今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

20万台のPEN-FTの巻

2019年07月10日 20時13分40秒 | ブログ

20万台の前期のFT #2045XXですけどね。二回巻き上げとファインダーの汚れ、露出計不動がありますが、素性は悪くはないと思いますので書くこともないかも知れません。

 

 

露出計は事前のチェックで電池室部のリード線の半田不良と分かっていましたので、リード線を新製しておきます。

 

 

モルト交換、巻上げ関係を組み立てました。

 

 

シャッターユニットはブレーキリングが固着した状態です。分解洗浄で組み立てます。

 

 

この頃のハーフミラーは、まずダメです。交換します。プリズムに曇りがありますが、不用意にクリーナーを使うとコーティングが剥がれてしまう危険があります。

 

 

シャッターユニットなどは変更後となっていますが、リターンミラーユニットは変更前の仕様ですね。バネがチャット弱い。

 

 

組み立てて作動させてみると逆転防止爪#2が固着していて逆転してしまいます。

 

 

二回巻き上げの修正をして組み立てます。プリズムのコーティングは何とか救いました。

 

 

 Cdsの前面には、ファインダーからの逆光防止のためのブラインドがあります。しかし、最後期の基板別体タイプにはブラインドは省略されています。カタログの記載に偽り有りです。

 

 

 この個体も電池を入れっぱなしにしたため液漏れがリード線を伝わって基板のパターンを腐食させています。この部分への半田付けは出来ません。

 

 

この頃はセルフタイマーはまだ改良前の「ジッジッジッ」タイプが使われています。だからどうだということもありませんが・・これで組立は完成。

 

 

付属の40mmは非常のきれいで未分解と思いましたが・・絞りレバーの動きが非常に渋く、これではカメラがフリーズしてしまいます。原因は外側から絞りレバーに強い力を受けて歪が出来ていたためでした。

 

歪を修正しました。絞りレバーは軽く動きます。

 

 

後玉のアトワクに工具を掛けて滑った痕があります。あぁ、分解したんだぁ・・

 

 

アルミ同志だとね。ネジロックもしていないのに親の仇のように固着して緩まない場合がありますが、これも相当でしたよ。過去に分解をした方は分離出来なかったわけですが、一応プロですから秘密のやり方で外します。

 

 絞り羽根の洗浄、ヘリコイドグリスの調整をして組み立てます。

 

 

絞りレバーは軽く作動します。

 

 

正直なところ、20万台付近の個体は微妙な頃ですね。シャッターユニット、リターンミラーユニットのバネは強化される前ですから、フリクションが大きくなるとどうしても信頼性が落ちて来ます。しかし、巻上げの軽さという利点もあるわけで、バネを強化した後期の個体の巻上げ感覚は、本来のFTのものではないとも言えます。それだけに、調子の良いこの個体は非常に貴重なのです。

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SEIKO セイコーマチックが調子悪いの巻

2019年07月05日 14時00分59秒 | ブログ

その前に、息子の安物クロスパイクですけど、少し前にホイールを新品にしましたが、もうリムに振れが出ていてカンチブレーキのシューと周期的に接触をします。まぁ、ブレーキも良くないのですけどね。それは今度交換することにして、まずはリムの振れ取りをしておきます。あ~、接触点に目のピントが合わない~。接触する音で振れを判断するしかないですね。

で、セイコーマチック6216-9000です。62系は人気がありますよね。

 

 

ケースの傷も多いですが今回は研磨無しです。機械は信頼性が高いので問題はないだろうと思ったのが甘かった。

 

 

裏蓋を開けましたよ。水入りは無い比較的きれいな機械ですが、回転ローターが地板の接触をしていますのでベアリングが摩耗していますね。

 

 

すべて分解をして洗浄が終わったところ。

 

 

6216Aの基礎キャリバーは6218Aとなっていますね。技術解説書を見なくとも組立は出来ますが、正確に組むために指定通りに組んで行きます。

 

 

 では、二番車、二番受をセットから始めて行きます。

 

 

次に筒カナ、日ノ裏車、日ノ裏押エを取り付けます。

 

 

 

香箱と輪列をセットして一番受を載せますが、この時、香箱真と受けのガタ(アガキ)が気にはなっていたのですが・・

 

 

テンプが動きだしましたが、何となく振り角が上がりませんね。

 

 

再度、香箱を点検してみると・・香箱フタに修正の痕があり、↙接触の痕もありますね。の香箱真が摩耗しているようです。これは交換が必要です。

 

 

 香箱を調達中のため、北海道のINOBOOさんの時計ケースを磨きます。一見きれいなのですが、ラグ部分には傷が多くありますよ。ヘアラインも磨滅で光っています。

 

HONDAネームのモデルですがEPSON(セイコー)製ですね。

 

 

基本手磨きでラグ部分のみリューターを使いましたが画像撮り忘れました。Oリングにシリコンを塗布して裏蓋を閉めます。

 

 

こういうオリジナルネームの時計って高いんですよね。青山のホンダ本社やもてぎのコレクションホールへ行くと売ってますけど、高価でとても買えませんね。

 

 

ケースは研磨無しの予定でしたが、オーナーさんのご希望で研磨をすることになりました。この時代のケースは一見きれいに見えても、ダメージは結構あるものです。12時側のラグの先端の打撃による陥没は何をしたのかな。

 

ケース本体とベゼルとプラ風防も傷が多かったので新品と交換した方が良いのですけど、再使用とのご指示ですので研磨をしてあります。

 

 

拡大した香箱穴をポンス台で絞めても良いのですが、すでに過去にもやられていますので6206Aの香箱を調達しました。6216Aは穴石が入っていますので、6206Aとは香箱真のホゾ外径が異なりますので香箱真を入れ替えます。

 

おっ、安定しましたね。

 

 

文字盤、針付けは省略して自動巻き機構のマジックレバーを組み立てます。S4グリスを塗布して組みます。

 

 

ケーシングをして自動巻き機構を載せました。ベアリングは交換出来るタイプですので、デッド部品があれば交換したいところですね。

 

 

回転ローターを取り付けます。

 

 

新しいOリングにシリコンを塗布して裏蓋を閉めます。

 

 

生産完了は1967年10月付近のようですが、この個体1967年7月の製造ですから後期型ですかね。裏蓋のイルカマークは後期型のメダリオン風タイプですね。リューズはこれでオリジナルなのかな?

 

62系の最終形高級機として風格がありますね。文字盤は6216-9010T ADとなっています。針も中央に黒線の入ったタイプですから後期型の仕様ですね。少し時間が掛かってしまいましたけど、セイコーマチック・ウィークデーター39石の完成です。

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SEIKO Liner は良い雰囲気の巻

2019年07月01日 15時54分32秒 | ブログ

わぁ、優勝だぁ。昨夜のF1は久しぶりにバトルのレースで興奮しました。ホンダのエンジンを搭載したレッドブルホンダのフェルスタッペン選手がスタートの失敗にもめげず残り3周のところで見事トップのフェラーリをとらえて優勝しました。ホンダエンジンの優勝は2006年ハンガリーGP以来13年ぶりだそうです。そういえば永いことホンダの優勝は見ませんでした。業績の悪化を口実に撤退参戦を繰り返しては遅れた技術を取り戻すのに膨大な時間と労力が掛かるということをホンダも思い知ったでしょう。レースはホンダのDNA。今後の活躍を期待します。

で、私の好きな非防水時代の時計が来ました。セイコー・ライナー23石はCal.3410 を搭載しています。製造は1963年7月のようです。AD文字盤は表面のニスが劣化した部分があります。

 

当時。大径薄型が流行りとなって、亀戸のゴールドフェザーに対抗して諏訪が出したのがライナーですかね。現状は作動していますが少し進み方向のようです。

 

 

機械は年代相応に修理をされて来た感じです。香箱の穴が摩耗により修正されています。

 

 

二番車は過去に錆が出たようです。

 

 

香箱のゼンマイにオイルを塗布して香箱フタを閉めます。

 

 

では、二番車から組み立てて行きます。

 

 

輪列を組んで一番受けをセットします。

 

 

良く写りませんね。何度も針の抜き差しを繰り返して来た針ですのでハカマが殆どなく止まりませんね。

 

 

まぁ、なんとかしてケーシングをしますが、機械留めのネジはオリジナルではないと思います。頭が小さいためしっかりと機械を固定出来ません。

 

 

ケースがステンレスなので比較的良い状態で残っているのでしょうね。

 

 

左は私の手持ちのクラウンで厚みは約9.5mmありますが、右のライナーは約8mmです。確かに薄いですね。

 

 

真ん中がライナー。いつの間にか私の非防水コレクションも数が増えて行きます。防水時計のケースは鎧を着ているようで、非防水の時計はなんか人間的で着け心地も良いので好きなんですよね。

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