富山マネジメント・アカデミー

富山新聞文化センターで開講、教科書、参考書、講師陣の紹介、講座内容の紹介をいたします。

富山県も急ぎ着手するべき電気自動車と法制改革

2017年08月22日 | Weblog

富山県は、組織としては政策官庁である。このところ、思い切りバイオ製薬の技術の可能性に力が入ったには、誠に喜ばしい。見るに見かねて、県立大に製薬工学の学部・学科の新設を提案したものとして楽しみである。薬のクの字も知らないから、僕の役は開演の合図で終わった。

さて、県の製造業を航空機産業に導くことの非を唱えてきた。それは、三菱重工に信を置きすぎるな、という意味である。同時期に、医工学の産業の可能性を論文にしていた。これが、富山大学の中村真人教授の目に留まり、富大で活字化された。その後の医工学の製造業における進展は、すばらしい。オムロンで活躍された飛田さんを朝日建設の林和夫社長のご紹介と尽力により、富山でゴールドラットの経営理論を学んだ。

新薬の開発は不可欠で、今後は、バイオ製薬にあるという見解はそうである。ただ、富山の製造業の伝統は、バイオではない。電気系統にすぐれた産業連関を持っている。それが、水力発電の伝統である。実は、富山には、小さな自動車メーカーがある。ただ、余りにも小規模すぎる。

ここで、富山の製造業の全体努力で、電気自動車に関し、産業集積と技術連関を精力的に企画する段階に来ている。バッテリーの技術は、日本のトップ水準にあるファクトリーが高岡にある。車体の軽量化では、炭素繊維を使うのは、石川県の技術なので、富山では車台の軽量化のもう一つの道筋であるアルミ合金の技術である。回転軸は、炭素繊維ではむり。ここに一つの新素材の課題がある。第二は、ガラスにからむ課題である。ガラスを活かすか、アクリルを利用するのが。

ともかく、富山にないのは、タイヤ工場である。しかし、リサイクル産業をさらに高度化すれば、中古タイヤの解体・粉砕から、電気自動車用のタイヤ開発は可能である。つまり、ガソリン車から電気自動車への転換を徹底的に利用することである。これも、富山県立大学の力量で十分に舞台に載せられる。

ところで、大事なのは、電気自動車に有利な法制の整備である。これは、富山大学の経営法学科による基礎研究が望ましい。ものづくりより困難なのは、規制緩和と法制の改善である。車検制度や、免許制度、公道の利用制限の緩和など、「法制改革」が前提となる。県庁は、ここを指導して欲しい。急がないと、中国の自動車市場は、急速に変化する。藤堂工業、田中精密には、転形期を乗り越える指導がいる。明日がないと信じたら、打開できる。

 


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棄てはいけないKJ法

2017年08月22日 | Weblog

日本企業の強みは、日本の近代教育で均質かされた集団知である。チームワークを活かす技法である。IT時代においても、形を変えて盛んに用いられている。気づきを短冊に書き上げ、体系知を構成している認識の共通化である。

いまでも、優良企業の現場で活かされていることが、富山大学の経営学科の「経営学の現場」という講義をして下さる企業経営者のかたの発言で確認できた。大学では、KJ法を系統的に教えていない。

これは、BigData処理により、暗黙知の当否、体系知の構築に大きな武器となる。古本市場でよいから、川喜多二郎さんの名を検索して紐解かれるとよい。なお、中村は、総合科学が本領なので、「一人KJ法」を用いている。時間差のお陰で、自分の情報力の増加を、一つは忘却により整理し、残された記憶により再構成している。


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メルロポンティの眼で孔子を読む

2017年08月22日 | Weblog

メルロポンティとは、「眼」と「精神」のキーワードで有名な現象学派のフランスの哲学者である。彼の達成のお陰で、臨床心理学が大きく進化した。それにより、人間発達学も大いに高度化した。医学にも、患者の精神という脳内で習慣行動の解明にも大きく寄与した。日本の哲学で、唯物、唯心から唯脳へと決定的な方向転換が生じた。

大学には、必ずその原点となったメルロポンティに関する哲学研究者が求められる。哲学の臨床化である。この知の革命を実体的に進化させたのが、大阪大学の文学部の哲学科である。鷲田清一さんが、リーダーである。彼が大阪大学の総長に選ばれ、大阪大学の学問の根底を深く変えた。彼を支持したのは、医学者である。

非常に分かりやすくいうと、人間は個々の脳に刻み込まれた潜在意識に支配され、無意識に習慣的な行為を重ねている、と。知覚器官である「眼」は、彼の小宇宙とつながっているというわけだ。京都大学の哲学から分岐した現象学派は、今でも光彩を放っている。しかし、世界を全て個々人の潜在意識へ還元する心理学主義から抜け出そうとする試みもある。それが、各自の「暗黙知」をもちより、共有できる「体系知」に再構築していくことが求められる。それが、M.ポラニーの提案である

世界では認められていないが、日本の川喜多二郎さんのKJ法は、各自の心理に根ざした自然言語の歪みを認めながら、集団的な体系知に高めるチームワーク思考の方法である。実は、それを一番最初におこなったのは、孔子であり、その記録が「論語」であるといえる。何を生み出したのか。漢語に潜む「精神」を「体系ある知」に高めたことである。それが、「詩経」であり、「春秋」である。結果として、漢語というコミュニケーションの道具箱が、さらに高度な漢語を使う人々の文明の文法を導き出した。それが「礼記」である。関西では、中国に哲学がない、という定説から始まった。メルロポンティの眼で孔子を読むと、孔子がとてつもない哲学を宿していた思想家であることがわかる。少なくとも、20世紀の孫文、21世紀の習近平とその仲間たちを鼓舞し、自己啓発する作用はあった。

 

 


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国際特許を生み出す科学研究のセンス

2017年08月22日 | Weblog

昨日、日本経済新聞が科学雑誌「ネーチャー」誌の記事を紹介していた。それによると、日本の大学は、国際特許の申請に裏づけとなる科学論文の引用数において、アメリカに大きく水を開けられていることが報じられた。同時に、日本の大学評価において、文部科学省が最重点の大学としてあげている5大学の順位も大きく違う。記事では、大阪大学が日本を代表する特許につながる研究論文を生産している、と伝えている。東大、京大、東北大の貢献度は低い。

これは、一面だけの議論である。しかし、なんでも、かんでも科学ではない。少子化してくる日本にとり、世界国家であるアメリカに対し、発言力を保持するには、国際特許に繋がる研究課題に戦略を定め、そこに戦力を集中していくことが求められる。

文部省では、東大が第一。国際特許への貢献は、大阪大学が第一。これは、是非論ではない。富山県にとり、京都、大阪との交通に不便があること、特に、北陸新幹線による首都圏への集中は、少なくとも、ビジネスに関わる科学研究に限り不利だと言える。

朝日印刷さんが、関西、京都に生産拠点を置くのは、先見だといえる。京都が、大震災による被害を免れているからだ。と、同時に、製薬の研究は、関西が本場である。

中村に議論の仕方に注意して欲しい。富山の企業や行政を基盤として、世界の情報から、あえて我田引水していることに。東北大のOBと、大阪大学のOBと比較すると、頭脳は変わらないがセンスが違う。大阪大学では、自然に「目的変数」から演繹して、「説明変数」をリサーチする。なんでも、かんでも科学とは考えない。かといって、費用対効果比など最初に考えない。「やってみる」という冒険の勘である。工学部に制約拠点をおき、過去の薬学部が厚生労働省の制約から免れるというワザに気が付いた。


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Chowを考える

2017年08月21日 | Weblog

アメリカ口語、俗語にChowという「飯」を意味することばがある。語源は、中国語CHOWから来たことは、確かだが、それ以上のことは分からない、と記載されている(「アメリカ口語辞典』朝日出版社、1983年)。「岩波英和辞典」にも、採録され、英語では「中国犬」、米語では俗語として「食料、食事」とある。Chow-chowは、中華風のごった煮、炒め物、とある。チャウダーという料理名の語源にもつながる。

そこで、一音節でCHOWに相当する漢字を探したが、Chには、母音のiが付帯するので、ChとOWとを2音節に分化すると、「喫」という動詞は、音は[chi]だと分かる。意味は「食べる」とか、「吸う」を意味する。すると、OWに当たる漢字を探せばよい。英語の発音では、OWは〔au] であるから、「熬」という文字が思いつく。今の漢語共通語では、発音記号は〔ao] である。「熬」の意味は「糧食を水に入れ、煮て糊のようになったもの」と、『現代漢語』辞典にはある。漢語では、iとは、複合母音となり、[ya] となる。だから、チャウという音で、米語が聞き取られるのと一致する。日本語では、雑炊を吸うように喉に流し込む、という感じて説明できる。我が家では、妻のつくる「おじあ」にあたる。

 

答えとしては、「喫熬」という漢字の表記に語源があると仮定できる。これは、カルホルニアでの金鉱の発見で、ゴールドラッシュで一攫千金を夢見た中国人が、「苦力」を雇用し、採掘した時代に西部開拓地で始まったようだ。さらに、中国人「苦力」は、アメリカ大陸横断鉄道の線路の敷設に従事した。この言葉が、アメリカの軍隊の兵士の用語となり、さらには、兵士が大学に進学するに及んで、大学の学食を表す言葉に転じていったようだ。

ともあれ、中国人とアメリカの歴史の、特に太平洋を繋ぐ米中関係は、日本人が嫉妬に値する「特殊な歴史的な関係」がそこにある。孫文の革命も、アメリカの沿岸警備隊で働いた経験のある宋嘉樹が、牧師となり上海で、漢文訳の聖書を出版する事業から大きく飛躍する。孫文は上海のアメリカ人のクリスチャンの社会の一員であった。chowが、太平洋を横断して、アメリカの開拓精神が、上海に持ち込まれてきた、といえる。宋嘉樹の肖像写真には、Chow-chowという中国犬にそっくりな一枚がある。

日本人は、アメリカと中国人との付き合いの深さを知っておかなばならない。中国の社会主義は、アメリカ発、日本経由、上海へ上陸という流れがある。あるレベル以上の人文・社会学者は、英語(米語)+漢語(中国語)+日本語の3種の言語でモノを考える習慣を身につけたいものだ。

 

 

 

 

 


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台湾は独立より、中国の重要な太平洋拠点として北京に対抗するべし

2017年08月21日 | Weblog

台湾は、決して民進党のリードで独立するべきでない。独立は、台湾の政治経済文化資産を全て失うことになる。台湾に民進党には、外国における独自の支持者の組織がない。また、文化素養が、米語圏と、日本語圏とに分岐し、民族を統合できる知的な水準にない。特に、孫文の革命の歴史遺産を放棄している以上、地域政党の枠にのみ存在意義が限定される。

他方、社会経済的にみると、台湾には、中華民族の3つの国際拠点がある。一つは、寧波グループの拠点がある。海運業、情報産業、金融業に強い人財を有しており、ニューヨーク、ロンドンの金融筋にも絡んでいる。台湾の元は、地域通貨に見えて、人民元との調整のバルブなので、活かし方が正しければ、北京のミスを補正できる安全弁である。日本円は、日本列島で一元化されているから、ミスはそのまま国際経済・国内経済にストレートに反応してしまう。もし、沖縄には、独自の「第2通貨」があると、ドルとの関係で、沖縄ドルが微調整できる。この利便性のため、統一国家の内部の「国際地域通貨」という特殊な既得権を放棄してはならない。台湾には、福建グループと、広東客族グループがある。つまり、アセアンには太い親族パイプがある。大きな政治経済文化の資産である。

第二には、中国大陸で民法総則が発行したことで、台湾と大陸との「法律」が、翻訳変換が不能な関係から、近代法のベースが同期した。これは、台湾側の法律文化が大陸の法治主義を促進したためである。民法の世界では、台湾人が大陸をソフトパワーで支配できることになる。中国大陸の真の近代化は、台湾が起点となる。

第三には、中華人民共和国の弱点は、上海、北京などの重要都市が、アメリカ軍からみて沿海に近すぎるので、迎撃には極めて不利な点にある。それをカバーするためには、台湾の海峡の緊張を緩和しながら、台湾を中華民族全体の太平洋基地とする必要がある。

台湾は、一つの地域に見えても、そこには孫文の政治遺産があり、軍事的にも、太平洋時代の中華帝国の防衛の要である。さらには、台湾の企業は、特に電子産業は、台湾企業の影響のもとにある。特に、「一路一帯」のロジスティクスは、台北、台南が東の拠点である。日本では、沖縄がその東端にある。

制度的には、「特別行政区」には、国際流通性がある独自通貨を認めてきた歴史がある。香港ドルがそれである。台湾ドルも、価値のある通貨である。もし、独立すれば、紙切れにされる。独立せずに、丁寧に法制の改革、特に地方自治のモデルを樹立することである。そのショーウインドウ効果をもたらすには、台湾民進党は日本からもっと多くの事を学習しなくてはならない。


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日本の科学研究力は、劣化しているのか?

2017年08月20日 | Weblog

最近、科学の世界では、中国人の研究が大いに伸張し、アメリカ、中国がトップグループを形成している。日本人の科学研究力は劣化している、と言われる。論文の公刊数、引用される論文数などの統計では、実は、日本はみごとに後退している。メディアでは、日本の公刊論文数の減少を嘆き、国力の低下が叫ばれている。しかし、見方を変えると、後退作戦に成功しているといえる。

どうみても無駄な基礎研究が、地方大学や私立大学で行われるが、そういうのは、国際学会では論文として採択される確率は低い。なぜなら、国際的な学術機関の機関雑誌には、編集委員と覆面の審査委員が登録されている。東大、京大、東北大の教授は、投稿者であるばかりか、編集委員、審査委員を兼ねている。それで、世界の研究動向を日常的に読み取っている。活字化された論文は、使用済みの定型となったものである。大事なのは、電子メールで一分一秒の先着を争う「電子データ論文」である。ここに、最先端の情報が隠されている。

文部省が科学技術庁と合体し、科学技術庁が実権を握り、日本の科学研究の課題選択と資源の集中に大きな一本の筋が生まれた。国力として科学研究をマネジメントする時代へと完全に移行した。中国と似たように見えながら、最大の変化は、最大の成果の「公刊論文化」を避けるという戦略である。

中国共産党は、まだおバカな国粋主義、民族主義があるので、古典的な科学雑誌での活字論文を大量生産している。アメリカ人でも、個人の夢をかなえるために、研究成果の公刊に生死を賭けて精進している。

では、公刊論文はなぜ亡国に繋がるのか?それは、特許申請できないからである。研究成果を公刊することは、特許申請を放棄したことに繋がる。日本の最先端の企業は、大学院のなかに研究施設をもち、アカデミズムの世界から国際的に基礎研究の公刊論文をチェックし、機密事項は自社の研究部門で特許の申請を行っている。

先端大学院以外は、単なる人材養成の機関として見ている。地方の大学で真面目に基礎学力を形成した4年次生には、大企業の人事の情報担当は確実に押さえに来ている。日本は手間暇のかかる基礎研究を世界の公刊論文に世界にまかせ、国際特許に戦力を傾けている。それが、対アメリカ、対中国に処する「国家戦略」である。日本の官僚のうち、賢者は賢者である。愚者はポストで動く、賢者は信念で動く。


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近200年、朝鮮半島から偉大な科学者が生まれないわけ

2017年08月20日 | Weblog

多くの国際学会に参加しきた。幾分か、ハングルを学んだ。韓国の儒学史も読んだ。韓国人の中国近代史の論文も、ある程度はよんだ。はっきり言って、自分の考えを理性的にまとめるのが精一杯という印象を超えることができない。よく、外国の優れた研究を理解していることで、第一人者と称し、自らに民族に内部で君臨する「邪馬台国び卑弥呼現象」が、朝鮮半島に多くみられる。この宿業を断ち切ろうとするのが、金日成の「主体思想」である。外部世界に、崇拝の対象を求めないで、民族のうちの主体の確立に立ち向かうという精神宣言である。

しかし、それは金日成に儒学の歴史を理解する能力が全くないためである。もしあるとすれば、孫子の兵法のハングル訳だけである。朝鮮半島の為には、「主体思想」は朝鮮思想史における革命宣言にあたる。問題は、それが「先軍思想」へと短絡したことである。孫子の兵法だけを知恵とするゲリラ特有の地頭である。これは、不思議に毛沢東にも通じる。彼のマルクス主義の師匠とした李達の文章を読むと、形式の論理しか見いだせない。東京大学の留学生で、中国共産党の創立人に一人である。

哲学思想史というのは、恐ろしい学問である。ロジックそのものを解析するからだ。孔子は、その面では、アジアの古典と賞賛できる「論法」の使い手である。日本では、荻生徂徠が光っている。朝鮮半島がダメなのは、思想の冒険家が政治権力闘争に乗り出すからだ。彼らには、荻生徂徠から学んだ形跡はない。中国では、清朝に時代、荻生徂徠の訪ね、その価値を思想界に伝えている。要は、朝鮮半島では朱子学の誤謬を主体的に克服できなかった。自然科学と人文社会学との一体統合を「易学」に求めたことが、西洋の科学を受容する妨げとなった。それが分かったひとが、物理学、化学に専念しなかった。無給、無報酬でも、清貧の時期に科学を探求する喜ぼで、時を忘れる探求への愚直をもつ青年を、北朝鮮も、韓国も、疎外しすぎている。あきれた指導者たちだ。

中国では、上海に西洋科学の受容の拠点がある。カトリックのお陰である。日本では、対岸の長崎に西洋科学の受容の拠点がある。権力者である清朝の皇帝が、それを許したこと、徳川幕府が黙認するかたちでオランダ、実は、イギリスからの西洋科学の受容を認め、それが、大阪に波及し、適塾がうまれた。さらに、懐徳堂という孔子の古典哲学を再評価する民間塾が生まれた。実は、大阪から高度学術人材に育成の歴史は始まっていた。いまでも、上海―大阪の知のリンクは細くない。

 


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回避されたトランプ発の世界恐慌

2017年08月20日 | Weblog

最近の報道によると、<米ホワイトハウスは18日、バノン首席戦略官兼上級顧問の退任を発表した。政権内の権力闘争に敗れて去る形で、米主要メディアは「事実上の解任」と伝えた。バノン氏は昨年の大統領選終盤で選対最高責任者を務め、トランプ大統領の最側近の一人だった。政権発足当初は「影の大統領」と呼ばれた実力者が去ることで、政権運営の大きな転換点になる可能性がある。>と伝えている。

これで、アメリカ大統領府という行政機関の伝統的な執務の形式美学に回帰する第一歩が形成された。バノン解任は、アメリカ経済が世界的におかれている立場とシグナル効果を賢明に維持するための「真の権力者たち」の攻勢によるものである。

バノンは、真の改革者ではない。アメリカ白人社会の危機は、自業自得の悪循環から生まれている。

世界史は、資本を所有するひとびとの排他的な社会集団による富の増殖のメカニズムを解体する方向に向かっている。金利生活が可能な時代は、終わった。これを系統的に理論にしたのが、ドラッカーの「ポスト・キャピタリスト・ソサエティ」である。21世紀は、知財をもつ人々の資産運用・資産管理の能力が、主導権をもつ産業家財社会へと移行する、と予言した。この流れに一番に適合したのが、中国共産党の8800万人の隊列である。党員の権限を利用し、キャピタリスト(私的個人資産の所有者)への道を排除して、知財をもつ人々の血盟として「党」が機能し始めた。

アメリカ経済の中枢にいるIMFの専務理事は、10年後、IMFの本部は中国に置かれるだろうと予言した。これは、経済規模の大きさを回帰方程式で計算するとそうなるとみた。控えめにみても、今後10年、中国は3%から4%程度のGDPの成長は予定調和できる。その成長の余地は、緑色革命という新産業の発展余地である。電気自動車と、あたらな発電方式など、ドイツ系と日本系の最先端企業が中国という舞台で競争的な共存をすれば、世界史を覆すような、人類を指導する国家へと変身するという読みが働いている。

そのためにも、アメリカはトランプを原因とする世界恐慌のシグナルを消火しなくてはならない。ひとまず、最悪の危機は脱した。


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過去の中国の対日外交担当者の素性

2017年08月20日 | Weblog

1949年に中国共産党の指導のもとで、中華人民共和国が成立、ほどなく朝鮮戦争に参戦した結果、中国共産党の対日政策は、朝鮮戦争における敵であるアメリカ軍の軍事基地周辺の妨害活動の推進にあった。特に、軍事物資の輸送を妨げるために、中国共産党は、日本共産党を動員した。このとき、日本共産党は、中共派と、民族派に分裂した。中共派は、1945年9月より捕虜とした日本軍兵士を人道的に扱い、いわゆる「洗脳」を行い、中共派の日本共産党の形成を推進した。そもそも、野坂という指導者が、岡野という筆名を用い、中国に亡命して、中国で日本共産党の組織を行っていた。この中共中央ー野坂の人脈が、中国の対日外交の起点にあった。この勢力を日本共産党が除名し、日本人の民族利益を第一とする日本共産党になるのは、1980年代になる。この対日工作の中共側の代表者は、鄧小平である。

第二のパイプは、赤十字の関係者である。日本軍の捕虜の日本への復員をサポートした関係者である。中国では、1890年代から日本と中国との相互の協力で、日本赤十字と中国紅十字の組織化が始まった。日清戦争のあと、義和団の前夜である。非常に古い歴史があり、この人脈は、中国国民党の創始者である孫文とその周辺の人材に繋がる。1949年の中華人民共和国の建国に参加したのは、中国国民党左派の一部、中国国民党革命委員会の系譜である。廖承志をリーダーとする人脈である。このパイプは、中共中央の統一戦線部の指導のもとにある。歴史的には、日本の上層社会との接点が多い。

第三のパイプは、中国籍の朝鮮族による対日パイプである。日本語ができるという強みを生かし、中国共産党の入党者をリーダーとする「対日利権漁り」の中心にいる。この勢力は、中国の東北地方・北朝鮮との接触地帯にあり、大連から上海への海路の交易に関与する。徹底した反日の民族感情をもとに、中共中央の信任をえている工作者の人脈である。これは、吉林大学などの教育機関で日本史、日本地理、日本語の教育を通じ、中国共産党が管理できる中国籍の朝鮮族による対日パイプである。

第四のパイプは、日本の文部科学省が育てた「新華僑」、つまり日本留学経験者たちである。中共中央としては一番に管理しにくいが、できれば党員として身分を保証し、国籍の放棄を阻止したい人たちである。日本の大学院、大学、各種学校の知識人材として、日本社会の一員として正業を行っている。

習近平政権は、過去の対日汚職の筋を押さえており、対日外交を正規の外交部(党では中央対外連絡部)に一本化し、第一、第二、第三のパイプを細くし、第四のパイプを太くしようとしている。日本の文部科学省が育てた「新華僑」を熟知し、習近平政権から評価されているのが、現在の王毅外交部長である。

つまり、日中関係は、裏面の特殊利権から、国際協定を軸とする法制的な関係へと、関係性そのものの透明化が進んでいる。それを促しているには、日本人の中国留学経験者たちである。世代交代こそ、透明で、公正は日中関係の構築に寄与している。笹川氏の日本財団、企業の財団など、中国人の日本留学経験者への支援は、習近平政権のもとで収穫期を迎える。


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韓国は、「日本軍国主義への憎しみ」を民族同化に基本においている。

2017年08月19日 | Weblog

若いころは、相当に韓国びいきだった。しかし、僕の中で韓国の研究者に、ある種の「頭の悪さ」を感じて、距離をおき始めた。

どうして、韓国人、あるいは、北朝鮮人が、世界史から立ち遅れたのか、富山大学中央図書館で研究してみて、良く分かった。

「権威」を決めると、その権威を守るために、思考が停止する。この傾向が強い。それは、狩猟採取を生存の基盤とする部族性の社会を基層構造としているからである。指導者に従わないと、極寒の半島では生き延びられない。日本では、雪のない、霜のない地方は多くある。

仏教史を研究すると、日蓮、親鸞が、仏教の日本化に成功した意義は、絶賛に値する哲学思惟だと分かる。儒学史を研究すると、朝鮮では、朱子学の一言一句を墨守した「頭の悪さ」は、朝鮮半島を特色づける。日本では、建前のの朱子学の枠内で、富山では、清朝の考証学をとりこみ、そこから洋学の導入の仕組みを引き出した。

その学力がすざまじかったために、中国は近代革命の道にすすみ、1905年、東京で中国同盟会が発足し、今の中国共産党の歴史と連接する。その時、日本は、韓国併合に踏み切った。統一的、自律的な政治統合の思考力に欠けていた。詳しく調べると、儒学の体系に西洋の学問をとりこむために、ハングルが逆に邪魔になっていた。漢文主義を残していたら、洋学のハングル化に便利だったのに、部族それぞれが自己責任で西洋の学問を取り込んだので、「不統一」への拡散が民族の力量形成の主流となった。

日本軍国主義の全盛期に、富山県人は、富山高校の全国トップクラスの英語教育のお陰で、西洋文明の理解を深めていた。朝鮮の近代化は、朱子学の墨守に原因がある。それなのに、国旗は朱子学の虚構である「太極」のシンボルとして掲げている。表音文字のハングルは、表意文字の漢字の利点を抑止したため、ハングルによる世界文明の翻訳文庫を民族資産として形成することに失敗した。


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「祖国不統一」の統合原理が、逆に、朝鮮族の統合を促進する。

2017年08月19日 | Weblog

中国共産党は、英明にも、アメリカとも朝鮮戦争を終戦し、韓国とも終戦処理を完了している。アメリカは、休戦のままで対峙してきたので、朝鮮戦争の終戦処理を避けてきた。優先順位の低いためである。アメリカの国家的危機の優先順位が低いために、北朝鮮の国連加盟には寛容であり、日本が拉致問題で働きかけても、アメリカ政治外交の優先順位が低いために、予算も人員も、ノースコリア対策には体制そのものが構築されていない。アメリカから地球上で一番に遠い国として、情報管理システムが設定されている。

金正恩は、巨大な鷲に、チラ見させるために国力をあげ、危険な道筋を歩んできた。ところが、金正恩にとり不幸なことに、強大な鷲の頭脳に障害が発生していた。問題を系統的に整理して行動してくれる人材がアメリカには全くいない。また、日本では、舛添さん程度の行動する学者・政治家は育っていない。中国は、キッシンジャーという政治学者がおり、彼のお陰で、今の中国はある。

なぜ、アメリカには朝鮮を理性的に解釈しきる学者がでないのか?それは、日本の東洋史学会に責任がある。1960年、ライシャワー大使の呼びかけで、アメリカの財団の極東研究を呼びかけたとき、京都大学の井上清教授が先頭にたって拒絶した。そのために、日本の精緻な朝鮮研究が英語化されて、アメリカの学界に提供されなかったのである。反米を正義とした日本人学者の短絡が、世界のネットワーク頭脳の効用を読み切れなかった。

今は、京都大学の東洋学文献センターによる情報のジタル化により、世界のネットワーク頭脳に、日本、中国、朝鮮、欧米人の研究成果のキーワード検索が可能なところまで来ている。しかし、東京大学の専門の研究所は、西アジア研究には成果をあげたが、北東アジア研究には語るべきものがない。

基本テーマは、朝鮮戦争の原因は、韓国内の朝鮮人共産主義者の謀議にある。韓国人が、自らの歴史経緯を内に向け、ウエストサイド文化の韓国と、ノースサイドの朝鮮と、長期的な「不統一」を確定することである。「統一」という無理な試みを避けた、イングランド、スコットランド、アイルランドの多様性に学ぶべきである。

朝鮮半島の悲劇は、誰が「統一」するか、そのための抗争史にある。敵は内にある。「祖国不統一」の統合原理が、逆に、朝鮮族の統合を促進する。大事なことは、朝鮮族は、日本の天皇制と同質の文明を構築できないという歴史事実から始めるべきだ。


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阪神大震災で進化した日本人の人種観

2017年08月19日 | Weblog

世界史の研究者として、嬉しいことに日本国民の人種差別思想が弱まり、世界のどの人種との混血だあろうと、日本国の国籍を有するものは「日本国民」として受け入れる態度が体制と呼んでいいほど安定してきたことだ。金正恩の母親は、大阪出身である。

まず、大メディアが共通して、人種差別を煽る「特殊言論」を締め出している。これは、日本の主要な企業の人種構成をみても、すでに多様化が完了していることと深く関係する。スポンサーとなる大企業が、愛と倫理の関係に敏感なのも、「愛」を基本とするマーケットの共感構造に意味を完全に理解しているからだ。これは、日本のミュージシャンの大きな功績である。また、神戸で生まれたカラオケの効用でもある。

金正恩の冒険的な軍事優先外交には、日本人だけでなく、日本国民が懸念を示しているが、この際に、朝鮮族を日本列島から排斥する人種差別論が表面化していない。特に大地震などの災害時において、特に阪神大震災において、神戸人はスッキリと人種差別を克服し、災害を共有し、救済を共有した。日本の歴史は、ここで変化を実証した。

この時の兵庫県知事であった貝原俊民さんは、はっきりとこのように言った。政治家で信用できるのは、和歌山の二階さんだ、と。阪神大震災の復興を最後まで誠実に支援してくれた、と。貝原さんは、兵庫県庁の初動のミスを恥じ、県知事の任期を余し辞任された。ただ、神戸を中心に人種差別が生じない国際都市神戸の基盤づくりには、終生、寄与された。

実は、個人として、富山の有名なマンションの管理組合法人の理事を死ぬまで辞さないと思い込んでいるのは、すでに、所有者、つまり組合員が国際化し、韓国籍、中国籍の方がおられるからだ。それは、貝原さんの万分の一の意思を継承し、僕のなかでの阪神大震災の歴史だと意識している。

東アジア人が、もう少し仲良くできたら、アメリカの白人優先の人種偏見という世界史の負の遺産は、より明確に消え去ると思われる。東アジア人としては、韓国の指導者の歴史観のお粗末が気になるところだ。


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「資本主義」という思考の前提がお粗末すぎる

2017年08月18日 | Weblog

「資本主義」と「社会主義」とは、対語である。19世紀に生まれ、20世紀を席巻した「お粗末な社会科学」用語である。「資本主義」は、思想的には「自由主義」(自己責任社会)という18世紀からの社会風潮に裏打ちされていた時代がある。ところが、中央銀行制度、電信通信網、鉄道網などの産業ロジスティクスが発達し、国家が主導する経済・金融政策が国民総生産を「PDCA]サイクルにより主導するようになった。そのため、自由主義が衰退し、国家の役割を主体とする政治経済思想に移行した。その結果、流通・分配において「市場型経済原理」を基軸として維持するイギリス、アメリカを中心とする「いわゆる自由主義陣営」と、「国家指令型経済原理」のよる流通分配の国家管理に突入したドイツ、日本の「国家社会主義」、そして、スターリン主義の「ソ連共産党の産軍体制」を「社会主義」と呼ぶようになった。1990年を境にして、「社会主義」が体制原理として崩壊したために、「資本主義」という対語も消滅した。

では、私たち地球人は、いかなる経済原理で生活しているのか、それが学問的な探求課題となった。その結果、人類は太古からの「互恵型経済原理」を基盤にして生存しており、地球上のいかなる民族国家も、「愛国」を棄てないのは、「互恵型経済原理」を基本として維持しているからである。日本も、北朝鮮も、中国も、トルコも、アラブも、どんな原始の部族社会でも「互恵型経済原理」は普遍である。問題は、その「互恵型経済原理」を高度化するという「幻想」として、政治権力が生まれ、それを持続させるために「兵役と納税」による「国家指令型経済原理」が生まれる。これは、世界の太古の4大文明に共通する「都市」を中核とする古代帝国へと進化する。このうち、メソポタミア文明が地中海世界に取り込まれ、そこにグローバルな「市場経済原理」が大きく展開する。東方では、黄河文明が、東周時代の管仲の国家学をへて、国家が貨幣を管理する独自の「中国型の市場家財原理」が生まれ、孔子による官僚養成の教育原理が樹立され、今日に至る。

したがって、「資本主義が終わって」「地産地消」の互恵型経済原理への回帰を説くような地方創成論は、中学生の程度の頭脳しかない。人類は、言語を共有する言語圏のもとで、「国家指令型経済原理」と、「市場経済原理」と、「互恵型経済原理」との3種の経済原理の相関関係において生存している。例えば、北朝鮮では「国家指令型経済原理」へ一元化する人為的な努力が極端化してると分析できる。3つの経済原理の均衡調整が巧みなので、民族国家が長期に持続しているのは、中国と日本だけである。そして、この3種の経済原理は、地方社会の基層社会との関係で微妙に異なってくる。

その違いは、方言に現れるが、そうではなく言語の位相差により現れる。例えば、北陸を含む中部地方では、ITの言語で語れる人材群がずば抜けて多い。業務に使用される言語のIT化の差異が、地域間の格差を大きく広げる。「言語の位相差」は、改めて詳しく論じるが、大学と大学とでも大きく異なり始めた。

 

 


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ナレッジワーカーが管理する、AI指令型の世界経済の循環へ

2017年08月17日 | Weblog

人民日報から今年、上半期の経済指標をざっと見渡すと、金融不安が存在するが、通貨供給量を引き締め、市場経済原理の枠からはみ出さないように調整されていることがわかる。金融危機を避けるため、習近平に非常時の特権を行使する権限を合法化している。さらに、北京に駐在するIMF事務所が、系統的に監査業務を行い、改善を提案してるので、事態は過去の中国危機とは明らかに安全弁が作用している。

日本経済は、年率で控えめにみても、GDPが1.5%の成長が見込めることが分かった。これは、日中の経済関係が比較的に穏やかに推移したためである。外交的にも、北朝鮮への対応を求める形で、対日の融和に努める親日系の外交官の動きも悪くない。

アメリカも最悪の政治環境にあるのに、経済指標は悪くない。これは、世界経済の牽引力が、自然的に成立している日本と中国とアセアン、インドでの設備投資にあるためである。

貿易不均衡というが、これは国別の通関で考えるので、現実の経済とはずれている議論である。アメリカも、日本も、自国の域外での生産拠点は大きく、国内市場に対しては輸入の扱いとなる。19世紀のように、単純な貿易黒字・赤字という二分法はすでに意味がなくなっている。

IMFのSDRに換算し、全地球的な規模で経済循環が停滞したり、阻害が起きていないか、どこかで長期債券が大量にデフォルトされる危機があるのかを考えると、経済循環は順調である。懸念される北朝鮮だって、それなりに経済は元気である。このように考えると、アメリカの好景気の循環が、過度にも、あるいは、ドラマ的な破たんにも向かわないで、均衡し、安定していることが分かる。

なぜなら、景気循環に影響を及ぼすBigData処理を行う経済指標のAI化が、穏健な均衡に回帰するように設計されているので、部分の異常値だけでも、部分最適ではなく、全体最適への数値解釈を導くからである。政治家による経済政策は、演説という情報としてBigDataの一部を構成するにすぎなくなった。実は、ドラッカーの想定したナレッジワーカが管理する質に、世界経済の循環が達したからである。歴史は、皮肉にも、ドラッカーは中国共産党に受容され、中国共産党員が世界経済をになうナレッジワーカーとして、資本の所有者から、資本の管理運営者に実権を移行する世界史的な進化を代表するようになった。


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