「結構、日本語が通じますよ」
台湾駐在8年の経験がある得意先の仲のいい営業マンが教えてくれたことがあった。
もともと日本の領土(植民地ではない、と拓殖大学の黄文雄先生もおっしゃってる)だったので、日本語が話せる人がいても不思議ではない。
しかし、それも昭和一桁生まれのお年寄り世代までだと思っていた。
前総統の李登輝先生なんぞは家では日本語で奥さんと会話をしている、なんてことも聞いていたが、若い世代はさほど話せないだろうと考えていたのだ。
ところがどっこい。
もうひとつの日本の領土だった大陸の盲腸部分とは異なり、ここ台湾では若い世代にも日本語を解する人が少なくないようでビックリしたのだ。
ここ板橋駅でも英語はダメだが日本語を解する20代とおぼしき台湾高鉄のガイドさんに救われた、というわけだ。
「どこ行きますか?」
とガイドの女の子。
「台中まで乗って見たいんですけど」
と答えると、
「台中ですね。いつの切符ですか?」
「今から..........次の列車で」
「えええ!今日!台中....売切れだよ~」
そんなに大げさにビックリせんでもエエだろう、と思うくらい彼女はビックリしたのだった。
この時初めて知ったのだが、台湾の新幹線は全席指定で自由席がない。
指定席はエコノミークラス(普通指定席)とビジネスクラス(グリーン車)に分類されていて、座席の予約ができないと乗車できない仕組みになっている。
ちょうど営業開始当時の「のぞみ号」といった感じだ。
なお、全席禁煙である。
一方、台湾の新幹線は開業からまだ2週間。
誰も彼もが乗りたい乗りたいで予約ができにくい状態が続いているらしく、当日ひょこひょこやって来て「次の台中行きの切符、ちょうだい」などという呑気なヤツは私のような日本人しかいないのかもわからない。
「売切れだよ~」
と叫んだガイドさんは、それでも機械を操作して切符を探してくれた。
すると、
「あ......ありました」
台中行きの空席は残っていたのであった。
ところが台中へ行くのはいいが、台北へ戻ってくる適当な時間の列車が予約で一杯のため、台北へ戻ってこれる列車はかなり遅いものになってしまいそうだった。
台中へ新幹線なら1時間で到着するが、在来線では3時間はかかる。
この客、つまり私が「新幹線に乗って見たいだけ」のお上りさん乗客であることを見抜いた彼女は、
「桃園まで行って帰ってくるのはどうですか?」
とオファーしてくれた。
桃園は次の駅で、これはたとえば新大阪から京都まで、または品川から新横浜まで乗車するのと同じなのだ。
そうすれば1時間以内に行って戻ってこれることがわかった。
「んじゃ、そうしましょう」
券売機は彼女が全て操作してくれた。
「切符は記念に要りますか?」
と彼女。
新幹線は自動改札なので、設定をしておかなければ機械に回収されてしまう。
「持って帰ります」
ということで、無事、板橋~桃園間の往復の切符を購入。
改札口へ向かうのであった。
「ありがとう。謝謝。」
と私。
「ありがとうございました!」
と彼女。
つづく
台湾駐在8年の経験がある得意先の仲のいい営業マンが教えてくれたことがあった。
もともと日本の領土(植民地ではない、と拓殖大学の黄文雄先生もおっしゃってる)だったので、日本語が話せる人がいても不思議ではない。
しかし、それも昭和一桁生まれのお年寄り世代までだと思っていた。
前総統の李登輝先生なんぞは家では日本語で奥さんと会話をしている、なんてことも聞いていたが、若い世代はさほど話せないだろうと考えていたのだ。
ところがどっこい。
もうひとつの日本の領土だった大陸の盲腸部分とは異なり、ここ台湾では若い世代にも日本語を解する人が少なくないようでビックリしたのだ。
ここ板橋駅でも英語はダメだが日本語を解する20代とおぼしき台湾高鉄のガイドさんに救われた、というわけだ。
「どこ行きますか?」
とガイドの女の子。
「台中まで乗って見たいんですけど」
と答えると、
「台中ですね。いつの切符ですか?」
「今から..........次の列車で」
「えええ!今日!台中....売切れだよ~」
そんなに大げさにビックリせんでもエエだろう、と思うくらい彼女はビックリしたのだった。
この時初めて知ったのだが、台湾の新幹線は全席指定で自由席がない。
指定席はエコノミークラス(普通指定席)とビジネスクラス(グリーン車)に分類されていて、座席の予約ができないと乗車できない仕組みになっている。
ちょうど営業開始当時の「のぞみ号」といった感じだ。
なお、全席禁煙である。
一方、台湾の新幹線は開業からまだ2週間。
誰も彼もが乗りたい乗りたいで予約ができにくい状態が続いているらしく、当日ひょこひょこやって来て「次の台中行きの切符、ちょうだい」などという呑気なヤツは私のような日本人しかいないのかもわからない。
「売切れだよ~」
と叫んだガイドさんは、それでも機械を操作して切符を探してくれた。
すると、
「あ......ありました」
台中行きの空席は残っていたのであった。
ところが台中へ行くのはいいが、台北へ戻ってくる適当な時間の列車が予約で一杯のため、台北へ戻ってこれる列車はかなり遅いものになってしまいそうだった。
台中へ新幹線なら1時間で到着するが、在来線では3時間はかかる。
この客、つまり私が「新幹線に乗って見たいだけ」のお上りさん乗客であることを見抜いた彼女は、
「桃園まで行って帰ってくるのはどうですか?」
とオファーしてくれた。
桃園は次の駅で、これはたとえば新大阪から京都まで、または品川から新横浜まで乗車するのと同じなのだ。
そうすれば1時間以内に行って戻ってこれることがわかった。
「んじゃ、そうしましょう」
券売機は彼女が全て操作してくれた。
「切符は記念に要りますか?」
と彼女。
新幹線は自動改札なので、設定をしておかなければ機械に回収されてしまう。
「持って帰ります」
ということで、無事、板橋~桃園間の往復の切符を購入。
改札口へ向かうのであった。
「ありがとう。謝謝。」
と私。
「ありがとうございました!」
と彼女。
つづく