今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

B20とB35の巻

2023年05月17日 17時30分00秒 | ブログ

今日の関東地方は気温が上がっています。急な気温上昇は身体に堪えますね。みなさん熱中症に注意をしましょう。で、まずB20からですが、この蒸気機関車は国鉄が入れ替え作業用として少数製造した小型のタンク車です。現在では京都の鉄道博物館に動体保存されています。このモデルはうちの近くにある「エンドウ」が遠藤商店の頃に製造したもので、基本的につぼみ堂のBタンクと同様な部品構成となっています。

不動のジャンクとして私のところに来ました。まずは分解をして不動の原因を探します。

 

 

原因が分かりました。モーターのブラシ部分に大量の油が点けられています。元の所有者は若い方のようでしたが、動かないので油を付ければ。と言う程度の知識なのでしょう。全体に汚れもひどいのでモーターごと洗浄脱脂をします。

 

軸にモリブデングリスを入れてみました。快調に回るじゃん。

 

 

では、一段落なのでローライB35をやります。B35はローライ35の普及版の位置づけでしょうか、コストを抑えるため積極的に樹脂部品を使い、設計も簡略化されたようですが、それが返って分解修理がし難い原因にもなっています。例えば沈胴の摺動調整をする場合、ローライ35でしたら後ろのフィルムレールを取り除けばチューブを引き抜くことが出来ますが、B35の場合はフィルムレールが本体と一体成型のため、シボ革を剥がしてユニットを取り出す必要があります。逆に言えばローライ35の設計が理に叶っていて優秀かということです。ですから、普及版なので工賃もお安くというのはキツイのです。まず気が付くのはヘリコイドグリスが完全に抜けています。

沈胴も重力で下降してしまいます

 

 

この状態にしてやっと沈胴調整が出来ます。地板裏の構造はローライ35と似ています。

 

 

15年放置の個体だそうで、レンズにカビがあります。

 

 

シャツターユニットも構造は基本的にローライ35と同じですが共通部品ではありません。

 

 

後玉は過去に分解されていますね。裏表から清掃すれば良いだけなのに? 分解清掃をしてリングナットの塗装ハゲを補修しておきます。

 

ファインダーも汚れていましたので清掃をしました。カウンターレバーをセットします。

 

 

仮組をしてシャッターのテストをして行くと・・Bバルヴで稀にシャッターが止まらない症状が発生。画像を撮り忘れましたので分かり難いですがのところにあるレバーがBの時に飛び出してシャッターを止める構造ですが、レバーのバネが弱っていて止められない時があるのです。バネを修正して組んでおきます。

 

前カバーを取り付けてシボ革を貼りますが、過去に再接着をされていますので接着剤が厚く残っていてガビガビの状態。シボ革自体もローライ35のように硬質でしっかりとしたものではなく、柔らかなビニールレザー調。

 

完成後に巻き上げテストをしていると、巻上げレバーが引っかかる現象が出たり出なかったり。なんで? 原因は巻上げ系ではなく、裏蓋のロックレバー。の部分にクラックが入っており(みんなそうです)先端部が上側に変形しているために、巻上げ時に本体側の可動レバーと接触をするため。本来は部品を交換する必要がありますが、新品の部品は無いので軸部に入るワッシャーを作ってレバーか上に曲がらないように矯正をしておきます。このようにローライ35なら起こらない不具合が樹脂部品の多様によって発生しているのでB35は厄介です。

ということで同じB〇〇同士です。

 

 

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Zuikoレンズは曇る? の巻

2023年05月16日 20時00分00秒 | ブログ

UP予定のない作業が続いていまして、間が空きましたので軽くUPしておきます。PENファンのご常連さんから38mmと100mmが来ていますが、まずは38mmです。基本的に使われていないレンズで放置が長かったという印象。ズイコーレンズは使われていないレンズは後玉が曇りやすい癖があるようです。

FT用ですのでグリスはホワイト系が使われていますが、ホワイト系のグリスは古くなると潤滑が落ちてピントリングの回転が異常に重くなります。グリスを入れ替えます。

 

後玉2枚は表面はコーティングの劣化で、内側はガラス自体が曇る症状が出ます。基本的に清掃をしても曇りは取れないのですが、それでも出来るだけ清掃します。

 

まぁ、撮影は問題なく出来ますが、PEN用ズイコーレンズは曇っているものは基本的に清掃が出来ないと思ってください。

 

次は100mm f3.5です。このレンズはF用なので製造が古いですから劣化が進んでいる個体が多いです。品質を重視すればFT用を選ばれた方が良いと思います。

 

こちらも汚れがひどいです。

 

 

各パートに分解をして清掃とグリス交換をして行きます。

 

 

結構、強烈ですね。過去にレンズを分解しようとした形跡がありますね。

 

 

前玉前面のコーティングが劣化しています。古いF用でフィルターが装着していなかったレンズはこのようになります。

 

まぁ、実用は可能の状態にはしました。ズイコーレンズはコーティングが弱いのとレンズ自体が曇るものが多いですから、選ぶ時はその点を注意してくださいね。

 

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初期型ローライ35のおまけの巻

2023年05月14日 18時21分08秒 | ブログ

じつはもう一台の初期型が付いて来ていまして、#3301XXX ですが、裏蓋の彫刻文字はこのようになっています。内部の仕様はあまり変わりませんが、市場価格は大きく変わるのですね。部分的に色入れが抜けていましたので入れ直してあります。

 

前の個体と同様の作業をして仕上げます。沈胴の調整とシャッターユニットのオーバーホール。

 

圧板が一番早く変更されたようですね。巻き戻しレバーの規制バネはまた1本タイプだし、スプールも初期型。内部塗装も普通の艶消し黒塗装です。

 

これはクセナー付きの以前に手がけた個体ですが、フィルムのコマ間が揃わない不具合が発生しました。原因はピンセット先の部品が上下にスムーズにスライドしない? か微妙な感じ。分解清掃とグリス塗布で組みます。この不具合は、使われている樹脂部品の表面が荒れて来ているのが原因と思われ、稀にありますね。

ダミーフィルムに赤点を打ってフィルム送りを確認します。

 

 

前回出荷の時にはレバーアテは壊れていなかったのに、使用されると短時間で壊れてしまう教訓。交換をして戻します。

 

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見たことある? 初期型ローライ35の巻

2023年05月11日 08時00分00秒 | ブログ

これはKATOの旧製品EF57です。EF57は昭和15年に誕生し東海道本線で特急つばめなどを牽引した人気の電気機関車です。KATOではモーターにフライホイールが付いたりして後継版が発売をされていると思います。

 

プラの成形品としては良く出来ていると思いますが、デッキなど、やはりプラ感が出ていて気になります。よって工作派の私としては真鍮製キットを製作したくなるのです。

 

で、初期型のローライ35 #3004XXXです。かなり以前からお預かりしていた個体ですが、主に露出計の不良がありまして交換部品の関係からペンディングとしていた個体です。

 

ローライ35ファンの方で、裏蓋にこのような彫刻文字が入った現物を見たことがありますか? 私は書籍で見ただけですが、市場に出ると高額で取引されるようです。

 

レリーズボタン横のへこみがあります。また、メーター窓ガラスの劣化など細かな不具合がありますが、貴重な個体ですので出来るだけ良い状態に仕上げたいと思います。

 

ケース保管と使用頻度は低いと見えて洗浄後はきれいになりました。巻き戻しダイヤルは金属製で回転が渋いので分解清掃と潤滑をしておきます。

 

この辺はいつもの定番作業です。アイドラギヤの潤滑切れによる回転重いがあります。ファインダーはジャーマニーですからガラスの固まりをガムテープのような粘着テープで巻いてあるもの。

 

巻き戻しレバーの規制バネの形状が以後と異なります。1本棒のバネが使われていますが、以後は上のネジ2本に掛ける形状に変更されます。

 

内部の塗装は普通の艶消し黒塗装ですが以後はリンクル塗装になります。良く知られているのは圧板に違いがありますね。この個体はのスプール軸の下端に付いているカムプレートが金属製です。そのため以後の個体より巻き上げのフィーリングが硬く感じます。

沈胴チューブの調整などもありますので全て分解して行きます。

 

 

レンズは長期保管ですのでカビ曇りが認められますが清掃出来るでしょう。シャッターユニットは未分解でした。

 

シャッター羽根を駆動させるブレードリングの形状が異なります。

 

 

以後の殆どの個体はこの部分に樹脂リングが嵌っているのですが、初期はモリブデンのようなもので潤滑していたようです。

 

レンズも前玉も傷なくきれいですね。無限調整をしました。

 

 

ちょっとブレークタイム。埃だらけのC11のボディーを分離して超音波洗浄をしてみました。新品のようにピカピカになりました。こういうところはNゲージは楽ですね。購入して飾っていただけですので当然ですが・・今回KATOから発売された新C11は、ちゃんと1/150になっていて、画像のC11より一回り小さいのに動力装置やデティールなども進化しているようです。

で、戻ります。どうしたわけか、全体の保存状態は良いのにメーター窓の樹脂ガラスだけ激しく劣化しています。ローライ35の樹脂ガラスは非常に硬質なプラスチックが使われていて、これほど劣化することは少ないのですが、黄ばみだけではなく、表面に無数のクラックが入っています。交換部品はありますが、出来るだけオリジナルを使いたいので研磨をします。

メーターを修復しています。

 

 

修復したメーターを本体に組み込みました。最初期型に入っているLチャンネルも忘れずにセットしてトップカバーを閉めます。

 

サイドの留めネジ1本が規格外ですので純正に交換しておきます。

 

 

メーターの樹脂ガラスはこんな感じ。

 

 

これで完成です。最初期型の個体としては使用による劣化も少なく良いコンデションになったと思います。この個体は恐らくネット通販ではなく、カメラ市の出品用になるのではないかと思います。欲しい方はチェックしてください。

 

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Zuikoレンズいろいろの巻(2)

2023年05月07日 18時30分00秒 | ブログ

Nゲージの蒸気機関車も一通りは所有していますが、これもKATOの古い蒸気モデルのC58(2010)です。シルエット的には給水温め器がヘッドライトの後にあってD51に似ていますが、D51より小ぶりで支線の客貨牽引用として製造された機関車で、私はC58の方が好きです。高校生の頃は八高線の高麗川駅に撮影に行ってました。現行のN蒸気は1/150で作られていると思いますが、古いモデルはモーターの収納の問題か少しオーバースケール(1/140)となっています。

Nの蒸気は購入してショーケースに飾っていただけですので走行はさせていませんが通電をしても動きません。集電はテンダーの台車からしており、ブレーキホースに似せたリード線によりモーターに給電する方式です。腐食により車軸と切片に導通がありませんので分解して研磨します。

で、定番の20mm f3.5です。中玉の曇りが多いレンズですが、中玉の曇りは軽微で、後玉2枚の内側に水滴状の汚れがあります。また、ホワイトグリスの潤滑が落ちてヘリコイドの回転が重い傾向にあります。

 

このレンズも使われていません。純正フィルターも新品同様です。あるところにはあるものですね。レンズの清掃とヘリコイドグリスの交換をします。

 

真ん中にある筈の後玉が写っていません。2枚のレンズを清掃します。

 

 

中玉も非常に良い状態でした。清掃できれいになりました。

 

 

公式側から。現在のモデルはより精密化されているとは思いますが、1/150スケールでプラ成形では限界があり、それが物足りなく感じてしまいます。天賞堂から同じ9mmのレールを使用するTT-9スケール(1/120)の真鍮モデルが発売されていて欲しいとは思いますが、軽く10万円は超える価格ですからね。やはり精密な工作を楽しむのは16番でNは運転を楽しむゲージなのでしょう。

少しサボるとレンズは皆同じような画像ですから自分でも分からなくなります。とりあえずレンズは今回で終わらせます。これは38mm f3.5 マクロですが、後玉2枚の間が汚れています。

 

清掃をしました。繰り出しが長いのでマウント側に黒いカバーが付いています。

 

 

問題は真鍮製のカムの外径に多量のグリスが塗られていて、それが絞りユニットに流れ出していて絞り羽根が動かないのでユニットを洗浄します。

 

繰り出し最大の状態。

 

 

繰り出し最小の状態。

 

 

次は60mm f1.5が2個あります。こちらも絞り羽根が固着して戻りませんね。

 

 

レンズを外して洗浄します。

 

 

次はみんな大好き42mm f1.2 です。使われていないレンズですが色々問題があります。まず、持病の中玉に僅かに曇りが発生していますね。これは清掃をしても取れません。

 

こちらも絞り羽根が固着しています。こちらはヘリコイドから流れ出した油で、内部がベチョベチョです。

 

 

 

問題は絞りリングも固着していること。原因はレンズの前側面に打撃を受けたようで画像のスペーシングリングがスムーズに回転せず、鏡筒から抜くのも困難です。

 

右下のリングね。一度変形したリングは真円に戻すことは出来ませんので内径を拡大します。FT用なのでリング部の組立は小バネが多く、組立は非常に面倒です。

 

実は鏡筒自体にも僅かな変形があるようで、カムの回転が重いので絞りリングの回転も軽くはありませんが、実用の範囲にはなりました。重いレンズは僅かな衝撃でもダメージを受ける可能性があるので扱いには注意しましょうね。

 

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