トロルお爺の”Satoyaman”林住記

生物生産緑地にて里山栗栄太が記す尻まくりワールド戯作帳

心頭、滅却すれば真夏日もまた涼し…

2022-08-03 | 今日は真面目に
 毎日が日曜日、毎日が真夏日、毎晩が熱帯夜と高齢者ご優耐が続いておる「何をか言わんや!」ではなく「何も言えん」弱い齢なんぼの存在は唯々ひたすら凌ぐ事だけである。それでも姥捨て山の作業は「ハイ!、ハイ!、ハイ!」と餅つきの手返しのごとく行わねばならないのだった。「若き日、早や夢と過ぎ・・・」とフォスターの歌を口ずさんでも「老いたる日、葉や夢と杉・・・」へ現実と妄想がお雑煮状態、もうよそう、すぐもよおしてくるのも老いの路。

 この日の最高気温は33℃、蒸し暑く風もない。炎天下作業不向きだけれど社会的立場の弱い高齢者には抗議や苦情を受け付ける場所とて少なく、このコロナ感染爆発下ではお口チャックであろう。
 さて、先日来切断したままのナラ枯れで立ち枯れ、地下部分が腐食でこらえ切れなくなり倒れた太枝の部分を集積した。枝と言っても幹みたいな太枝がほとんどで細い先端部分はとうに落下し跡形もないのだ。

 集積はただひたすら抱えて運び、鳶口を打ち込み曳いて運びしてようやく目途がついたのだった。少し長めで「この炎天下では運びたくない重量」の太枝を更に半分にしている時にトラブルは舞い降りた。チェーンソーのアクセルレバーが戻らなくなったのだ。これでは手を放しても刃は回転しっぱなしで危険極まりない。ここで万事窮す、やむなく作業中止にした。拠点道具小屋に行き、分解整備すれば回復すると思いつつ「もう十分に動いた」感ありありだから「食べ残し放置」の気分で作業終了。
 まあ、難多溜痴吾、惨多溜痴吾、OH!それ見よ・・・。

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 しかし、帰宅して見れば唖然茫然愕然の事態が待っていた。留守電のメッセージランプが点滅している。高齢者となれば電話やメールは詐欺メール、詐欺電話間違いなしの登録なしの電話からがほとんどで、たまにメッセージがあっても自動配信音声の手あたり次第詐欺紛いばかりなのだ。
 今回も「そうだろう」と何気に再生ボタンを押したのだが凹んだ。ワンゲル部でリーダーだった友人の奥様からの訃報だったのだ。既に一週間は経っていたし、このコロナ禍では友人知人に連絡するのも差し控えての結果なのだと思うしかない。
 電話しようにも言葉が見つからないし弔問すら差し支えなければならない現実では暑さとは関係なく心は塞ぐだけで真夏日だって事さえ感じない。ご冥福を祈るだけである。
 前掲の歌詞の続きは「わが友 みな世を去りて あの世に楽しく眠り 微かに我を呼ぶオールドブラックジョー」だったか。
 「この世の朝 はやも過ぎて 黄昏る頃となりぬ・・・」もソノシートで聞いたアメリカ民謡の一節だが今は現実となって肉薄して来る。ましてや集積腐木材の小山を見れば嫌でも理解する人生成れの果て。すべては物質循環の中にあるのだ。塵は塵に、土は土に、命は命に、てなもんや三度笠。