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過去の中国の対日外交担当者の素性

2017年08月20日 | Weblog

1949年に中国共産党の指導のもとで、中華人民共和国が成立、ほどなく朝鮮戦争に参戦した結果、中国共産党の対日政策は、朝鮮戦争における敵であるアメリカ軍の軍事基地周辺の妨害活動の推進にあった。特に、軍事物資の輸送を妨げるために、中国共産党は、日本共産党を動員した。このとき、日本共産党は、中共派と、民族派に分裂した。中共派は、1945年9月より捕虜とした日本軍兵士を人道的に扱い、いわゆる「洗脳」を行い、中共派の日本共産党の形成を推進した。そもそも、野坂という指導者が、岡野という筆名を用い、中国に亡命して、中国で日本共産党の組織を行っていた。この中共中央ー野坂の人脈が、中国の対日外交の起点にあった。この勢力を日本共産党が除名し、日本人の民族利益を第一とする日本共産党になるのは、1980年代になる。この対日工作の中共側の代表者は、鄧小平である。

第二のパイプは、赤十字の関係者である。日本軍の捕虜の日本への復員をサポートした関係者である。中国では、1890年代から日本と中国との相互の協力で、日本赤十字と中国紅十字の組織化が始まった。日清戦争のあと、義和団の前夜である。非常に古い歴史があり、この人脈は、中国国民党の創始者である孫文とその周辺の人材に繋がる。1949年の中華人民共和国の建国に参加したのは、中国国民党左派の一部、中国国民党革命委員会の系譜である。廖承志をリーダーとする人脈である。このパイプは、中共中央の統一戦線部の指導のもとにある。歴史的には、日本の上層社会との接点が多い。

第三のパイプは、中国籍の朝鮮族による対日パイプである。日本語ができるという強みを生かし、中国共産党の入党者をリーダーとする「対日利権漁り」の中心にいる。この勢力は、中国の東北地方・北朝鮮との接触地帯にあり、大連から上海への海路の交易に関与する。徹底した反日の民族感情をもとに、中共中央の信任をえている工作者の人脈である。これは、吉林大学などの教育機関で日本史、日本地理、日本語の教育を通じ、中国共産党が管理できる中国籍の朝鮮族による対日パイプである。

第四のパイプは、日本の文部科学省が育てた「新華僑」、つまり日本留学経験者たちである。中共中央としては一番に管理しにくいが、できれば党員として身分を保証し、国籍の放棄を阻止したい人たちである。日本の大学院、大学、各種学校の知識人材として、日本社会の一員として正業を行っている。

習近平政権は、過去の対日汚職の筋を押さえており、対日外交を正規の外交部(党では中央対外連絡部)に一本化し、第一、第二、第三のパイプを細くし、第四のパイプを太くしようとしている。日本の文部科学省が育てた「新華僑」を熟知し、習近平政権から評価されているのが、現在の王毅外交部長である。

つまり、日中関係は、裏面の特殊利権から、国際協定を軸とする法制的な関係へと、関係性そのものの透明化が進んでいる。それを促しているには、日本人の中国留学経験者たちである。世代交代こそ、透明で、公正は日中関係の構築に寄与している。笹川氏の日本財団、企業の財団など、中国人の日本留学経験者への支援は、習近平政権のもとで収穫期を迎える。

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