人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「パレードへようこそ」、「フレンチアルプスで起きたこと」を観る~新文芸坐

2015年12月26日 08時00分31秒 | 日記

26日(土)。わが家に来てから455日目を迎え、この日 誕生日を迎えたお姉ちゃんが 何年ぶりかで引っ張り出して飾り付けたクリスマスツリーを 珍しそうに見ているモコタロです

 

          

               これが噂のクリスマスツリーというものか・・・・・

 

                      

            こっちから見てもクリスマスツリーか・・・・・

 

                      

             それにしても ずいぶん小さいクルシミマスツリーだな 

 

  閑話休題  

 

昨夕、クリスマス祝いを兼ねて娘の誕生会をやりました 幸い、25日の早朝まで続いた研究室の実験で朝帰りした息子も家にいたのでメンバーが揃いました 前日のイヴが鶏のもも焼きだったので、ステーキにしました。鹿児島産の黒毛和牛が2割引きで売っていたので奮発しました あとは生野菜サラダ、豆腐とシメジの味噌汁、ご飯です

 

          

 

一休みしてから、French pound house に注文しておいたケーキの ロウソクの火を娘がひと吹きで消しました なお、ロウソクの本数はいい加減です

 

          

 

紅茶は、退職の餞別に 社団NS協会一の美人Aさんから ゴディバのチョコと一緒に頂いたフランスの「マリアージュ フレール マルコポーロ」です これは今まで飲んだ中で一番美味しい紅茶です

 

                      

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日、池袋の新文芸坐で「パレードへようこそ」と「フレンチアルプスで起きたこと」の2本立てを観ました 「パレードへようこそ」は2014年、イギリス映画です イギリスで実際にあった炭鉱労働者たちのストライキと、それを支えた同性愛者たちとの友情を描いています

 

          

 

”鉄の女”サッチャー政権下の1984年、イギリスで起こった炭鉱労働者によるストライキをニュースで見たゲイのマークは、労働者たちが自分たちと同じように政府から虐げられているとして、仲間たちと募金活動を始める しかし、彼らがゲイやレズビアンであることから、その申し出は各地の炭鉱組合からことごとく受け入れを拒否されてしまう そうした中、マークと仲間たちは唯一受け入れてくれたウェールズ奥地の炭鉱町に向かう。最初は少数派だった町の理解者は少しずつ増えていき交流が深まっていくが、報道ではエイズの蔓延が喧伝され、彼らの立場は不利になる そうした中、マーク達は資金集めのコンサートを企画し成功を収める

実はこの映画を観ようかどうしようか、迷っていたのですが、観てよかったと思います まず第一に、保守的なイギリスで、このような出来事が本当にあったことに驚きます 映画なので多少の誇張はあるでしょうが、今から30年以上も前の80年代中頃に同性愛者たちが労働者を支援したという事実に感動を覚えます 今でこそ、マスコミも同性愛者たちに対して偏見を排除するような姿勢を見せるようになっていますが、その当時のことを考えたらとても考えられないことだったでしょう 偏見を排除して、マーク達を受け入れる女性たちの逞しさが素晴らしいと思いました 歴史は女性が変えていくのかも知れません

次は「フレンチアルプスで起きたこと」です この映画は2014年、スウェーデン・デンマーク・フランス・ノルウェー合作映画です

 

          

 

 仕事一筋のビジネスマンのトマスは妻のエバ、娘のヴェラ、息子のハリーとともにフレンチアルプスのスキーリゾートにバカンスにやってきた ところが、昼食を取っている最中に、目の前で雪崩が発生、一家を含めて客はみな逃げ惑うはめになる それは大きな雪崩を防ぐためにプロがダイナマイトを使って人工的に起こした雪崩で、基本的には安全なものだった。しかし、その時、一家の主であるトマスは、妻や子供たちを置いて真っ先に一人で逃げたため、家族から失望され冷たい目で見られる 夫の態度が許せないエバは何度かトマスを問い詰めるが、彼は自分の取った行動を認めようとしない しかし、その時の様子を写したスマホを見せられ、「理想的な父親像」とはかけ離れた弱い父親であることを認めざるを得なくなる その後、一家のリーダーとしての立場を挽回するチャンスが巡ってくる。果たしてトマスは家族の信頼を取り戻すことが出来るのか

さて、この映画では何度か、危機が迫っているような緊迫した音楽が流れます。これはヴィヴァルディの「和声とインベンションの試み~協奏曲集『四季』作品8」の第2番ト短調『夏』の第3楽章『プレスト』です なぜスキー場が舞台の”冬”の映画なのに協奏曲第4番『冬』でなく『夏』なのか 

ヴィヴァルディの『四季』の各曲には音楽の内容を現すソネットと言われる14行の短詩が付いています 『夏』の第3楽章『プレスト』には次のようなソネットが付いています

「激しい雷雨は、せっかくの麦の穂を荒らしていきます」

この映画の監督が、このソネットを意識してテーマ曲のように『夏』の『プレスト』を使ったとすれば、ダイナマイトの爆発で人工的に起こした雪崩は”激しい雷雨”を現していたと言えるでしょう 雪崩は、今までうまくいっていたトマスとエバの関係(麦の穂)を荒らす”激しい雷雨”の象徴だったと言えます

また、『四季』を全曲通して聴いてみると、この監督がなぜ『夏』の『プレスト』を使ったのかが分かります 「何か良くないことが起こりそう」、「危機が迫っている」といった不安な人間心理を表すにはあの『プレスト』以外に考えられません その意味では「冬なのに夏」は考え抜かれた究極の選曲だと言えます

コメント
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