愛媛の伝承文化

大本敬久。民俗学・日本文化論。災害史・災害伝承。地域と文化、人間と社会。愛媛、四国を出発点に考えています。

文化財の防災ー仏像を盗難から防ぐー

2012年03月14日 | 日々雑記
昨日、四国で仏像盗難事件がありました。残念なことです。罰当たりです。怒りを感じつつ、文化財の防災というのは自然災害だけではなく犯罪という人災の面も考慮しておかなければいけないわけで、この点も常日頃から留意しておく必要があります。

ここ数年の仏像盗難の状況については2009年3月22日に四国新聞に掲載された特集記事「仏像が危ない」が端的にまとめられているので、ここに紹介しておきます。

http://www.shikoku-np.co.jp/feature/tuiseki/459/




さて、念のため今回の仏像盗難近年の類似事件で記憶に新しいものを少し紹介しておきます。


①【逮捕】平成21年1月に京都の有名な寺院で観音像が盗まれましたが、寺の防犯カメラに大きなものを持ち去る不審な男の姿が映っていた。近くの駐車場の防犯カメラにも似た男の姿があり、車両の特徴などから三重県に住む容疑者が浮上し、京都府警により逮捕されました。


②【逮捕】平成21年5~7月に奈良県で男(単独犯)が複数の寺から仏像約20体を盗難。京都の古物商に売却し、それがオークションにかけられたが、専門家が盗品と気づいて警察に通報。古物商に持ち込んだ男が浮上し、2カ月後に逮捕されました。


③【逮捕】平成21年秋に福岡県で盗まれた重要文化財の観音像。夜中に本堂の扉の南京錠4つを切断し盗難。関西の古物商に持ち込まれ、オークションにかけたところ盗品と判明。実行犯は4名。逮捕状をとって行方を追っていたところ、1人が福岡県の池で水死体で発見され、残る3人も間もなく逮捕。観音像は無事、お寺に戻されました。


④【逮捕】平成22年1月から23年3月にかけて和歌山県で仏像盗難が数十件発生していましたが、23年4月に仏像を盗んだ疑いで夫婦が逮捕されました。何度も仏像を盗んでは売却し生活費にしていたといいます。逮捕のきっかけは捜査員が大阪府内の古美術商で売られている盗品を発見したこと。これを持ち込んだ容疑者が特定でき、逮捕にいたりました。


⑤【逮捕】仏像盗難でもう一件、愛媛の事例。これは平成23年春(ちょうど1年前のこの時期)に香川県や四国中央市、西条市などで仏像盗難が多発。県内在住の複数犯で盗品は松山市内の店などで売りさばいたり、県外の古物商に持ち込んでいました。数ヵ月後の23年夏に逮捕され、押収された仏像や仏具は180点近く。その中には西条市指定文化財も入っていました。


今回の四国での盗難被害は、重要文化財の仏像がある寺であり、寺院内の他の仏像についてもカルテがしっかり作成されているはずです。手配書が作成しやすく、オークション等に出ても盗品と判明しやすいものです。今回のような仏像盗難は足が付きやすく、犯人は捕まる可能性の高い犯罪といえるのではないかと勝手ながら思っています。

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