今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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初期型PEN-S2.8のオーバーホールの巻

2023年05月05日 15時04分29秒 | ブログ

カメラの方も進めなくてはなりませんのでレンズの合間を見てPEN-S2.8 #135707をやっておきます。この旧型国電は17m級のクモハ11です。子供の時に見た青梅線の姿。4両編成でした。

 

前サボは懐かしい「氷川」で現在の奥多摩です。私は今でも氷川って言っちゃいます。

 

 

この頃、親とホームで電車を待っていると荷物電車(配給車)が入って来て、短時間で荷物を投げ下ろし発車して行く光景に出会いました。当時はまだ鉄道が輸送の中心だったのです。モハ11系から片運転台に改造された車両で無蓋なので雨の日はどうするのかなぁ? って思いました。強い記憶があって製作した車両。

で、PEN-Sです。カメラを揺するとカタカタ音がします。ファインダーの前面ガラスの接着が外れているのです。

 

初期型が正常に動くはずがないのですが、そこそこ動いています。駒数盤を見ると巻上げた時、正規は12時位置に0か40が来ているはずですが来ていないので分解機と分かります。

 

スプールが三光PENと同じ変更前のタイプが付いていますね。また、上部モルトが毛糸になっています。私もこの仕様は見た記憶がありません。

 

スプール軸を分離して本体の洗浄後に組み立てて行きます。スプール軸のスリップ機構は変更後はコイルバネによりますが、この個体は三光と同様にスプール内に組み込まれた拡張バネによるタイプが使われています。

 

シャッターはオーバーホールしました。初期型なので以後のタイプとは一部に部品の差異があります。ストロボターミナルは接点に直接半田付ですが、以後は切片をネジ留めするタイプになります。

 

この時点でストロボの発光を確認しておきます。

 

 

他の方の作業は知りませんが、私はリング類など細かな部品もすべて洗浄をしてから組み立てています。

 

不思議?なことにPENのレンズは初期型の方が曇らない? 少し前にもあったような気がしますが、一番製造されてから時間が経過をしている初期型のレンズが曇らないのは保管の問題だけなのでしょうか?  とくに後玉は素晴らしい状態。

 

圧板の腐食を研磨して取り付けます。

 

 

初期型はスプロケットがアルミ地でスプールはグレーです。内部もきれいになりました。

 

当初のご依頼はファインダーの曇りの解消でしたが、オーバーホールをして外観と作動は素晴らしく良くなりました。PEN-S2.8の発売は1960年6月とのことですが、シャッターユニットに捺印されている数字が前回のO/Hで一部消えていまして「12」は確認出来ました。その他の部分からの推測でコパルでのシャッター完成は1960年12月でカメラの完成は1961年1月と思われます。

 

 

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Zuikoレンズいろいろの巻

2023年05月02日 21時00分00秒 | ブログ


連休ですので私もYouTubeを見ながらゆったりと作業をしていましたが、最近人気の「飯田線の流電や電気機関車」のスナップがUPされていました。当時私はカメラの仕事で駒ケ根に出向しており、隣りの小町屋から一駅、駒ケ根まで「流電」に乘った経験があるので懐かしかったです。車内は何度もニスを塗られて深い飴色で暗い印象でした。現在はカトーなどのメーカーから流電などの旧型国電が発売されていますが、昔はそのようなマイナーなモデルは製品化されておらず、グリーンマックスから発売されていたプラキットを組み立てるしかなかったのです。

画像のクモハ73系スカ色はその頃に製作したものです。73系は南武線、青梅線などでも活躍した電車で多摩在住の者としては身近な車両です。で、作業はPEN用ズイコーレンズ各種がメンテナンスで来ています。

 

まず40mmですが、使用感が殆んどない良い個体ですが、レンズに曇りと絞り羽根に油の付着がありますので洗浄をして行きます。

 

PEN用レンズも途中から使われるグリスがホワイト系のグリスになりましたが、これが悪さをしています。流化によって絞り羽根に付着したり、ヘリコイドの潤滑も無くなって回転が重くなったりします。絞りユニットを洗浄しますが、完全に脱脂すると不調になるので注意が必要です。

今回のレンズ群はカメラ業者のオークションで落札されたようですけど、どれも非常に状態が良い。不具合の原因は長期保管によるグリスの影響が殆んどです。純正のフィルターも殆ど新品。どんな方が所有されていたのでしょうね。

 

38mmパンケーキです。探されている方も多いと思いますが、オークションなどに出て来る個体は使い込まれて程度がよろしくないです。しかし、今回は3個ありますが、どれも新品のようにきれいです。まだ新品が入手出来る時代に収集されて保管されたとしか考えられません。

パンケーキは特にヘリコイドが短いですからホワイトグリスの影響をモロに受けます。完全にグリスを入れ替える必要がありました。今回はオリジナル通りホワイトグリスを使用します。

 

近いうちに都内の有名中古店様からリリースされると思います。

 

 

マウント側の画像。

 

 

これは25mm f4ですが、バックプレートに少しヤリ感があります。但し、レンズは無傷。後玉のカバーを留める頭の小さなM1.4の皿ネジが1本無くなっています。

 

ここのネジはストックしていませんでした。ネジが入ったメンタム缶から同形状のネジを探し出して艶消し黒に塗装して使います。ノミにしか見えませんね(笑)

 

これは25mm f2.8 。みなさんはこっちが欲しいですね。このマウントを見てください。使っていませんね。

 

 

 

 

 

 

 


ベビーローライのメンテナンスの巻

2023年05月01日 12時30分00秒 | ブログ

みなさんは連休中でしょうか? 関東地方は雨も降るのですが、まずまず連休日和ではないかと思います。旅行中の方は楽しんでくださいね。私もいつか台湾に行きたくて、台湾新幹線に乗って坂井三郎の駐屯した台南海軍航空隊の跡地を見てみたいと思っています。内地からの転属には航空兵なのに貨物船に便乗したようで当時はまだ零戦が配備される前ですから九六艦戦では脚が短くて飛べなかったですからね。軽便鉄道のような汽車に乗って着いた駅で台湾バナナをたらふく食べたと著作に書かれていました。で、ベビーローライ4X4のメンテナンスをしています。このブラックモデルはグレーモデルより後(1963年)の発売だそうですがそれにしてもびっくりするようなきれいさです。こんなに程度の良い個体があるんですね。

ブラックモデルは現存数が少ないので希少とのことですが、グレーモデルより小さく見えますね。

 

作動で特に悪いところは無いようです。フィルムを装填して巻き上げを確認します。このサイズでオートマットは素晴らしいです。

 

ファインダー内はミラーの曇りとスクリーンの汚れを清掃しておきます。フードを開けると左上のピンが押し込まれてシャッターが切れるようになる安全装置。

 

 

レンズの状態も良いですがビューレンズに曇りがあるので分解清掃をしておきます。

 

 

こちらはグレーモデルでシャッターが不調です。スローガバナーを取り外して超音波戦洗浄と注油をしておきます。ライドバリュー方式なので、リング類のセットが少し面倒。

 

2台共良好になりました。

 

 

これはワールド工芸の真鍮キットを組み立てたED16。中央本線の勾配線区や貨物用の牽引機として開発された機関車で、晩年、青梅線で石灰の輸送に活躍していたのを記憶しています。高校生の時に南武線で通学していましたが、西立川駅に有った立川機関区の機関庫にずらっと並んだED16は壮観でした。

ED161は青梅の鉄道公園に保存されており、この車両は取材で撮影した写真を参考にキットに追加工をしたものです。現在ではカトーからED16が発売されていますがそのうち入手してみようかと思います。

 

Nゲージ動力車の車輪にはトラクションゴムというのかな? 牽引力を上げるためのゴムOリングが左右1つの車輪に嵌められていますが、展示ケースに収納したままの車両を久しぶりに点検すると、ニッケルメッキの車輪が酸化しているのを見つけて綿棒でクリーニングをすると劣化したOリングが切れてしまいます。これの交換はかなり手間が掛かりますね。そこへ行くと、この自由形のB型凸電はOリングタイヤが無いのでゴシゴシ磨けます。この車両も30年ぐらい前に購入したもので、凸電のEB10のような形と小ささが好きですね。トミックス製と思っていましたがカトー製でした。B型(2軸)車両なので、集電が厳しいのでコンデンサーが付いていますが、チップコンデンサーでないのが時代です。

このような凸電は大好きで、EB10は製造メーカーの東芝ゆかりの地府中で静態保存をされているようです。機会があれば見に行きたいと思います。また、天賞堂から発売されていたEB10も欲しいです。

 

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