TSUNODAの経営・経済つれづれ草

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お上に頼らぬリバタリアンの解-日経ビジネス2008.5.12の記事から-

2008-05-10 22:41:14 | 経営全般
電通総研が2005年に実施した「生活価値調査」では「国民皆が安心して暮らせるよう国はもっと責任を持つべき」か「自分のことは自分で面倒を見るよう個人がもっとも責任を持つべき」かを尋ねた質問に対し日本71.4%が「国の責任」と回答しています。ロシアに次ぐ世界2位の数値です。このような国民感情を反映して政府は消費者保護をうたって規制強化に励みます。しかし、経済合理性が考慮されないばかりか、官の肥大化の口実に使われてしまいがちです。

 今、国の介入を嫌い、個人の自由な判断を徹底的に尊重するリバタリアニズム(自由意志主義)という考え方への関心が高まっています。昨年「リバタリアン宣言」という本を出版した岐阜聖徳学園大学の蔵研也准教授は耐震偽装問題に対しての規制強化について、「建築基準法で規制できるのは新築の建物だけ。耐震性能が著しく低い古い家だって売買されるのだから、すべての家の性能を情報公開したうえで選ばせる方が公平だ」と主張しています。

 行政(政府や地方公共団体)が規制する分野は多面的に精査していくことが求められます。そのキーとなるのは、行政側の自分達が主導しなければなにも始まらないという意識から消費者の自立支援を軸に据えていくことです。一方、国民も「お上の手は借りない」くらいの心構えで自ら情報を集め、自己責任で判断し解決していこうという姿勢です。

 派遣労働法や改正貸金法、改正建築基準法の問題など規制強化するのか緩和するのかは大きな問題です。この記事を読んで規制緩和と規制強化の問題は慎重に対処しないと将来を見間違う重大なことであることを改めて認識しました。