人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新国立オペラでリヒャルト・シュトラウスの「サロメ」を観る

2011年10月10日 08時08分55秒 | 日記

10日(月・祝).昨日,初台の新国立劇場でリヒャルト・シュトラウスの歌劇「サロメ」を観てきました キャストはサロメ=ストックホルム生まれのエリカ・ズンネガルド,ヘロデ=クリスティアン・フランツに代わってスコット・マックアリスター,ヘロディアス=ハンブルク生まれのハンナ・シュヴァルツ,ヨハナーン=ドイツ生まれのジョン・ヴェーグナー他で,指揮は体調不良の尾高忠明に代わってラルフ・ヴァイケルト.オーケストラは東京フィルハーモニー管弦楽団です

原作はオスカー・ワイルドの戯曲です.物語の舞台は紀元前30年頃,ユダヤの領主ヘロデの宮殿.ヘロデの寵愛を受ける義理の娘サロメは,庭の古井戸に霊閉されている預言者ヨハナーンに関心をもち,衛兵隊長に連れ出すように命じます.ヨハナーンは,サロメにキスを求めえられますが,拒否して古井戸に戻ります.ヘロデに何でも望みの褒美を与えるからと,踊りをせがまれたサロメは妖艶な「七つのヴェールの踊り」を披露します.舞い終えたサロメが要求した褒美はヨハナーンの首でした 「それだけは出来ない,他のものを」と説得しますがサロメは諦めず,最後にヘロデは折れます.サロメは切り落とされたヨハナーンの首にキスをし征服感を味わいます.それを見たヘロデはサロメを殺すように命令します

耽美的,退廃的な戯曲に付けたR・シュトラウスの音楽は官能的で色彩感豊かな音楽ですが,初演当時は各地で上演禁止の憂き目に会ったといいます.それもそうでしょう.救いようのないストーリーですから

普通はオーケストラのチューニングが終わってから指揮者がオーケストラ・ピットに入ってくるのですが,ヴァイケルトは開始時間には指揮台の椅子に座っていました.タクトが振り下ろされいよいよオペラの始まりです

実はこのオペラを聴くのは久しぶりだったので,ヨセフ・カイルベルト指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団による演奏(サロメ=クリステル・ゴルツほか)による1948年録音のCDを聴いて予習をしていたのですが,いかにも”20世紀の現代オペラ”という感じの小難しい演奏なのです.それが頭にあったので,ヴァイケルトの指揮による演奏はどうかな,と期待して聴き入ったのです.それが,R・シュトラウスらしいメロディーで,自然に音楽の流れが耳に届く素晴らしい演奏なのです あらためてヴァイケルトのプロフィールを見ると,75年にカール・ベーム本人からカール・ベーム賞を贈られたとのこと.ベームといえば「サロメ」に限らず数々のオペラの名演があります.なるほどと納得しました.結果的には指揮者の変更は成功したと思います 

演出はアウグスト・エファーディング(故人)ですが,彼の演出でサロメを観るのは確か今回で3度目でしょうか.このオペラは全1幕4場なので,舞台転換がありません.1時間50分の間,席を立つことは出来ません.「サロメ」を観るときは事前にトイレに行って用を足しておくなど気をつけましょう 突然トイレの話で恐縮でした.水に流してください

サロメ役のエリカ・ズンネガルドは終始出ずっぱりですが,素晴らしいソプラノを聴かせます.それだけでなく,第4場ではこのオペラの白眉というべき「七つのヴェールの踊り」を妖艶に踊りました.彼女は身体が柔軟で,まるで体操の選手のような動きも見せました.まさに体当たりの演技です.天は彼女にニ物を与えましたね

第3場で外に出されたヨハナーンが歌うシーンでは,ヴェーグナーは会場の隅々まで届く素晴らしいバリトンを響かせます.いつか聴いたことがあると思ったので,プログラムを見ると前回の「サロメ」でもヨハナーンを歌ったとのこと.納得です

ヘロデ役のマックアリスターもヘロディアス役のシュヴァルツも素晴らしい歌声と演技力でサロメを盛り立てました

終演後はブラボー,ブラビー(2人以上へのブラボー)と拍手の嵐です.とくにサロメ役のズンネガルドに対する賞賛のがすごかったようです.ヴァイケルトのタクトのもと,東京フィルが素晴らしい演奏を展開したことも特筆に値します

 

   写真はプログラム表紙(左)と中面掲載の舞台の様子(右)

      

 

コメント (2)
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