TSUNODAの経営・経済つれづれ草

身近な経営に関すること、経済に関することを思うままに

マクドナルド店長に残業代支払う報酬制度導入-日経ビジネスから-

2008-05-30 21:55:23 | 経営全般
 日本マクドナルドは8月から店長らに残業代を支払う報酬制度の導入を発表しました。過日の元店長の残業代支払いを求めた裁判の結果を受けた決断です。日本マクドナルドは残業代を支払う制度を作ったが店長の残業代が発生しない労働環境を整え、実際には残業代を支払わずに済むという目算があります。

 日本マクドナルド原田CEOは、店長の残業代の最大の原因はパート・アルバイトの代わりに店長が接客などの現場の仕事をすることにあるので、不足分のパート・アルバイトを採用、教育し、権限委譲が進めば残業せずに済むと語っています。2004年からパート・アルバイト採用能力を高めるための店長教育やパート・アルバイトの確保に力を注いできたとしています。また、優秀な店長ほど残業時間が短いと語っています。

 だが、マクドナルドの現役店長は「残業時間が評価の基準となり、サービス残業が横行する」と話しています。マクドナルドは「成果給の算出基準と残業時間数は関係ない。社外スタッフ約10人の労務監査室を設け、サービス残業がないよう管理を徹底する」としています。

 ほんとうにマクドナルドの考えるようになるでしょうか。私はサービス残業が増えるのではないかと思います。残業せざるを得ない状況にありながら、残業申告できない環境が醸成されている日本の組織風土でマクドナルドが残業代を出すといってもどれだけ従業員の労働条件が改善されるでしょうか。

 マクドナルドの店長の残業が減るには時給を高くして店舗で働く人を増員することで解決するのではないでしょうか。なぜなら外食産業は労働集約的な業務が中心だからです。安い時給でパート・アルバイトを雇用しても定着せず結局店長の負担が増えるのです。

 人手不足で人件費が高騰しているうえに残業代の支払いを強いられてはと経営者は考えるかもしれませんが、今まで外食産業の従業員が低賃金で働いてきた代償ではないでしょうか。