人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

METライブビューイングでヴェルディ「ナブッコ」を観る ~ ジョージ・ギャグニッザ、リュドミラ・モナスティルスカ、マリア・バラコーワ、ディミトリ・ぺロセルスキーにブラボー!

2024年02月26日 00時39分36秒 | 日記

26日(月)。わが家に来てから今日で3330日目を迎え、ウクライナ侵攻が長期化する中、ロシアは貧困層や不法移民、外国人らを狙い、なりふり構わぬ姿勢で兵力の補充を進めているが、プーチン大統領は昨年12月の記者会見で、侵攻に参加する兵士62万人のうち動員兵が24万人だと明らかにしていた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシアは 国土が広い割に人口が少ないから  金に任せて動員するし 子供も誘拐する

 

         

 

昨日、腰痛対策ベルトを着用して、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、ヴェルディのオペラ「ナブッコ」を観ました METライブビューイング2023/2024は、日本では昨年12月8日から始まっており、すでに3作が上映されました しかし、3作とも現代オペラなのでパスして、第4作の「ナブッコ」から観ることにしたのです

この映画は2024年1月6日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です キャストはナブッコ=ジョージ・ギャグニッザ、アビガイッレ=リュドミラ・モナスティルスカ、フェネーナ=マリア・バラコーワ、イズマエーレ=ソクジョン・ペク、ザッカ―リア=ディミトリ・ぺロセルスキー。管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団、合唱=メトロポリタン歌劇場合唱団、指揮=ダニエル・カッレガーリ、演出=エライジャ・モシンスキーです

 

     

 

「ナブッコ」はジュゼッペ・ヴェルディ(1813-1901)が「旧約聖書」を素材としたテミストークレ・ソレーラの台本により1842年3月9日にミラノ・スカラ座で初演した4幕7場から成るオペラです 第2作「一日だけの王様」が失敗し、妻と子どもを相次いで失い絶望のどん底にあった28歳のヴェルディは、第3作「ナブッコ」の初演で大成功を収め、イタリア・オペラの権威的存在への道を歩み始めます

物語の舞台は紀元前6世紀のエルサレム。神官ザッカ―リアは、軍を率いてエルサレムに乗り込もうとするバビロニア王ナブッコを撃退しようと、彼の実娘フェネーナを人質に取る しかし、フェネーナを愛するエルサレム王の甥イズマエーレが彼女を救ったことで、エルサレムはナブッコに征服されてしまう ナブッコが勝ち誇って「我こそ神だ!」と宣言すると神の怒りを買い、雷に打たれ、もう一人の娘アビガイッレ(奴隷との子ども)に王座を奪われる アビガイッレはフェネーナを捕らえ処刑しようとする。その時、正気に戻り 改心したナブッコが兵を従えて現れ、フェネーナを救う アビガイッレは毒を呑んで自害し、ザッカ―リアはナブッコを「王の中の王」と讃える

 

     

 

指揮をとるダニエル・カッレガーリは1960年イタリアのミラノ生まれ。コントラバス奏者としてミラノ・スカラ座管弦楽団に12年在籍し、クラウディオ・アッバード、リッカルド・ムーティの指揮で演奏活動を行いました

カッレガーリがオーケストラ・ピットに入り序曲の演奏に入ります 映像を見るとオケは12型で、左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置をとっていることが分かります この序曲はストーリーをなぞった音楽で、ドラマティックそのものです

幕が開くと、合唱団による力強いコーラスが歌われますが、メンバーを見ると欧米人あり、アジア系あり、黒人あり、ヒスパニック系ありとバラエティーに富んでいます これはアメリカにおける「アファーマティブ・アクション」による人選であると思われます 「アファーマティブ・アクション」とは「マイノリティ(少数派)が過去に受けた教育などに関する差別をなくそうとする取り組み」を意味する言葉で、目的は「少数派が平等に暮らせる社会を作る」ことです この「人種や男女の差別をなくして採用する」取り組みはオペラ界も例外ではなく、METライブでは、あえて黒人やアジア系などの合唱団員を映し出すことによって、METも「アファーマティブ・アクション」に取り組んでいることをアピールしているのです

その合唱が素晴らしい 幕間のインタビューで指揮者のダニエル・カッレガーリが「このオペラは全体の3分の2は合唱で占めている」と語っていましたが、なるほど、第1幕冒頭から第4幕終盤まで力強い、ある時は静かな合唱が続きます 第3幕第2場の冒頭でヘブライの捕虜たちによって歌われる「行け、わが想いよ、黄金の翼に乗って」には静かな感動を覚えます

この曲はスカラ座での初演時に熱狂的にアンコールを求められたいう伝説がありますが、最近の研究では第4幕第2場の「偉大なるエホバ」だったとのことです どちらにしても、この合唱曲はイタリアの第2の国歌と言われるほどイタリア人にとっては大事な曲になっているようです

歌手陣は総じて絶好調でした

ナブッコ役のジョージ・ギャグニッザはジョージアのトビリシ出身のバリトンです 私には過去のMETライブ「トスカ」でのスカルピア役が強く印象に残っています 豊かで力強い歌唱はバビロニア王に相応しい堂々たるもので、威厳のある演技力と相まって存在感抜群でした

アビガイッレ役のリュドミラ・モナスティルスカはウクライナのキーウ出身のソプラノです 圧倒的な声量と抜群のコントロールで権力への執着を歌い上げる姿は圧倒的でした

フェネーナ役のマリア・バラコーワは1998年ロシアのケメロヴォ生まれのメゾソプラノです 魅力的な深みのある声で聴衆を魅了しました

イズマエーレ役のソクジョン・ペクは韓国出身のテノールです 本公演がMETデビューとのことですが、安定感のある歌唱で存在感を示しました

ザッカ―リア役のディミトリ・ぺロセルスキーは1975年ウクライナのパヴロフラット生まれのバスです 魅力的な深みのある歌唱で威厳のある神官を歌い演じました

上演がこの時期(今年1月6日)だからでしょう。幕間のインタビューでソプラノ歌手エンジェル・ブルーから「ウクライナ出身の歌手として世界の聴衆に向けて何かメッセージはありますか?」と訊かれ、リュドミラ・モナスティルスカは「訊いてくれてありがとう。勝利して、ウクライナの空に平和が訪れることを祈っています」と答えていました。またジョージア出身のギャグニッザは「このオペラの主人公ナブッコは当初、暴力的な独裁者でしたが、神の怒りにふれて罰が下り、後に慢心を反省して改心しています 現在も、同じようなことが起こるかもしれません」と希望を語っていたのが印象的でした

演出のエライジャ・モシンスキーは両親がロシア系ユダヤ人で、1946年に上海で生まれ、イギリスを中心に活躍しました 最近ではMETライブ「ナクソス島のアリアドネ」の演出を手掛けましたが、新型コロナウイルスに感染し2021年に死去しました

モシンスキーの演出・舞台は極めてオーソドックスで、重厚感のある舞台(上の写真)が印象的で、表裏2面の回転舞台によりスムーズなストーリー展開を実現していました

今回の映像を観て、ナブッコは「アリアに次ぐアリア、合唱に次ぐ合唱」の魅力的なオペラであることを再認識しました

METライブビューイング「ナブッコ」の上映時間は 約10分の休憩1回と歌手へのインタビュー等を含めて2時間53分です    東京都内では新宿ピカデリーのほか東銀座「東劇」他でも上映中です    チケット代は一般‘@3,700円ですが、ムビチケカード3枚セットは9,600円で、1枚当たり500円安くなっているので 3作以上観る人にお薦めします

「ナブッコ」の上映は29日(木)まで。次回は3月8日(金)からビゼー「カルメン」です これも観逃せません

 

     


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