人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

赤瀬川源平著「新解さんの謎」を読む~辞書でここまで書くか!?という驚き

2015年01月02日 08時38分38秒 | 日記

2日(金)。わが家に来てから97日目を迎えた男モコタロです 

 

          

                     髭の手入れもせなあかんな 男の身だしなみじゃけん

 

  閑話休題  

 

当ブログの自己紹介欄の目標を更新しました。昨年実績は①クラシック・コンサート179回、②映画54本、③読書63冊でしたが、これに少しずつ上乗せし、今年の年間目標を①180回、②55本、65冊とし、合計300としました

ところで、年末からの風邪がすっかり抜けきってはいなかったようで、昨夕体温を測ったら37.5度ありました これはいかん、と簡単に夕食を済ませて寝ることにしました。FMを点けると、ちょうど「ウィーン・フィル・ニューイヤー・コンサート」をやっていました 指揮は今回がニューイヤーを振るのが5回目というインド・ムンバイ出身のズービン・メータです 昨年10月、NHKホールでイスラエル・フィルを振ったマーラーの「交響曲第5番」の演奏が記憶に新しいところです 今や巨匠と呼ばれるメータは今年79歳になり、ウィーン・フィルとは1961年以来50年以上の長い付き合いになるとのことです

プログラムの前半を聴いていて、懐かしいなあ、と思った曲がありました。ヨゼフ・シュトラウスの「オーストリアの村つばめ」です この曲を初めて聴いたのは、クラシックを聴き始めてまだ間もない学生時代最後の頃だったと思います。当時、民放ラジオで「日立ミュージック・イン・ハイフォニック」という番組があり、クラシックの比較的軽い音楽を流していました この番組の良いところは、番組の途中でコマーシャルを挟まないことでした。ある時流れてきたのが「オーストリアの村つばめ」でした。その時はたしか、ウインナ・ワルツ特集だったのだと思います。何曲か流れたはずですが、なぜかこの曲だけが記憶に残り、その後、ボスコフスキー指揮ウィーン・フィルのCDを買って聴きました あの頃、何を考えて生きていたんだろう、なんて思いながら懐かしく聴いていました

 

  も一度、閑話休題   

 

赤瀬川源平著「新解さんの謎」(文春文庫)を読み終わりました 赤瀬川源平氏は1937年生まれ(2014年没)。武蔵野美術大学中退。千円札の秘密模写で通貨偽造罪に問われ、「櫻画報」で全共闘世代の圧倒的支持を得た変わり者 と思いきや、「父が消えた」で第84回芥川賞を受賞して世間を驚かせています 「路上観察」「老人力」でも有名です

 

          

 

「新解さん」とは三省堂が発行する「新明解国語辞典」のことです 事の始まりは夜の11時に知り合いのSM君(縛り叩きの人ではない普通の若き女性)から電話があり、いま新明解国語辞典を読んでいて『恋愛』のところにきたのだが、同じ辞書の同ページを開いてほしいという 辞書を開いて『恋愛』を引くと、次のような解説が書かれていた

れんあい【恋愛】特定の異性に特別の愛情を抱いて、二人だけで一緒に居たい、出来ることなら合体したいという気持を持ちながら、それが、常にはかなえられないので、ひどく心を苦しめる・(まれにかなえられて歓喜する)状態。

これを巡って赤瀬川氏とSM君の会話が続きます

SM「凄いんですよ凄いと思いませんか?」

赤瀬川「いや、たしかにこの通りだよ。この通りだけど、ちょっとこの通りすぎるね

SM[そうなんです。その感じなんです。こんな辞書ってほかにあります?」

赤瀬川「うん、合体ね。恋愛の説明に合体まで出るか?しかも、出来るなら合体したいという気持を持ちながら。この”出来るなら”というのが・・・・」

SM「そうなんです。真に迫るんです

赤瀬川「出来るなら、ねえ。辞書ってここまで書くのかな?」

SM「いえ、この辞書が特別なんです

赤瀬川「ふうん、新明解・・・・」

SM「もう黙っていられなくて

という訳で、二人は次に『合体』について調べ始めます。この調子で、疑問に思った単語を次から次へと調べ続け、二人の夜は更けていきます 『ばか』『むっちり』『ぞっこん』『くされ』などが続きますが、この本は読み始めたら止まらない面白さです

サービス精神旺盛な編集者(?)は、電話の主である本物のSM嬢の写真を載せています。長い黒髪、黒のミニスカート、蝶の目隠しマスク、新明解国語辞典の上には叩きの鞭らしきものがしっかり写っています

そのSM嬢は「新解さん」の偏見について腹を立てています

『ヒステリー』・・・・わずかのことでも、すぐ感情を大げさに表す。欲求不満の女性に多い。

SM嬢「問題発言ですよ。これは

『なまじ』・・・・十分な成果が期待できないのに、何かを敢えてすることを表す。つい口を出したのが悪かった。なまじ女の子が柔道など習ってもしょうがない。

SM嬢「なまじの説明に、何でわざわざ女の子に柔道を習うな、なんて

『あさぢえ(浅知恵)』なまじっか有るためにかえって事を誤るようなあさはかな知恵。女の浅知恵。

SM嬢「駄目なのはすぐ女です

まだまだSM嬢の怒りは止まるところを知りません

この本には、紙を巡る考察「紙がみの消息」が並録されていますが、ほとんど真面目な考察なので「新解さん」のノリで読もうと思ってもうまくいきません。ひと言申し上げておきます

コメント
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