国家の成長分野は、新技術、新産業の創成にある。少なくとも、10年以上の先行投資が必要である。それには、日本には、国家が管理する膨大な社会保険のファンドがある。この資金は、今後、日本国として必要な企業の安定的な株主として、日本銀行の選別により、投資信託の形で産業資金の基礎が固められている。この2,3年で、日本国の経済基盤は質的に大きく変化した。
実は、富山県の場合、このような中核企業の頭脳は、ほとんど富山にはないのが実情である。研究所の適地は、住環境と知的情報交換に適した神奈川県が大きな比重を占める。政治家においても神奈川人脈は大きな比重を占める。日本の頭脳の神奈川化が進んでいる。では、精密な高度生産の人員は、どこの集中しているのか?
これは工作機械のメーカーに注目すればよい。福井のソディックから富山のスギノマシーンの間に、日本人の手先の器用さを機械動作に置き替える工作機械の特色あるラインナップがある。より練度が低く、汎用で安価な工作機械は、北陸では肩身がせまい。
北陸の福井・石川・富山は、研究所型の国家を支える基幹を構成している。なぜ、研究所型の国家に転身するのか?まず、21世紀は、知的技術者の知財資本の社会が、最強の国家といえる。富山のスギノマシーンは、物質科学に基本である原子の次元に入り込めるドアーを開いた。東大で開発された原子の顕微鏡は、その部屋を覗けるメガネである。
もし富山が、研究所型の国家へ進みたいなら、原子の顕微鏡は絶対に必要である。富山のスギノマシーンの機械で、幾千万の「サンプル」を生産し、原子と原子の構造が見える化できるツールで、安定した新素材を検証することが可能となる。神奈川でなく、富山が研究所型の国家に転身するには、富山県の県営の新素材研究のための原子の顕微鏡というツールが必要だ。
不二越は不要である。スギノマシーンが、新世紀の鍵を握っている。それと、富山大学の都市デザイン学にぶち込まれている新素材研究の学科である。