TSUNODAの経営・経済つれづれ草

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雇用改革の切り札「ワークシェアリング」を導入する企業が増加

2009-05-29 07:05:52 | 雇用・就職
 景気低迷のため、ワークシェアリングを導入する企業が増えています。

 ワークシェアリングの定義ですが、「仕事の分かち合い」です。雇用の維持・拡大に役立つ多様な取り組みを指す言葉で、幅広い意味で使われています。
 また、ワークシェアリングは大きく分けて「緊急避難型」と「多様就業型」の2つがありますが、日本の場合は「緊急避難型」を導入している企業が大半です。

 トヨタは、工場の稼働休日を2008年1月から4月にかけて合計17日間設けました。
従業員は出勤する日と研修を受ける日があり、休日に関しては給料を2割削減しました。勤務時間と給与を減らして、雇用を維持することで景気回復に備えたやり方です。

 日産自動車は、生産部門だけでなく事務、営業、研究開発の部門まで対象を広げています。休業日が設定されていてその賃金は最大2割カットになります。従業員の収入減少に対処するため、休業日の従業員の副業も容認する方針も打ち出しています。

 新日本製鉄は、八幡製鉄所と大分製鉄所など全国の製鉄所で従業員の一時帰休を実施し、休業日の1日当たり給与を15%削減していました。

 一方、もう一つのワークシェアリング「多様就業型」は導入されていません。「緊急避難型」は急場しのぎの策であり、中長期的な「多様就業型」が導入されていないのは将来の雇用環境に不安を残しています。

 「多様就業型」の具体策は、①「高齢者雇用」を新規雇用、継続雇用、定年延長などで推進、②「短期間勤務」を導入し、子育て中の女性などを雇用、③「短期雇用」で若者などをインターン雇用する、④「非正規社員の均等処遇」により、正社員との待遇格差を是正などです。

 特に増え続ける非正規社員の待遇改善策は、日本の雇用不安を解消するためには必要不可欠のことです。

 この取組には企業も組合も後ろ向きです。格差社会からの脱皮には同一労働同一賃金のワークシェアリングの導入が絶対不可欠ではないでしょうか。