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観測にまつわる問題

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集団的自衛権と武器使用基準緩和(改定・整理)

2011-11-02 22:11:33 | 政策関連メモ
議論が分りにくいと思うので、要点を分り易く整理しておく。

①そもそも憲法を改正するべき(あるいは新憲法制定でも良い)

憲法9条を法庫より引用すると・・・

>第2章 戦争の放棄

>第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

>2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

字面だけ素直に読めば、自衛隊が違憲となってしまう(そう声高に主張する方々もいる)。陸海空軍その他戦力を保持しない、交戦権を認めないと書いてあるのだから。

だからと言って、自衛隊が本当に無くなってしまえば、北朝鮮や中国など他の国の軍隊に占領されることは自明と言える。まさか自衛隊が無くなった方がいいと思っている人はほとんどいないと思う。

結局のところ、ベストは自衛隊を法的にきちんと認める(様々な理由から厳しめに見ることはあってもいいと思うが)ことに違いない(議論しないより、しておいた方が安全だ)のだが、現状は憲法解釈で自衛隊は合憲となっているということを前提に考察するより他ない。すなわち、自衛のための戦争は放棄してないから、自衛隊は戦力ではないし、「交戦権」とやらが無くても自衛隊は仕事が出来る(本当は議論を詰めて分り易く憲法を変えた方がいいに決まっている、念のため)。

②集団的自衛権とは・・・集団的自衛権とは「他の国家が武力攻撃を受けた場合、これに密接な関係にある国家が被攻撃国を援助し、共同してその防衛にあたる権利」と定義される(ウィキペディア記載 筒井若水編「国際法辞典」有斐閣、1998年(p.176))・・・つまり、現行の憲法解釈では集団的自衛権を認めていないため、日本と密接な関係にあるアメリカ(同盟国)が攻撃されても、日本は共同して防衛しないことになっている。

実際、9.11テロでアメリカは攻撃されたが、憲法解釈を理由としてか、結局日本は給油支援で海上自衛隊を派遣するに止まっており、参戦と言えるほどのことはやってない(ただし、日本が攻撃された場合は、アメリカと共同して防衛することを想定しており、こうした日米安保の片務性に関して、筆者は改善が必要というスタンスである)。

ここで注目したいのは、密接な関係にある国家が攻撃された場合、共同して防衛にあたるという定義である。PKO(United Nations Peacekeeping Operations)(国際連合平和維持活動)は国連の活動であり、PKOに対する攻撃は国家に対する攻撃ではない。第一、日本はスーダンに攻撃されたわけでもない(自衛でない)にも関わらず、派兵しているのである。これは平和維持のための一種のボランティアなのだが、だからと言って、万一の事態に対処しないというわけにもいかない。派遣する以上、任務は十分に遂行されるべきであるが、現行の武器使用基準では残念ながら不十分な事態が想定されることは言うまでもない。改定すべきだろう。集団的自衛権の定義などからこれに支障があるとは思えない。

ついでに考察しておくと、イラクの後方支援活動などでも、この武器使用基準が問題となったが、日本はそもそもイラクに攻撃されたわけではなく(攻撃されたのはクウェートである)、集団的自衛権の問題にひっかかるとしたら、派兵自体にである。派兵を是とするならば、妙なことはするべきではない。「国家の速やかな再建を図るためにイラクにおいて行われている国民生活の安定と向上、民主的な手段による統治組織の設立等に向けたイラクの国民による自主的な努力を支援し、及び促進しようとする国際社会の取組に関し、我が国がこれに主体的かつ積極的に寄与するため、国際連合安全保障理事会決議第千四百八十三号を踏まえ、人道復興支援活動及び安全確保支援活動を行うこととし、もってイラクの国家の再建を通じて我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に資することを目的とする。」(イラク特措法)・・・やるならやるで任務はきっちり遂行するべきで、勿論復興支援の仲間とも協力すべきである。離れたところの文民の救出が前線になってしまうような逸脱を禁じることは必要なことではあるが。

③武器使用基準

報道によると、問題は一緒に居る他国部隊との協力と離れたところの文民(住民)の救出のようである(簡単に探したが、交戦規定/部隊行動基準そのものはネット上でみつけられなかった)。纏めておくと、自分の意見は一緒にいる他国部隊とは協力する、文民の救出は派遣の当初の想定に従い、範囲と行動を定めて行なう、である。特に後者は注意しておかないと、武装勢力が拉致を試みた場合、泥沼に足をつっこんでしまう可能性がある。自国民の拉致対応は十分やるべきと考えるが、平和維持活動の国際貢献が武装勢力との対峙/内戦の泥沼への関与に化ける事態は避けておいた方がいいはずで、さすがにそこまでは出来ない。やるべきは、南スーダンの(ジュバ周辺における)支援であるが、万一の事態に十分対応できるよう規定を見直すことは肝要であろう。