人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ファビオ・ルイージ ✕ NHK交響楽団でレスピーギ「ローマの松」「ローマの噴水」「ローマの祭り」、パンフィリ「戦いに生きて」を聴く~N響5月度Aプロ定期演奏会

2024年05月12日 01時14分26秒 | 日記

12日(日)その2.昨日開かれた東京シティ・フィル「第370回定期演奏会」の感想は「その1」に書きました モコタロはそちらに出演しています。是非ご訪問ください

         

昨夜、NHKホールでN響5月度Aプロ定期演奏会を聴きました プログラムは①パンフィリ「戦いに生きて」(日本初演)、②レスピーギ「ローマの松」、③同「ローマの噴水」、④同「ローマの祭り」です 指揮はN響首席指揮者 ファビオ・ルイージです

私はAプロでは2日目の会員ですが、「東響定期演奏会」と日時が重なったため、N響を1日目の公演に振り替えました 振り替え後の自席は1階L12列12番、左ブロック最後列の右からも左からもど真ん中です 前回振り替えた時と同じ席だと気が付きました。正直言って奥に入った席は苦手です ついでに言うと、会員席より1つランクが下の席です   しかし、振り替えなので仕方ありません

 

     

     

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという並び コンマスはマロさんこと篠崎史紀です

1曲目はパンフィリ「戦いに生きて」(日本初演)です この曲はイタリア生まれのリッカルド・パンフィリ(1979~)が、2017年にフィレンツェ五月音楽祭管弦楽団の委嘱により作曲、同年12月31日にルイージの指揮で世界初演されました

ルイージの指揮で演奏に入りますが、聴きにくい現代音楽ではなく、比較的耳に馴染みやすい音楽でした どちらかと言うと、それぞれの楽器が発する音の響きを純粋に楽しむような音楽で、特に後半は美しさを感じました

満場の拍手のなかカーテンコールが繰り返され、1階客席のほぼ中央辺りに座っていたパンフィリがルイージによって紹介され、盛んな拍手を浴びました

2曲目はレスピーギ:交響詩「ローマの松」です この曲はオットリーノ・レスピーギ(1879-1936)が1923年から24年にかけて作曲、24年12月14日にローマで初演されました 第1曲「ボルゲーゼ荘の松」、第2曲「カタコンブ付近の松」、第3曲「ジャ二コロの松」、第4曲「アッピア街道の松」の4曲から成ります

なお、「ローマ三部作」は、作曲年からは「ローマの噴水」「ローマの松」「ローマの祭り」の順になりますが、指揮者ルイージは、抒情的な「ローマの噴水」を挟み、両端に派手な2曲を置くことで、一繋がりの交響曲のような形で演奏したいとし、演奏順を入れ替えました

オケは14型のまま。ステージ下手にはチェレスタ、ピアノ、ハープがスタンバイし、ステージ上手の2階辺りのパイプオルガンにもオルガニストがスタンバイします

ルイージの指揮で第1曲「ボルゲーゼ荘の松」の演奏に入ります 冒頭から弦・管・打楽器に、チェレスタ、ハープ、ピアノが加わり、壮麗かつ色彩感豊かで壮大な音楽が奏でられます 第2曲「カタコンブ付近の松」では低弦による重心の低い演奏が繰り広げられる中、トランペットの抒情的なソロが素晴らしい 第3曲「ジャ二コロの松」はピアノの分散和音に続きクラリネットのソロが演奏されますが、抑制を利かせた松本健司の演奏が素晴らしい 名演奏と言っても良いでしょう また、弦楽セクションの艶のある響きが印象的です 最後にナイチンゲールの鳴き声が鳥笛で演奏されますが、客席のあちこちから聴こえてきます 自席からは演奏者が確認できませんでしたが、どことどこで吹いていたのだろうか 素晴らしい囀りでした 第4曲「アッピア街道の松」では池田昭子のイングリッシュホルンの演奏が冴えています そして、ステージ上の金管楽器群とパイプオルガン席にスタンバイしたバンダ(トランペット、トロのボーン各2本)との相乗効果により壮大な大伽藍を築き上げました

満場の拍手とブラボーが飛び交い、カーテンコールが繰り返されました そして、20分間の休憩に入りましたが、2階中央席辺りから男性の大きな怒鳴り声が聴こえてきました 周囲の人はびっくりしたと思います 何があったのか分かりませんが、季節の変わり目には、ちょっとしたことでカッと火が付く発火点の低い人物が出没するようになります おそらくその種族の一員だと思われますが、コンサートホールは、出演者が大きな声で歌うことはあっても、聴衆側が大きな声を張り上げて怒鳴るようなことはあり得ません 来るべき場所を間違えたのでしょう。恥ずかしいです。大の大人が

 

     

 

プログラム後半の1曲目はレスピーギ:交響詩:「ローマの噴水」です この曲は1916年に作曲、1917年3月11日にローマで初演されました 第1曲「夜明けのジュリアの谷の噴水」、第2曲「朝のトリトンの噴水」、第3曲「昼のトレヴィの噴水」、第4曲「たそがれのメディチ荘の噴水」の4曲から成ります

この曲では、第1曲「夜明けのジュリアの谷の噴水」におけるオーボエの演奏が印象的でした 第2曲「朝のトリトンの噴水」では、弦楽器群が勢いよく水しぶきを上げる様を切れ味鋭い演奏で表現していました 第4曲「たそがれのメディチ荘の噴水」では、ラストで静かに鳴らされる鐘の音が印象に残りました

最後の曲はレスピーギ:交響詩「ローマの祭り」です この曲は1928年に作曲、1929年2月21日にトスカニーニ指揮ニューヨーク・フィルにより初演されました 第1曲「チルチェンセス」、第2曲「五十年祭」、第3曲「十月祭」、第4曲「主顕祭」の4曲から成ります

ステージ上手2階のパイプオルガン席にトランペット3本のバンダがスタンバイします 下手にはピアノが控え、4手で演奏されます

ルイージの指揮で第1曲「チルチェンセス」の演奏に入ります 冒頭からバンダを交えた切れ味鋭い衝撃的な演奏が展開します たった3本のトランペットの別働隊ですが、これが効果抜群です 第3曲「十月祭」では今井仁志のホルン、マロさんのヴァイオリン独奏が素晴らしく、マンドリンの演奏も聴けました 第4曲「主顕祭」は弦・管・打楽器総動員によるアグレッシブな演奏により祭りの喧騒が描かれました

この曲は6日前のLFJ音楽祭(井上道義 ✕ 新日本フィル)で聴いたばかりです あの演奏は爆演でしたが、この日のルイージ ✕ N響の演奏も負けず劣らず熱く素晴らしい演奏でした

恒例によりカーテンコールを写メしておきました

 

     

     

 

     

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藤岡幸夫 ✕ 福間洸太朗 ✕ 東京シティ・フィルでリスト「ピアノ協奏曲第2番」、ヴォーン・ウィリアムズ「交響曲第2番”ロンドン交響曲”」他を聴く~第370回定期演奏会

2024年05月12日 00時02分55秒 | 日記

12日(日)その1.わが家に来てから今日で3407日目を迎え、ロシアは9日、首都モスクワの「赤の広場」で、プーチン大統領以下、政府や軍の要人が参列して、第2次世界大戦の対ドイツ戦勝を記念した軍事パレードを実施したが、戦車については冒頭に保存車両のT-34-85を1両出しただけで、最新型と言われるT-14はもちろん、現用のT-72やT-90も一切登場しない寂しいものとなった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     戦車はウクライナ東部戦線で使ってるから在庫がない 1年後には戦車ゼロじゃね?

 

         

 

昨日、午後2時から東京シティ・フィル「第370回 定期演奏会」を、午後6時からNHK交響楽団「5月度Aプログラム」公演を聴きました ここでは東京オペラシティコンサートホールで開かれた東京シティ・フィル「第370回 定期演奏会」について書きます

プログラムは①ディーリアス「夜明け前の歌」、②リスト「ピアノ協奏曲第2番 イ長調」、③ヴォーン・ウィリアムズ「交響曲第2番 ”ロンドン交響曲”」です 演奏は②のピアノ独奏=福間洸太朗、指揮=藤岡幸夫です

 

     

 

オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという並び。コンマスは戸澤哲夫です

1曲目はディーリアス「夜明け前の歌」です    この曲はフレデリック・ディーリアス(1862-1934)が1918年にイギリスの詩人スウィンバーンの詩から霊感を得て作曲、1923年にロンドンで初演されました

ディーリアスは大好きな作曲家の一人です この作品は滅多に演奏されないので待望のチャンスです

藤岡の指揮で演奏に入りますが、ディーリアス特有の、どこか懐かしさを感じさせる音楽が繰り広げられます オーボエの抒情的なソロが素晴らしく、弦楽器のアンサンブルが美しく響きました

2曲目はリスト「ピアノ協奏曲第2番 イ長調」です   この曲はフランツ・リスト(1811-1886)が1839年に作曲、その後数度の改訂を経て、1857年にワイマルでリストの指揮により初演されました  単一楽章の曲で、「アダージョ・ソステヌート・アッサイ」~「アレグロ・アジタート・アッサイ」~「アレグロ・モデラート」~「アレグロ・デチーソ」~「マルツィアーレ、ウン・ポーコ・メノ・アレグロ」という流れで演奏されます

リストはピアノ協奏曲を2曲作曲していますが、第1番が有名で、第2番は滅多に演奏されません その意味では今回は貴重な機会です

ピアノ独奏の福間洸太朗は、20歳でクリーヴランド国際コンクールで日本人で初の優勝とショパン賞を受賞 国内外のオーケストラと共演を重ねています

福間がピアノに向かい、藤岡の指揮で演奏に入ります 馴染みの薄い曲想なのでメロディーを追うのが大変でしたが、リストらしい超絶技巧を極めた演奏困難な曲想です 福間は繊細な演奏を展開したかと思えば、速く激しいパッセージでは大胆素敵な演奏を繰り広げ、聴衆を魅了しました 「アレグロ・モデラート」では首席チェロの大友肇のソロが福間の演奏に華を添えました 最後の「アレグロ・アニマート」では、福間は藤岡 ✕ 東京シティ・フィルの確かなサポートのもと、渾身の演奏で力強いフィナーレを飾りました

満場の拍手に福間は、フォーレ「3つの無言歌」から第3番をロマンティックに演奏、再び大きな拍手に包まれました

 

     

 

プログラム後半はヴォーン・ウィリアムズ「交響曲第2番 ”ロンドン交響曲”」です   この曲はレイフ・ヴォーン・ウィリアムズ(1872-1958)が1912から13年にかけて作曲、1914年3月にロンドンで初演されました   第1楽章「レント ~ アレグロ・リゾルート」、第2楽章「レント」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「フィナーレ:エピローグ:アンダンテ・コン・モート ~ マエストーソ・アラ・マルチャ(クアジ・レント) ~ アレグロ」の4楽章から成ります

音楽評論家・柴田克彦氏のプログラム・ノートによれば、この曲は「一般的に、ロンドンの雰囲気や情景を描いた音詩的な交響曲と捉えた方が分かり易い」とのことです また、ヴォーン・ウィリアムズは各楽章に以下のような標題的な説明を残しているとしています

第1楽章:テムズ河畔の夜明けを思わせる静かな序奏で開始 やがてハープがビッグ・ベンの鐘を模倣する 次いで朝の喧騒が始まり、複数の主題に基づく賑やかな音楽が続く。一旦静まるも喧騒が戻って終結

第2楽章:霧のロンドンを思わせる精妙な緩徐楽章 イングリッシュホルンが「ミステリオーソ」と指示された主題を奏で、後にヴィオラ独奏が新たな主題を加える

第3楽章:様々な楽想が軽妙に飛び交いながら、夜の賑わいが描かれる

第4楽章:短い導入部に続いて、(失業者の?)行進が始まり、やがてテンポを上げて不協和音を交えた力強い音楽となる 「エピローグ」と記された最終部分は、第1楽章の序奏同様の音調となり、静かに閉じられる

演奏を聴くにあたり、作曲者のこの説明にとらわれる必要はありませんが、参考にはなります

実は本公演を聴くにあたり、サー・エードリアン・ボールト指揮ロンドン・フィルによるCDを何度も聴いて予習しておいたのですが、いまいちすんなりと頭に入ってきませんでした しかし、この日の藤岡氏のプレトークとこのプログラム・ノートが、理解の大きな手助けとなり、演奏の内容が分かるようになりました

 

     

 

第1楽章では、ハープによるビッグ・ベンの鐘が聴こえてきたし、朝の喧騒が始まる部分はミュージカル「オペラ座の怪人」でパクられたというのも理解できました 演奏では第2楽章におけるイングリッシュホルンとホルンの演奏が素晴らしかった また、ヴィオラのトップ(女性客演奏者)の抒情的なソロがしみじみと素晴らしい演奏でした 第4楽章では戸澤コンマスのソロが冴えていました

イギリス音楽中心のコンサートでしたが、英国音楽を得意とする藤岡氏の指揮による演奏は、プレトークも含めて、あらためて素晴らしいと思いました これからもディーリアスを取り上げてほしいし、ウォルトンも演奏してほしいと思います

終演は16時5分頃でした。地下鉄新宿線 ⇒JR山手線乗り継ぎで原宿まで出て、NHKホールに向かいました    NHK交響楽団「5月度Aプログラム」演奏会については「その2」に書きます。是非ご訪問ください

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