今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

SEIKO クラウン・スペシャルの巻

2019年07月27日 19時50分09秒 | ブログ

その前に、先日やりましたセイコーマチック6216-9000ですが、回転錘のベアリングが摩耗していて地板に当たっていたのですが、オーナーさんが執念で純正部品を入手されて来ました。良く見つけましたね。交換すると回転錘の回転する「ゴロゴロ」という音がしません。これが本来の姿なんですね。

 

で、本題のクラウン・スペシャルです。初代キングセイコーより小ぶりですが、風格のあるモデルで人気がありますね。ケースはJ14100金張り80ミクロンですが、流石に摩耗も激しく良好とは言えません。

 

人気モデルなので、何度も修復をうけていますね。SD文字盤にもキズか多く乱暴に分解をされて来たようです。チリの混入も確認できます。風防は当然交換されています。

 

ラグの摩耗も進んでいます。当時は流行った金属ベルトを着けたようです。

 

 

80ミクロンでも地金が露出しています。

 

 

問題は裏蓋です。右側が激しく摩耗していますが、本来はリューズの位置に来る部分で、リューズを巻く時の摩擦で削れたものでしょう。手巻きはこれがありますね。

 

困ったのは摩耗が進んで穴開き状態になっています。

 

 

外気と遮断できていないのは問題です。

 

 

時計師さんはどのように修復されるのか知りませんが、カメラ屋がやると半田で塞いでおきます。(応急処置)

 

 

Cal.340の機械は意外にきれいです。しかし一難去って、あれれ、機械留めネジの頭が折れていますね。ネジは入ったままです。

 

 

何とか除去に成功。

 

 

文字盤の脚が折れていましての両面テープで固定してあります。

 

 

香箱は金メッキ仕様なんですね。フタが何度も分解を受けて緩いです。

 

 

超音波洗浄をして組み立てて行きます。とくに普通のクラウンと変わりませんので簡単に。

 

 

香箱穴に摩耗が認められます。

 

 

普通のクラウンと違い点は秒針規正装置が追加されていること。

 

 

歩度調整後、ケーシングをしますが、このベゼルはすごいね。歪というより曲がっているレベルです。分解か風防を入れる時に無理をしたのでしょう。修正はほぼ出来ませんので、衝撃でベゼルが外れてしまう危険があります。

 

ストックのクラウンから機械留めネジを調達して留めます。

 

 

このケースでは意味はないかも知れませんが、パッキンをセットして裏蓋を閉じます。

 

 

私が所有の普通のクラウンと。あら返ってケースは小ぶりなんですね。

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/