富山マネジメント・アカデミー

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Chowを考える

2017年08月21日 | Weblog

アメリカ口語、俗語にChowという「飯」を意味することばがある。語源は、中国語CHOWから来たことは、確かだが、それ以上のことは分からない、と記載されている(「アメリカ口語辞典』朝日出版社、1983年)。「岩波英和辞典」にも、採録され、英語では「中国犬」、米語では俗語として「食料、食事」とある。Chow-chowは、中華風のごった煮、炒め物、とある。チャウダーという料理名の語源にもつながる。

そこで、一音節でCHOWに相当する漢字を探したが、Chには、母音のiが付帯するので、ChとOWとを2音節に分化すると、「喫」という動詞は、音は[chi]だと分かる。意味は「食べる」とか、「吸う」を意味する。すると、OWに当たる漢字を探せばよい。英語の発音では、OWは〔au] であるから、「熬」という文字が思いつく。今の漢語共通語では、発音記号は〔ao] である。「熬」の意味は「糧食を水に入れ、煮て糊のようになったもの」と、『現代漢語』辞典にはある。漢語では、iとは、複合母音となり、[ya] となる。だから、チャウという音で、米語が聞き取られるのと一致する。日本語では、雑炊を吸うように喉に流し込む、という感じて説明できる。我が家では、妻のつくる「おじあ」にあたる。

 

答えとしては、「喫熬」という漢字の表記に語源があると仮定できる。これは、カルホルニアでの金鉱の発見で、ゴールドラッシュで一攫千金を夢見た中国人が、「苦力」を雇用し、採掘した時代に西部開拓地で始まったようだ。さらに、中国人「苦力」は、アメリカ大陸横断鉄道の線路の敷設に従事した。この言葉が、アメリカの軍隊の兵士の用語となり、さらには、兵士が大学に進学するに及んで、大学の学食を表す言葉に転じていったようだ。

ともあれ、中国人とアメリカの歴史の、特に太平洋を繋ぐ米中関係は、日本人が嫉妬に値する「特殊な歴史的な関係」がそこにある。孫文の革命も、アメリカの沿岸警備隊で働いた経験のある宋嘉樹が、牧師となり上海で、漢文訳の聖書を出版する事業から大きく飛躍する。孫文は上海のアメリカ人のクリスチャンの社会の一員であった。chowが、太平洋を横断して、アメリカの開拓精神が、上海に持ち込まれてきた、といえる。宋嘉樹の肖像写真には、Chow-chowという中国犬にそっくりな一枚がある。

日本人は、アメリカと中国人との付き合いの深さを知っておかなばならない。中国の社会主義は、アメリカ発、日本経由、上海へ上陸という流れがある。あるレベル以上の人文・社会学者は、英語(米語)+漢語(中国語)+日本語の3種の言語でモノを考える習慣を身につけたいものだ。

 

 

 

 

 


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台湾は独立より、中国の重要な太平洋拠点として北京に対抗するべし

2017年08月21日 | Weblog

台湾は、決して民進党のリードで独立するべきでない。独立は、台湾の政治経済文化資産を全て失うことになる。台湾に民進党には、外国における独自の支持者の組織がない。また、文化素養が、米語圏と、日本語圏とに分岐し、民族を統合できる知的な水準にない。特に、孫文の革命の歴史遺産を放棄している以上、地域政党の枠にのみ存在意義が限定される。

他方、社会経済的にみると、台湾には、中華民族の3つの国際拠点がある。一つは、寧波グループの拠点がある。海運業、情報産業、金融業に強い人財を有しており、ニューヨーク、ロンドンの金融筋にも絡んでいる。台湾の元は、地域通貨に見えて、人民元との調整のバルブなので、活かし方が正しければ、北京のミスを補正できる安全弁である。日本円は、日本列島で一元化されているから、ミスはそのまま国際経済・国内経済にストレートに反応してしまう。もし、沖縄には、独自の「第2通貨」があると、ドルとの関係で、沖縄ドルが微調整できる。この利便性のため、統一国家の内部の「国際地域通貨」という特殊な既得権を放棄してはならない。台湾には、福建グループと、広東客族グループがある。つまり、アセアンには太い親族パイプがある。大きな政治経済文化の資産である。

第二には、中国大陸で民法総則が発行したことで、台湾と大陸との「法律」が、翻訳変換が不能な関係から、近代法のベースが同期した。これは、台湾側の法律文化が大陸の法治主義を促進したためである。民法の世界では、台湾人が大陸をソフトパワーで支配できることになる。中国大陸の真の近代化は、台湾が起点となる。

第三には、中華人民共和国の弱点は、上海、北京などの重要都市が、アメリカ軍からみて沿海に近すぎるので、迎撃には極めて不利な点にある。それをカバーするためには、台湾の海峡の緊張を緩和しながら、台湾を中華民族全体の太平洋基地とする必要がある。

台湾は、一つの地域に見えても、そこには孫文の政治遺産があり、軍事的にも、太平洋時代の中華帝国の防衛の要である。さらには、台湾の企業は、特に電子産業は、台湾企業の影響のもとにある。特に、「一路一帯」のロジスティクスは、台北、台南が東の拠点である。日本では、沖縄がその東端にある。

制度的には、「特別行政区」には、国際流通性がある独自通貨を認めてきた歴史がある。香港ドルがそれである。台湾ドルも、価値のある通貨である。もし、独立すれば、紙切れにされる。独立せずに、丁寧に法制の改革、特に地方自治のモデルを樹立することである。そのショーウインドウ効果をもたらすには、台湾民進党は日本からもっと多くの事を学習しなくてはならない。


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