12日(水).昨日の日経夕刊に「若き日本人・世界でタクト・指揮者の登竜門”ブザンソン”で旋風」という記事が載りました
ブザンソン国際指揮者コンクール(フランス)は1951年に創設され,隔年に開かれています.書類選考はなく35歳までという年齢制限を守れば誰でも予選に参加できます.日本人としては1959年に小澤征爾が優勝して以来,松尾葉子,佐渡裕,沼尻竜典,阪哲朗,下野竜也,2年前の前回は山田和樹が優勝.そして今年9月のコンクールでは垣内悠希(33歳)が優勝しました
いまさら言うまでもなく,小澤征爾は世界の最高峰(ウィーン・フィル)に立ち,佐渡裕は今年ベルリン・フィルを振りました.沼尻竜典はびわこオぺラで頑張っているし,下野竜也は読売日響で活躍しています
垣内は父は作曲家,母はオペラ歌手という音楽一家に育ち,東京芸大を卒業後に渡欧.ウィーン国立音楽大学指揮科を卒業し,現在もウィーンで暮らしているとのこと.生まれた環境もいいし,もともと才能があり,その後の方向性も良かったということでしょう
第52回の今回は予選通過者20人のうち6人が日本勢だったといいます.全員に共通するのはウィーン国立音楽大学指揮科の湯浅勇治准教授の指導を受けたということだそうです.トスカニーニ国際指揮者コンクールで準優勝した三ツ橋敬子(31歳)も湯浅門下とのこと.湯浅の言うには「日本人は手先が器用で,指揮者としてはその点が第1段階の強み.音楽について緻密に思考出来るし,そうするように教えている」とのこと 0.01秒の微妙な時間感覚まで徹底的に追求する姿勢がコンクールではプラスに作用するとのこと.指揮にはやはり”バトン・テクニック”が最重要要素であるということの証左でしょう
コンクール入賞の背景にはそういう事実が隠されていたことを初めて知りました やはり教える人が良くなければ,いくら本人が頑張っても限度があるのでしょうね
山田和樹は来年,スイス・ロマンド管弦楽団の首席指揮者に就任する予定とのこと.若手の登用によって世界の指揮界で世代交代が進んでいることを実感させられます.個人的には,三ツ橋敬子に国際的な飛躍を期待したいと思います
[写真は垣内悠希.11日.日経夕刊]