出せず現実的な気候変動対策にもなるが、小林は気候変動論自体をプロパガンダと切り捨てている(59P)。しかし、そんなに美しい故郷(そのような描写がある)を守りたいのなら、もう少し真面目に気候変動論を勉強してはどうだろうか。中々実効的な対策は難しいものはあると思うが、気候変動論をプロパガンダと切り捨てるのは極論のようである。

>チェルノブイリでは~(65p)

チェルノブイリは黒鉛炉であり、相当に古い型である。黒鉛とは炭素であり非常に燃え易く、それを原子炉近くに配置している黒鉛炉とは極めて危険な構造で、火災が発生したことにより、放射性物質が遠くに拡散したのである(「放射線防護の基礎知識」高田純著 イーグルパブリシンング 18p)。黒鉛炉は核兵器用のプルトニウム生産に適しているとされ、あの北朝鮮も保持している。チェルノブイリ事故は地震で起きたわけではない。朝鮮半島に地震が少ないと言えど、全く安心できないのは明らかである。日本の原発の安全対策は真剣に考えられるべきだが、脱原発で「あ~安心!」などという事には全然ならない。脱原発左翼は概ね新北(韓・中)(全て原発推進国である)で、そういうことを強く言わないので、注意した方がいい。

>東京に人っ子一人いなくなる~(66p)

(筆者も含め)専門的なことを知らないとそういうことも考えてしまうだろうが、原理的にはそれは有り得なかったようである。

>まだ「日本の原発は安全」の神話を信じているのか!?(66p)

ワラ人形叩き(デマ)である。日本の耐震技術は世界でも最高レベルとは思っているが、原発の安全向上の余地はまだまだあるだろう。だからこそ、安全向上を言っているのである。

>中野氏は、~「原発そのものがこの世から消えることは有り得ません」と主張する。(67p)

(ウランが枯渇しない限り)確かに原発そのものがこの世から消えることは有り得ないだろう。英米も維持しているし、イランや北朝鮮も必死じゃないか。そのぐらい分れバカヤシ。

>中野剛志氏は、TPPの議論では素晴らしい著書も出しており~「原発」に関しては杜撰な理屈を振り回している。現経産省官僚の立場を超えて「公」に就くことは難しいのだろうか?(68p)

経産省はTPP推進である。全部が全部じゃないから中野氏のような人もいるのだろうが、現経産省官僚の立場を超えて「公」に就くことは可能なのであって、中野氏自身がそれを証明しているのではなかろうか。一体、何を勘違いしているのだろうか?

>発電システムを大規模集中型から地産地消型に分散化しようというのは、単純に効率の問題である。(69p)

小林は電力を何も知らない。地産地消型とか言ってみたところで、想定されている再生可能エネルギーは発電が不安定で使い物にならない。あれはヨーロッパなど広域ネットワークが前提で導入が増やせるものなのである(それでも効率は良くない)。言わば電力の融通のしあいが前提なので、地産地消もへったくれもなく、他産他消と言える。小林が言う地産地消が大都市に発電所を造れということなら出来なくもないだろうが、土地代は高い(効率が悪い)し、地方に仕事が無くなるだろう(まさかTPP反対の小林がレッセフェールで雇用は大丈夫と宣うわけではあるまい)。それに小林がお好きな再生可能エネルギーは効率論では絶対に導入されないと思うよ。大体効率論だけで電力が語れるなら初期投資が高い原発を止める脱原発など有り得ないのであって、単純な効率で電力を語る小林は脱原発の邪魔になっているとさえ指摘できる(理論的には)。

>中野氏は反原発運動を完全に左翼陰謀論で語ってしまっているが(70p)

小林は温暖化論を完全に左翼陰謀論で語ってしまっているし、反原発論の中核は左翼なのも間違いない(小林も認めるように小出氏はガチガチの左翼である)。

>軍事的安全保障から見ても(70p)

議論し対策すればいい(本当は)。ミサイルが飛んでくれば原発に当たらずとも(そう簡単に当たるものか)、人命は損なわれる。また、北朝鮮や中国は原発の平和的利用を言っているのであって、軍事的利用を堂々行なえばその威信は地に落ちる。拉致を認めた時のように。ただ、懸念されるのは、小林のようなプロパガンダ屋の煽りなのであって、トータルなエネルギーの問題を感情に任せて性急に決めるべきではない。