まずは、無理という深刻な認識から始めよう。個人として、委託研究として6か月、このテーマで取り組んだ。中川忠昭県会議員さんは、さすが新潟大学の農学部の卒業生なので、詳細な情報は全てご存知であった。私が付け加えることはない。
ウーケという企業〔本社は、神戸市にある神明〕は、富山米を「水晶米」として、兵庫県で売りさばいていた。富山農業には、恩義のある企業である。入善の水に着眼され、輸出用に炊飯された米飯を業務用パックとして、海外の日本料理店に輸出している。ウーケに納品されるコメは、減反政策の枠外にある。だから、入善地方では請負耕作の大規模な米作の企業が成立する。制度の隙間がある。これを富山全域に広げることは不可能である。黒部の伏流水の唯一性が、ウーケの製品の品質を保証しているからだ。
富山では、海外に輸出されないが、県外に移出していたのが、種の生産農業である。これも、水質が良いために、富山産が抜きんでいた。しかし、うかつにも制度的にその優位は崩れた。小矢部の養鶏では、ニワトリの飼料にコメを特別に栽培し、減反政策の例外枠を利用している。ただし、鶏卵は価格競争が激しく、コメを資料とする手間暇のコスト回収が厳しい。それでも、こうした卵を活用した菓子類では、他府県にないものが富山ではある。しかし、新潟県では、亀田製菓、ブルボンという全国市場をもつ製菓産業がある。
これを目指して欲しい製菓企業もあるが、経営者が3流すぎて、国内市場はもとより、海外市場への展開意志はゼロである。現状で満足する経営者たちである。意外に優秀なのは、高岡の山元さんである。Tさん孤軍奮闘、実は海外原料を活かした経営をしている。だが、食品企業は、海外原料、他府県からの移入原料を利用し、内向きの市場開拓しかできていない。
富山から世界に農産物の海外輸出の鍵は、医薬品製造の次につながる健康食品の産業である。お菓子という嗜好性と、健康維持にサプリメントとを兼ね合わせた製品である。原料は、富山産米、徹底的にナノレベルまで粉砕する。くず米は使用してはいけない。米でんぷんと、プラス何か、である。スギノマシーンの技術、広貫堂というブランド、コンテンツ調合のトンボ飲料、この三社が力を合わせると、必ず画期的な製品が生まれる。米づくりの富山、コメの消費量を増やしたいという偏差値38の回答ではだめ。治癒用の病院患者の食事療法、介護のおける流動食主体の・・・すでにトンボ飲料さんのバランスが、市場開拓の先頭に立っている。ここの常任指揮者として、稲垣晴彦さんが登壇すると、富山のコメの海外輸出の交響曲が始まる。ターゲットは、中国の医療介護市場である。中国では、いよいよ気の狂うほど億単位の高齢人口の時代が幕をあける。「其原料是著名的富山大米」。中国市場では、ゴールドウインがブランド化している。スポーツ用のユニホーム、つぎに、保健食品が可能である。偏差値70以上の企業が、楽器と楽譜を持ち寄ることだ。