とりがら時事放談『コラム新喜劇』

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談合 made in 防衛庁

2006年01月31日 20時58分56秒 | 政治
市ケ谷にあるSという企業は社員数20名にも満たない中小企業だが、この企業の業績は驚くほどよい。
特別な商品アイテムを扱っているわけでも無く、特別な技術力を有しているわけでも無い。

ただ他社にはない「特別なコネクション」がこの小さな会社の特別な業績を支えているのだ。

報道で一斉に採上げられた防衛施設局の官製談合事件。
正直言って「なにを今さら」という感想だ。
防衛施設局が防衛庁OBが勤務する会社に優先的に調達情報をリークさせ、かつ優先的に受注させていたことなど噂や体験で誰でも知っていたことだ。
新聞やテレビも既成の事実と知っていながら今まで伝えることがなかったのは、自分たちもまたそういう談合常習者の仲間だからだろう。

先のS社は、その少ない社員のほとんどが防衛庁OBで占められている。
OBたちによるOBによるOBのための会社なのだ。
彼らの仕事は自分たちの後輩や元同僚を中心にした「垂れ込み屋」から情報を収集し、それを業者に売ることである。
売る、といっても情報を入手して直接的に金銭を受領するのではもちろんない。
情報を提供してやった企業を動かし仕様を固めさせ、いざ入札と言う段になると中抜きをするのだ。
だから応札権さえ持っていれば大丈夫。
中身や業者間の調整(これも談合だな)は業者に任せ、自分たちは待機する。
つまり何もしない。
当然のことながら「予定価格」「予算」などといった情報は普段使っている諜報網を駆使して入手しているので苦労はない。
いや、苦労はないといえばウソになるか。
居酒屋での飲食や政治家のパーティ券購入などで気苦労があるかもしれない。

で落札後は業者の上前をはねて一件落着。

経費を使って動き回るのは業者だからこれほど効率のよい営業はない。
事務所がなぜ市ケ谷に置かれているのかという理由は今さら書く必要もないだろう。

何故私が、このS社についての「噂」を知っているかというと、防衛庁絡みの仕事で間接的な邪魔をされたことがあるからだ。(たぶん)
多かれ少なかれ防衛庁と取引のある会社は同庁OBを再雇用しており、そのコネクションを利用している。
これは旧軍以来の悪しき伝統でもあると聞いているが本当か。

気の毒なのは真面目に国家防衛任務や国際平和維持活動に従事している自衛隊員たちだ。
無知で破廉恥な現場を知らない文官エリートのために名誉を傷つけられる彼らが不敏だ。
結局これも自分さえ良ければという愛国心の欠如した公務員のなせるワザか。
ともかく入札にまつわる談合が限りなく繰り返されるのであれば、入札システムそのものを変えてしまえばいいものを、役人はそういうことも考える力がないのか。

まあ、考えなくても、適当にやっていればS社がやがて拾ってくれるから大丈夫ということだろう。