今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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難儀なベビーローライ達の巻

2022年01月10日 16時55分41秒 | ブログ

難儀なベビーローライが続いていますのでUPする時間がありませんでした。この個体は乱暴な扱いを受けて分解されていましたが、シャッターも間違った組立を受けていて不動状態です。結局、シャッターから完全に組み直す必要があるのでペンディングとなりました。

セルフタイマーレバー(MX)のボッチが無く、レバーがペンチのようなもので下側に曲げられています。セルフレバーを操作する時はレンズ下部のボタンを押してロックを外さないといけませんが、それを知らずにかんしゃくでも起こしたのでしょうか? 

シャッターは全く不動です。応急的に作動させるとチャージのロックが利きません。

 

 

巻き止め関係をメンテナンスしてみます。

 

 

以前にお問合せを頂いていました。巻上げレバーの逆転防止機構です。国産ですとコイルバネの簡単な機構だったりしますが、ローラーによるクラッチ機構です。

 

原理は巻き上げ軸が逆転するとローラーピンが飛び出して軸に噛み込みロックをする機構。私の所有するホンダS800のセルモーターもクランク軸にピンが飛び出して固定し逆転はフリーとなるワンウェイクラッチが採用されていますが、同じ原理ですね。孔の狭い方にピンを入れて、後ろにV形のバネをセットします。ここは粘着性の強い潤滑をするとローラーの動きが悪くなり、逆転を止められないので注意が必要です。

ミラーは腐食もありますが清掃で再使用とします。

 

 

下部のボタンを押さずにセルフタイマーレバーを力一杯押した証拠。ロック爪が曲がっています。この馬鹿者は外国人です。

 

ボッチが失われていましたので、仮にミノルタのジャンクからボッチを取って穴あけM1.4のタップを通して作って見ましたが、あまり似合いませんね。

 

フィルムの自動巻上げではラック&ピニオンの噛み合わせが重要。

 

 

巻上げはのレバーの係り位置調整が重要。

 

 

四角の調整ワッシャーは角度によって高さが変わる特殊なものが採用されていますので、分解時はセットされていた位置をマーキングしておきます。しかし、その上に数枚の調整ワッシャーが載っているのは何だかなぁとも思います。

問題フォーカシングダイヤルがビクとも動かない。

 

 

原因はヘリコイドではなく、ダイヤルの片側に大きな打撃を受けて陥没していて、本体側板と接触しているのでした。

 

こっちの方が分かり易いか。軸部が斜めになっています。

 

 

一番大きく変形しているところをダイヤルゲージで探します。

 

 

変形個所をプレスで修正して行きます。ただし、完全な修正は不可能です。作動に問題のない程度に直します。この後も数台作業が続きますので、何かあればUPしますね。

 

巻取り側のスプールは巻き上げダイヤルを引くと飛び出して来ますが、この個体は出て来ません。どこかで引っ掛かりがあるようですが、ルーペでいくら眺めても接触しているような部分が見当たりません。では、取りあえず分離して点検します。

どこが悪いという個所はありませんでしたが、少し歪があるようなので修正をして組みました。あぁ、何とか飛び出すようになりましたね。フィルムを装填するストレスで変形をしたようです。このカメラはこんな故障もあるんですね。

組立はのピンを差し込んであるだけです。繰り出し機構のグリスを交換しておきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


明けましておめでとうございますの巻

2022年01月03日 00時45分00秒 | ブログ

みなさん、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。もう、初詣は行かれましたか? 私はコロナもありますし寒波ですのでずっと家にいます。NHKの紅白も視聴率最低だったようで、最近の地上波はまったく見るところが無いので暇ですからボチボチ作業をして行こうかと・・で、ローライ35以外と思ったのですが、段ボールの中を見ると1台残っていましたので急きょやって行きますね。この個体は#61582XXとシンガポール製で外観もきれいでこのままでも販売出来そうな状態ですが確認のためのメンテナンスです。何やら巻き戻しダイヤルにティッシュのような紙が挟まっています。清掃をしたのでしょうかね? 回転も重いので分解清掃をします。

本体の黒い樹脂ですが、これが材質の劣化で白化して来るんですね。この個体もかなり来ています。ここが劣化しているとみすぼらしいので研磨します。

 

研磨のために分解しました。ジャーマニーとは全く部品構成が異なります。

 

 

このようにしておきました。

 

 

裏蓋に取付けました。

 

 

未分解機と思っていましたが、ネジの1本がスリ割りですね。この頃は+ネジで正しいですが・・

 

シャッターの低速不調の改善と露出計のメンテナンスをしてあります。メーター側の透明窓は平滑性の悪い(スジがあり金型の磨きが足りない)樹脂製(以前はガラス製)になっています。よってトップカバー側の樹脂窓と重なると透明度が落ちます。トップカバーは洗浄と樹脂窓の接着をして取り付けます。

使い込まれた個体ではないのに沈胴が緩めで多少首を振る。するとガイドレールが削られて余計に首を振るようになります。切粉が付着しているのが確認出来ますね。この程度であれば再使用します。

 

フェルトの下に調整用の紙が入っています。これは工場で入れたもので、パーツ設定もされています。マウント部の内径と沈胴部の外径とのクリアランスが大きい場合、調整用に紙が入れられていたと思われますが、そのような調整個体の場合、使い込まれなくとも早期に沈胴が緩んでしまうのではないか? と考えています。

フェルトをセットしました。時計用のキズミがテーパーで外径がちょうど良いのでフェルトをなじませるために挿入します。(私の場合です)

 

他は特に問題のない個体です。レンズの状態も良好です。

 

 

では、今年もよろしくお願いいたします。

 

 

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