人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

井上道義 ✕ 林英哲 ✕ 石丸由佳 ✕ 新日本フィルで新実徳英「和太鼓とオルガンとオーケストラのための『風神・雷神』」、ラヴェル「ボレロ」他を聴く

2022年05月14日 07時28分13秒 | 日記

14日(土)。昨日は午前11時から錦糸町のTホテルで新日本フィル「すみだクラシックへの扉・レクチャー」(テーマ=オーケストラを拡張する ~ オルガンと打楽器が広げた管弦楽の可能性。講師=小室敬幸氏)に参加し、14時から「扉:本公演」を聴き、終演後その足で内幸町の日本記者クラブ・レストランに直行し、17時から「K氏との懇談会」に参加するといった多忙な1日を過ごしました したがって、夕食を作る時間がなかったので、あらかじめ娘に事情を話して免除してもらいました

ということで、わが家に来てから今日で2680日目を迎え、フィンランドがNATO加盟に近づいたことを受け、ロシア外務省は5月12日の声明で、「ロシアはこのことで生じる国家安全保障への脅威を阻止するために、軍事的及びその他の報復措置を取らざるを得なくなるだろう」と述べた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ウクライナへの侵略の理屈と同じだ  ロシアに攻撃してないのに「報復」するって

 

         

 

前述の通り、昨日 錦糸町のすみだトリフォニーホールで新日本フィル「第7回 すみだクラシックへの扉」公演を聴きました プログラムは①サン=サーンス「糸杉と月桂樹 作品156」より「月桂樹」、②新実徳英「和太鼓とオルガンとオーケストラのための『風神・雷神』」、③ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」第1組曲、第2組曲、④ラヴェル「ボレロ」です 演奏は①②のオルガン独奏=石丸由佳、②の和太鼓独奏=林英哲、指揮=井上道義です

 

     

 

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろのコントラバスといういつもの新日本フィルの並び。コンマスは西江王子です ステージ後方の中央には2曲目のため大きな和太鼓が設置され、2階正面のパイプオルガン席で石丸由佳さんがスタンバイします

オルガン独奏の石丸由佳さんは東京藝大卒業、同大学院修了。デンマーク王立音楽院、シュトゥットガルト音楽大学で国家演奏家資格を取得 シャルトル国際オルガンコンクールで優勝 現在、新潟市民芸術文化会館りゅーとぴあ専属オルガニストを務めています

1曲目はサン=サーンス「糸杉と月桂樹  作品156」より「月桂樹」です この曲はカミーユ・サン=サーンス(1835ー1921)が1919年に作曲したオルガンとオケのための作品です サン=サーンスは、第一次世界大戦後に死者への追悼としてオルガン・ソロによる「糸杉」を、フランスの戦勝を祝う管弦楽とオルガンによって「月桂樹」を書きました

井上の指揮で演奏に入りますが、戦勝記念という背景があるだけに明るく祝祭感に満ちた曲想で、壮麗なオルガンがオーケストラとマッチして会場に豊かな響きが鳴り渡ります 率直に言ってすごく良い曲だと思いました   ひょっとしてCD持っているかもしれない。後で4000枚の中から探してみよう

2曲目は新実徳英「和太鼓とオルガンとオーケストラのための『風神・雷神』」です この曲は新実徳英( 1947~)が作曲し、1997年10月22日の「すみだトリフォニーホール開館記念式典」で初演されました

和太鼓独奏の林英哲氏(1952年~)は、佐渡「鬼太鼓座」、「鼓童」での11年間の活動の後、1982年にソロ活動を開始。84年に初の和太鼓のソリストとしてカーネギーホールにデビュー 2000年にはドイツのワルトビューネでベルリン・フィルと共演し、2万人を超える聴衆を圧倒しました 2020年にはNHK大河ドラマ「麒麟がくる」のメインテーマにソリストとして参加しました

ステージ後方の中央に設置された和太鼓の手前に林英哲氏が、2階正面のパイプオルガン席に石丸由佳さんがスタンバイします

井上の合図で、和太鼓の迫力ある「ドン」「ドン」という腹に響く音が会場に鳴り響きます そこにオルガンが加わります 和太鼓は雷の神=雷神を、オルガンは天と風の神=風神を表します この2つの独奏楽器にオーケストラが加わり、エネルギーに満ちた音楽が展開します 力強い連打を続ける林英哲氏は1952年生まれといいますから今年70歳ですが、とてもそうは見えない半端ない体力の持ち主です 一方、石丸由佳さんはオルガンの最高音から最低音まで幅広い音域の音を自由自在に駆使し技巧的な演奏を展開します 終盤、ステージの照明が落とされ、パイプオルガンと和太鼓にスポットライトが当てられ、2つの楽器によるインプロヴィゼーション(即興演奏)が展開しますが、英哲さんは迫力の鉄腕ぶりを発揮する一方、由佳さんは”とうとう切れたか ”と思わせるような破壊力に満ちた演奏を展開し、目の前で「風神と雷神のバトル」が繰り広げられるかのようでした カデンツァの後、舞台に照明が点き、オーケストラが加わって壮大なフィナーレを迎えました

カーテンコールが繰り返され、英哲さんと由佳さん、そして井上 ✕ 新日本フィルの面々に大きな拍手が送られました     また、会場後方で演奏を聴いていた作曲者の新実氏が紹介され、大きな拍手に包まれました

休憩時間に、パトロネージュ部・登原さんに「『風神・雷神』良かったですよ 演奏者にスポットライトを当てた演出も良かった」と話すと、彼女は「私も観たいです」と言うので、「明日のコンサートで会場に入れるといいね」と伝えました。また、「第2ヴァイオリンのトップはN響の大宮臨太郎さんかな?」と訊くと、「そうです」との返事 「珍しいね」と言うと、「そうでもないです。何回か客演しています」とのこと。私は初めて見ました そういえばヴィオラの元首席・篠崎友美さん(現在、都響首席)はN響に客演していたことがありました

 

     

 

プログラム後半の1曲目はファリャ:バレエ音楽「三角帽子」第1組曲、第2組曲です この曲はマニュエル・デ・ファリャ(1876ー1946)が1918年から翌19年にかけて作曲、1919年にロンドンで初演されました 1916~17年に作曲したパントマイム「代官と粉屋の女房」をロシア・バレエ団で上演するため編成を拡大した作品です 物語は、魅力的な粉屋の女房と、彼女に言い寄る三角帽子の代官、嫉妬深い亭主が繰り広げる喜劇です 第1組曲は「序奏部」「粉屋の女房の踊り」「代官の踊り」「粉屋の女房」「ぶどう」の5曲から成ります また、第2組曲は「近所の人々の踊り」「粉屋の踊り」「終幕の踊り」の3曲から成ります

「三角帽子」は「代官の被っている帽子」のことで、代官を象徴しています

オケがスタンバイしているところに、井上が黒い帽子(頂点が三角に見えなくもない)を被って登場したので、そのまま指揮をするのかと思ったら、脱ぎました。脱帽です

井上は時に「これは俺の世界」と言わんばかりに、指揮台の上で楽しそうにバレエを踊りながら指揮をします 彼は幼少時にクラシックバレエをやっていたので、昔取った宝塚、もとい、昔取った杵柄です この日午前の「扉:レクチャー」で、この曲をバックにバレエを踊る映像を観たのですが、バレエ音楽は観て聴くのが理想的だなと思いました ただ、演奏は色彩感に溢れ、スペイン情緒たっぷりでした

最後の曲はラヴェル「ボレロ」です この曲は舞踏家イダ・ルビンシテインの依頼により1928年に作曲、同年11月22日にパリで初演されました

指揮者の前方(第2ヴァイオリンとチェロの間)にスネアドラムがスタンバイします

井上の指揮により演奏がスタートします スネアドラムによる弱音の小刻みの連打に乗せて、フルート ⇒ クラリネット ⇒ ファゴット ⇒ E管クラリネット ⇒ オーボエダモーレ ⇒ 弱音器付トランペット ⇒ テナーサックス ⇒ ソプラニーノサックス・・・・とソロの楽器が同じメロディーをリレーしていきますが、楽器が変わるごとに曲はクレッシェンドしていきます 同じリズムと同じメロディーの繰り返しで、聴く者を興奮の極致に誘う代表的な作品、それが「ボレロ」です そして、最後にどんでん返しが待っているのも「ボレロ」です

それぞれのソリストの演奏はそつがなく安心して聴くことが出来ました 演奏後、井上は客演奏者を中心に立たせていましたが、正団員の演奏も素晴らしかったです

その後 井上は満場の拍手を制し、「もう一回  ボレロがあるかもしれない」と衝撃のアナウンスをすると、ステージ後方上手から林英哲氏が再登場、和太鼓に対峙しました     まさか と思っていると、井上の指揮で オケをバックに英哲さんが和太鼓をスネアドラムのように小刻みに叩き出したではありませんか するといきなりフィナーレのどんでん返し部分の演奏に移り、和太鼓とオケとの大音響の中で曲を閉じ、聴衆を興奮の渦に巻き込みました そして、井上は「節目というものがあります 新日本フィルは創立50年。英哲さんは太鼓を始めてから50年。まだまだ続きます」と言い残して大きな拍手の中、舞台袖に引き上げていきました こういうところは演歌テナー、もとい、エンターテイナーだと思います

 

     

 

         

 

昨夕の「K氏との懇談会」のK氏とは、私が35年間務めた新聞関係団体(NSK)に入職した当時の国際部の直属の上司です K氏は現在ロンドンと日本に1年の半分ずつ生活しているため、ちょうど日本で生活しているところを見計らって、K氏のかつての部下で私の2番目の職場(NPC)の専務も務められたU氏が、K氏にゆかりのあるNSKのOBに声をかけて集まったものです 最初は2017年1月11日に新橋の中華料理店で開かれましたが、その後は同年12月5日、2018年4月16日、同年7月13日、2019年1月10日、2020年1月23日と、いずれも日本記者クラブ・レストランで開かれてきましたが、それ以降は、新型コロナ禍の影響で計画されては中止・延期となり、今回が2年4か月ぶりの再会となったものです 今回はまだ新型コロナが終息していないこともあってか、K氏、U氏、国際部の先輩Mさんと私の4人が集まりました こうして”卒業後”も部下たちが集まるのはK氏の人徳以外の何物でもありません

K氏は現在89歳ということですが、ビールやワインもたしなめられて、年齢の割にはお元気そうでした U氏が中心になって現役時代の思い出話に花が咲きましたが、話題はロシアによるウクライナへの侵略問題にも及びました U氏の「ロシアはこの戦争に最終的には勝てないのではないだろうか」という感想に、K氏は「ロシアを勝たせてはいけない」と答えていたのが印象的でした みな想いは同じだなと思いました 帰りは雨が降って足元が悪かったので、K氏を新橋駅までお送りしました K氏は6月にロンドンに戻られるので、また半年後以降にお会いすることになると思います。いつまでもお元気でいてほしいと思います


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2 コメント

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Unknown (miminga33)
2022-05-14 19:30:28
こんばんは。
昨日は素晴らしい演奏会でしたね。
お客さんを巻き込んで、ステージも客席も熱く感じられました。
返信する
ミッキー (tora)
2022-05-14 19:54:59
ウサコさん メールありがとうございました。

ミッキーワールド全開でしたね。なんだかんだ言っても、井上ミッキーは会場を盛り上げるエンターテイナーです
返信する

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