トロルお爺の”Satoyaman”林住記

生物生産緑地にて里山栗栄太が記す尻まくりワールド戯作帳

今日のトンボ「今期の総括」

2021-12-25 | 小父のお隣さん
 暮れともなればフイールドのトンボは完全に消え失せた。日々毎日生存確認をしてきたわけでも無いが12月12日にマユタテアカネとオオアオイトトンボの二種は飛翔していた。15日になるとマユタテアカネだけとなり、それ以後の確認は無かったから「終見日は15日」で良いだろう。「総括」と言う単語や「金木犀の香り」は記憶と癒着してしまい生涯離れる事は無いだろう。そうだからこそ「総括」は使いたくない単語なのだが年に1回くらいはやむを得ない。

 今期、最初の出現はダビドサナエが4月6日で4月中にアサヒナカワトンボ、クロスジギンヤンマ、シオカラトンボ、シオヤトンボを確認できた。出現していた可能性が高いのはコヤマトンボやハネビロエゾトンボなどだが飛翔体だけで撮影が出来なかった以上、小生が確定できるはずも無く残念な結果である。
 例年になく少なかったのはヤブヤンマとクロスジギンヤンマだが期待していたミヤマカワトンボやミヤマアカネは飛来しなかった。ヤブヤンマの理由は不明でもクロスジギンヤンマ減少の理由は明らかで出現期前の冬、極端な雨量減少で雨水に頼っていた三日月池が座布団1枚ほどの水域を残して干上がったのだ。「発生は無理か⁉」と思った通りになって羽化量の物差しになる抜け殻の目減りは甚大だったのである。

 それでもトピックはあるもので、林接池を造成した結果に違いないタカネトンボは定着種として増え産卵する姿も撮影できたしサラサヤンマも撮影出来たのだった。オニヤンマも例年になく飛翔数と産卵行為を見せてくれた。
 タカネトンボやサラサヤンマは飛翔していくだけで止まってはくれない。S先生のように飛翔体を見れば判定してしまう鑑定眼など無い小生がぼやいていたらわざわざ捕獲して撮影させてくれた。小生も捕虫網を持てば捕獲でき撮影個体も増えるのは分かりきっていて近くの専門店の所在もチェックしてはいるけれど購入までには至っていない。自ら捕獲して撮影するのは少し違和感を生じる。小生は「じょんのびの地」として生息環境を整え「おいでやす」を基本としてきたのだ。それが「里山栗栄太」の矜持である。
           タカネトンボ        サラサヤンマ 


 ご当地ではないものの誘われて出向いた折りにはオオヤマトンボとネアカヨシヤンマを見る事が出来たけれど小生の活動フイールドとは異なる環境下でもあって「別環境下では異なった種が居る」とまあ、当たり前の感覚。フイールドでお迎えするほどの感慨は薄いし今後も間違ってもフイールドでは飛翔しない種なのだから期待もしない。
 猫の額より大きいフイールドでもトンボの生息環境として評価すれば整っているとは断じえない。フイールドで確認できた種は大まかには定着繁殖種と飛来記録種に分かれるけれど双方を合わせ40種が当面の目標で、S先生によれば「不可能ではない数」との事なので、それをよすがに水商売・水見回りが続く。

 まあ、何と言うべきか「窮鳥懐に入れば猟師これを殺さず」とは多少異なるものの、身近で散見できる種の方に愛着が湧くし「次はどうなる⁉」と期待も膨らむのであった。水が温み来季出現するまでの間、氷盤の下のヤゴに思いをはせながら凍え悴むご老体をいたわりつつ水辺の保全に努めねばならない。こういう事は世間と隔絶された姥捨て山の孤老でしか行いない行為だろうし、その故あって生息環境も風前の灯でもある。色即是空空即是色・・・。

                  氷盤したなる泥中ヤゴは
                  飛翔夢見つ泥布団 ハアコリャコリャ

*今日の一句「望郷」

2021-12-25 | 感じるままの回り道
                 箱膳の食も暗けり雪囲い