カメラの方も進めなくてはなりませんのでレンズの合間を見てPEN-S2.8 #135707をやっておきます。この旧型国電は17m級のクモハ11です。子供の時に見た青梅線の姿。4両編成でした。
前サボは懐かしい「氷川」で現在の奥多摩です。私は今でも氷川って言っちゃいます。
この頃、親とホームで電車を待っていると荷物電車(配給車)が入って来て、短時間で荷物を投げ下ろし発車して行く光景に出会いました。当時はまだ鉄道が輸送の中心だったのです。モハ11系から片運転台に改造された車両で無蓋なので雨の日はどうするのかなぁ? って思いました。強い記憶があって製作した車両。
で、PEN-Sです。カメラを揺するとカタカタ音がします。ファインダーの前面ガラスの接着が外れているのです。
初期型が正常に動くはずがないのですが、そこそこ動いています。駒数盤を見ると巻上げた時、正規は12時位置に0か40が来ているはずですが来ていないので分解機と分かります。
スプールが三光PENと同じ変更前のタイプが付いていますね。また、上部モルトが毛糸になっています。私もこの仕様は見た記憶がありません。
スプール軸を分離して本体の洗浄後に組み立てて行きます。スプール軸のスリップ機構は変更後はコイルバネによりますが、この個体は三光と同様にスプール内に組み込まれた拡張バネによるタイプが使われています。
シャッターはオーバーホールしました。初期型なので以後のタイプとは一部に部品の差異があります。ストロボターミナルは接点に直接半田付ですが、以後は切片をネジ留めするタイプになります。
他の方の作業は知りませんが、私はリング類など細かな部品もすべて洗浄をしてから組み立てています。
不思議?なことにPENのレンズは初期型の方が曇らない? 少し前にもあったような気がしますが、一番製造されてから時間が経過をしている初期型のレンズが曇らないのは保管の問題だけなのでしょうか? とくに後玉は素晴らしい状態。
初期型はスプロケットがアルミ地でスプールはグレーです。内部もきれいになりました。
当初のご依頼はファインダーの曇りの解消でしたが、オーバーホールをして外観と作動は素晴らしく良くなりました。PEN-S2.8の発売は1960年6月とのことですが、シャッターユニットに捺印されている数字が前回のO/Hで一部消えていまして「12」は確認出来ました。その他の部分からの推測でコパルでのシャッター完成は1960年12月でカメラの完成は1961年1月と思われます。