ボールドウィンとB20はメンテナンスが終りました。試走のレールが無いので運転会ぶっつけです。で、久しぶりのPEN-W #1079XX(1964.11製)なんですけどね。状態は良くないですね。
長期に放置されていた個体でしょうね。トップカバー前面の彫刻文字部分に塗料で補修された形跡があります。その他、シャッター不調、ファインダー曇り、レンズ汚れなど定番の不具合です。
巻き戻しダイヤル部分が激しく腐食していまして(画像は清掃後)留めネジ1本が腐食して太り緩みません。
仕方ありませんのでネジ頭を削り取ってトップカバーを分離しました。残ったネジを削り取ってM1.7のネジを再生します。
シャッターカム(シャッターリング)の内部が激しく腐食しています。軒先にでも吊るされていたのかな?
通常は補修された塗料の除去はシンナーを使いますが、PEN-Wの場合はオリジナル塗料の密着が非常に悪く、シンナーを使うと本来剥がれない焼付塗料まで剥がれてしまいます。彫刻文字にも塗料が入っているので針で取り除きます。補修をされた方のお気持ちは理解出来ますが、商品としては剥離してオリジナルに戻さないとダメなんですね。
シャッターは未分解でしたが奇跡的に作動はしていました。しかし、全体に遅くて使えません。左のアルミ製ハウジングは今までに見た同型シャッターで一番腐食していました。それを磨き出して組立をしているところ。シャッター内の部品は正常でした。
シンクロのターミナル接片は半田が剥離していて腐食が進んでいます。
接片を磨き出して半田付けをします。ここの半田は剥離している個体が多いので、ストロボが発光しない場合は点検する必要があります。
ターミナルも腐食により導通不良となっている場合があるので発光テストをして作動を確認します。
レンズは前群の内側のコーティングが水滴状の劣化がありました。各レンズを清掃して組み立てます。
トップカバーの彫刻文字に色入れをする場合、自然乾燥塗料は剥離しておきませんと、色入れの拭き上げの時に白が灰色に濁ってしまうので、完全に拭き取っておく必要があります。で、この状態。PEN-Wの塗装は元々、プライマーが良くなくて劣化と剥離をしますが、この個体は保管が悪いためさらに剥離がし易いので難儀しました。本来はリペイントをした方が簡単です。
トミーのリペイント (tomys800.sakura.ne.jp)