8日(金)。その2.よい子は「その1」も見てね。モコタロはそちらに出演しています
昨日、新文芸坐で黒澤明・橋本忍・小國英雄脚本、黒澤明監督による1954年製作映画「七人の侍」(モノクロ・207分)を観ました
この映画は、戦国時代の天正年間(1586年頃)を舞台として、野武士の略奪に悩む百姓に雇われた7人の侍が、身分差による軋轢を乗り越えながら協力して野武士の襲撃から村を守るというストーリーです 全体は前半部と後半部の2部構成になっており、前半部では主に百姓による侍集めと戦の準備の様子が、後半部では野武士との本格的な決戦が描かれています
百姓たちは最初に、ある事件をきっかけに知将・島田勘兵衛(志村喬)を説得し承諾を得る その勘兵衛が軍学が出来る片山五郎兵衛(稲葉義男)、勘兵衛のかつての戦友・七郎次(加藤大介)、薪割りが得意の明るい浪人・林田平八(千秋実)、凄腕の剣客・久蔵(宮口精二)を次々と仲間に引き入れ、最初は子供扱いして相手にしなかった育ちの良い最年少の半人前の浪人・岡本勝四郎(木村功)も仲間に入れる
そして、最後に勘兵衛の強さに惹かれて勝手に着いてくる百姓上りの菊千代(三船敏郎)も加わり7人が揃う
勘兵衛は村の地形を生かした作戦を立て、侍と村人は馬でやってくる野武士たちを分断し、一人ひとり殺していく
翌日、豪雨が降りしきる中、夜明けに残りの13騎の野武士たちが襲来するが、野武士を討ち取る一方で侍も討ち取られる
死闘の末 生き残ったのは勘兵衛、七郎次、勝四郎の3人だけだった
村に平和が訪れ、村人は田植歌を口ずさみながら稲を植えていく
勘兵衛は「今度もまた、負け戦だったな」とつぶやき、怪訝な顔をする七郎次に「勝ったのはあの百姓たちだ。わしらではない」と語り、墓地の丘を見上げる。その頂上には、墓標代わりに刀が突きたてられた4つの土饅頭があった
この映画も何回も観ましたが、こんなシーンもあったのか、という場面がいくつかありました 野武士たちの襲来を受ける前に、数名で敵陣に乗り込むシーンなどがそうです
ここでは音楽を担当した早坂文雄がどんな仕事をしたかについてご紹介します
彼は当時、肺結核を患っていましたが、他の仕事と並行して1年かけてデッサンを描いたそうです
彼は書き溜めた曲を、黒澤の前で1曲1曲ピアノで弾き、黒澤のダメ出しを受けながら修正して曲のアウトラインを決めたとのことです
音楽は単純明快な表現にするため「ライトモチーフ」方式を採用しました
「ライトモチーフ」とはワーグナーの楽劇などでもお馴染みですが、「特定の人物や状況などと結び付けられ、繰り返し使われる短い主題や動機」のことです
主題曲ともいえるのは「侍のテーマ」です
勇壮なマーチ風の音楽ですが、最初に早坂が用意したデッサンはすべて却下されたため、ゴミ箱に捨てた楽譜をピアノで弾いたところ黒澤が気に入り採用されたそうです
一方、「百姓のテーマ」は百姓の恐怖のうめきを男声のハミングコーラスで表現しています
タイトルバックの「野武士のテーマ」は太鼓と弓弦で不気味さを醸し出しています
百姓上りの破天荒な「菊千代のテーマ」はボンゴやサックスで演奏されます
「七人の侍」は世界で最も有名な日本映画と言っても過言ではないでしょう 1954年の第15回ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞しています
1960年にはアメリカで西部劇「荒野の七人」(ユル・ブリンナー、デンゼル・ワシントン他 出演)としてリメイクされました
2018年にBBCが発表した「史上最高の外国語映画ベスト100」では第1位に選ばれています
とにかく理屈抜きに面白い それが黒澤映画の最大の特徴です
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