TSUNODAの経営・経済つれづれ草

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鈴木敏文セブン&アイ・ホールディング会長の考え方

2009-06-30 06:57:14 | 経営全般
日経ビジネスマネジメント2009.vol6に先駆者の確信という特集で、鈴木敏文セブン&アイ・ホールディング会長による我が国の消費環境の分析などが記載されています。

 鈴木会長による我が国の消費者環境の変遷は以下のとおりです。

1970年代:モノを作れば売れた時代
経済成長の追い風に乗って、商品を売り場に並べれば売れた。売れない場合は価格を下げればよかった。
1980年代:商品に明暗が見え始めた時代
売れる商品と売れない商品の違いが出始めた。小売業は売れない商品を見極め、厳密な在庫管理を実践し、利益を確保
1990年代:消費飽和の時代
可処分所得が減少に転じたのは1997年。それ以前の所得増加時期でも消費者が財布の紐を締めた。精神的な不況。
2000年代:消費飽和が進んだ時代
値下げしても価値のない商品は売れない。質の充実を図り、新商品を投入することが求められる。
2010年代:購買意欲を刺激しないと売れない時代
価格見直しや新商品の投入に加え、イベント性のある販促などを通じて、消費者の背中を押す仕掛けが必要に。

 鈴木会長は今は、「消費者の購買意欲を刺激しないと売れない時代」だと考えています。消費者は既にモノをたくさん持っていて、セーターで言えば、3枚も4枚もタンスに入っています。タンスの中はいっぱいだから新しいモノを買う気になれない、だから、消費者の背中を押すような仕掛けが必要と考えます。

 それが、イトーヨーカ堂の下取りセールの実施に結びつきました。下取りセールは、ヨーカ堂の店内で一定金額以上の買い物をした人に対して、不要品を下取りし、現金を支払うものです。すでに7回実施していて、売上比で前年比20%前後伸びているそうです。

 この下取りセールの発想は、消費者のタンスの中がいっぱいなのだから、一度、タンスの中を空ける方策を考えてばよいということです。鈴木会長は、こうした発想がでてこないと成功していた過去は捨てられないと主張します。

 モノがうれない時代だから、消費者の背中を押す仕掛けを考えだすという発想が、セブンイレブンにおける商品の新鮮さをアピールする日販品の廃棄処分に繋がるのでしょうか。

 「消費者の背中を押す仕掛け」が余分の生産(廃棄処分を想定したおにぎり生産等)、無駄な消費(その商品の廃棄処分等)を生む結果をもたらしているのではないでしょうか。

 鈴木会長の発想には企業の社会的責任ということが薄いのではないかと思うには私だけでしょうか。