今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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微妙な頃のPEN-FTの巻

2018年11月10日 18時05分01秒 | ブログ

ご常連さんが入手されたPEN-FT #1853XXですけどね。外観は悪くはありませんが、巻上げのゴリツキ感は大きいです。作動は問題はないようですが、ファインダーの汚れを訴えておられます。

 

また、この頃に多い駒数ガラスの劣化も激しいですね。駒数板が見えません。この頃は全体をゴム系接着剤で接着をしているため、溶剤が樹脂を劣化させたと考えられます。以後の個体では、側をエポキシ接着、透明側をゴム系接着と、1つの部品を接着するために、二種類の接着剤を使用していますが、のにじみ防止対策と思われます。

18万台ではすでに裏蓋の2つのボッチ(フィルム押え)が追加されています。この時は気がつきませんでしたが、巻上げレバーの先端部が下側に曲がっています。

 

この個体は、修理履歴が書かれていますが、メカを分解された形跡はありません。

 

メカを分解する前に不良の駒数ガラスを取り除いて、当方オリジナルの駒数ガラスを接着しておきます。この部品も残り少なくなっていて、簡単な部品に見えますが塗装は何回の工程を経ていますので工数が掛かるのです。今後製作をすると高くなってしまうと思いますのでどうしようかと? 私もいつまでFTの修理が出来るか分かりませんのでね。

では、分解しますが、あぁ、この頃も本体ダイカストと前板のチリが合わないため厚紙を接着して合わせていますね。この後からビニールテープ(糊は劣化に強いタイプ)に変わります。

 

ファインダーの汚れはこんな感じ。ハーフミラーの腐食もあります。

 

 

では、洗浄をして組んでいきます。この頃は緩み止め塗布の真鍮-(スリ割り)ネジのため、分解は困難です。

 

巻上げレバーが干渉している音がする。先端部が下側に曲がっています。修正をします。

 

この頃は光学係のコンディションが厳しくなっています。フレネルレンズもシミがあります。

 

フレネルレンズは洗浄とその他は清掃をします。

 

 

まぁまぁきれいになっていますね。

 

 

カビのように見えますが、プリズムの蒸着面に腐食です。FTでは腐食は珍しいのですが・・

 

前板を組み込んで10回程度シャッターテストをしたら、カチャっと嫌な音がしましたよ。あ~ぁ、リターンミラーが剥離しました。お客様の手元にあった時に剥離した場合は接着工賃を頂戴出来ますが、修理中では頂けません。まぁ、お返しした後でなくて良かったです。

あぁこれか、修理履歴の内容はリターンミラーがフリーズしたのでテンションを上げただけのようです。

 

リターミラーは接着をしました。露出計を載せていきます。

 

 

本体の組立完成。予め接着完成しておいたトップカバーをセットします。

 

 

巻上げもスムーズになって調子は良好です。あとは38mmですが、ピントリングをいじられていて無限でかなり飛び越してしまいます。

 

このレンズは本体に比べてかなり後期の製造です。3mの位置で無限になります。イモネジを観察すると緩められた形跡があります。レンズの清掃と調整をしておきます。

 

電池蓋ですけどね。FTの場合、途中でネジの規格が変更になっていますが、この個体はまだ変更前(左側)のネジピッチ(P)が細いタイプで、簡易的にスケールを当てると約0.5mmのようです。右側が変更後のピッチが広いタイプです。体裁は変更前は段付きで変更後は溝付きになります。

変更後(右側)のねじ山は2条程度の不完全ネジですので正確には分かりませんが、ピッチ(P)は0.7mmぐらいのようです。この変更はピッチが細いと斜めに締め込んで(入ってしまう)ねじ山を壊す事故が多発したための変更と思われます。変更前の個体を所有されているオーナーさんは、電池蓋を閉める時は、一度、半時計回りに回して「コクッ」とネジの入り口を感じてから時計回りに締め込んでください。尚、変更後への改造は電池ホルダー(雌ねじ)側とセットで交換することで可能です。

いろいろありましたが良いコンディションとなりました。山形はすでに寒いでしょうからケースに入ってお帰りです。

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