人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ネーメ・ヤルヴィ✕N響でイベール「モーツアルトへのオマージュ」、フランク「交響曲ニ短調」、サン=サーンス「交響曲第3番」を聴く~N響Bプロ定期演奏会

2019年05月24日 07時23分00秒 | 日記

24日(金)その2.よい子は「その1」も見てね   モコタロはそちらに出演しています

 

         

 

昨夕、サントリーホールでNHK交響楽団の第1914回定期演奏会(Bプロ)を聴きました   プログラムは①イベール「モーツアルトへのオマージュ」、②フランク「交響曲ニ短調」、③サン=サーンス「交響曲第3番ハ短調作品78」です   演奏は③のオルガン独奏=鈴木優人、指揮=ネーメ・ヤルヴィです

ネーメ・ヤルヴィは1937年エストニア生まれで 今年82歳を迎えました。言うまでもなくN響の首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィの父親です   エストニア放送交響楽団(現・エストニア響)の首席指揮者、エーテボリ交響楽団の首席指揮者、デトロイト交響楽団の音楽監督、スイス・ロマンド管弦楽団の音楽・芸術監督などを歴任し、2010年にエストニア国立交響楽団の音楽監督に復帰しています

オケはいつものN響の並びで、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという編成。コンマスは”マロ”こと篠崎史紀氏です

1曲目はイベール「モーツアルトへのオマージュ」です    この曲はジャック・イベール(1890-1962)が1956年、モーツアルトの生誕200年を記念して、フランス国営放送からの依頼により作曲しました 単一楽章の5分程度の曲です

ネーメ・ヤルヴィがゆったりとした足取りで指揮台に向かいます 満場の拍手に一礼し、オケの方に振り返ったかと思ったら 両手が上がり 指揮の態勢に入っています   楽員の方がその俊敏な動作に追い付けない様子です  このことからも分かるように、ヤルヴィの指揮は俊敏そのものです   曲は 20世紀にモーツアルトがワープしたらこういう曲を作るのだろうか、と思えるような軽妙洒脱な音楽でした

2曲目はフランク「交響曲ニ短調」です この曲はベルギー生まれで フランスに帰化したセザール・フランク(1822-1890)が1886年から1888年にかけて作曲し、翌1889年に初演された作品です

作品は第1楽章「レント~アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アレグレット」、第3楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」の3楽章から成りますが、楽章を超えて共通の主題が使用される循環形式により、全体に統一感が保たれています

ヤルヴィの指揮は、この曲でも俊敏そのもので、全体的に速めのテンポでグイグイ押していきます ヤルヴィの必要にして最小限のタクトの動きから、オケは金管を中心によく鳴ります 無駄のない動きは息子のパーヴォに受け継がれたのかも知れません


     


プログラム後半はサン=サーンス「交響曲第3番ハ短調作品78」です この曲はカミーユ・サン=サーンス(1835-1921)が1886年に作曲、同年ロンドンで初演されました

第1楽章:第1部「アダージョ~アレグロ・モデラート」、同第2部「ポコ・アダージョ」、第2楽章:第1部「スケルツォ」、同第2部「フィナーレ」の2楽章4部から構成されていますが、全体を通して、循環形式が取られており、主題が繰り返し出てきます

演奏で特に印象に残ったのは第1楽章第2部で、オルガンに導かれて弦楽器が美しいメロディーを奏でるところです 鈴木優人の演奏するパイプオルガンの重低音が弦楽器にかぶさり、会場内の空気を振動させます こういうところはオルガン奏者でもあったサン=サーンスの真骨頂といったところです

そして第2楽章第2部の冒頭、オルガンの強奏に続き、厳かな主題が現われ、ピアノの分散和音が奏でられますが、この部分の一連の演奏はとても美しく、魅了されます

演奏を聴き終わって思うのは、この曲はパイプオルガン奏者でもあったサン=サーンスらしいオルガンの魅力を最大限に発揮した作品だな、ということです

ヤルヴィは満場の拍手に応え、各セクションごとに立たせましたが、2階正面のオルガン操作卓に居る鈴木優人に対し、DA  PUMP よろしく「カモン・ベイビー」と1階に降りてくるよう手で合図しました。弦楽器をセクションごとに立たせている間に鈴木優人が指揮台の傍らに登場、ヤルヴィと握手しました 私はこれまでこの曲を何回も聴いてきましたが、オルガン奏者を1階まで降ろしたのはネーメ・ヤルヴィが初めてです

若手の女性ヴァイオリン奏者から花束を受け取ったヤルヴィは 嬉しそうな表情を見せ、満場の拍手に 耳に両手をあて、「聴こえない、もっと大きな拍手を」と言わんばかりの仕草を見せ 聴衆の笑いを誘いました   こういうのを「年の功」というのでしょう これを若手や中堅の指揮者がやったら、間違いなく鍋や洗濯機が飛んでくるでしょう

今回のコンサートは、82歳にしてまったくブレない指揮を見せたネーメ・ヤルヴィに魅了された公演でした

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 藝大モーニング・コンサート... | トップ | ヴァィグレ ✕ ユリア・ハーゲ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事