今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

SEIKO Sportsman のケース側交換の巻

2013年06月09日 22時00分40秒 | インポート

Dscf053711 このモデルは私の私物のセイコー・スポーツマン17石6621-9981の防水ケース側仕様です。一見ステンレス(SS)ケースに見えますが、スポーツマンはSTPというステンレスメッキのケースが標準のようで、SSケースは見たことがありません。材質は真鍮なので、長期の使用によって磨耗と腐食が進んで、普及機クラスの消耗品としては、現存でケースの状態が良いものは殆ど見かけませんね。そこで、入手した新品デッドストックのケースと交換してみようという試みです。

Dscf053861 まず、機械のオーバーホールを済ませておきますが、先日やりました盲人用時計と基礎キャリバーは同じなので簡単にUPです。受けが輪列と香箱と一体なので、ホゾ合わせにコツがいりますね。残念ながら、文字盤に僅かなキズがありますので、過去に分解を受けているようですが、基本的には非常にきれいな機械です。

Dscf053988 ひっくり返して日の裏側。カレンダー機構が追加されています。気を抜くと、このバネがピンッと四次元の彼方に飛んでいってしまいます。

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完成したユニットを新品のケースに納めました。ケース自体の寸法は同一でしたが、リュウズとパイプの寸法規格が異なっており、リュウズも交換することが必要でした。巻き芯はそのまま流用。

Dscf054364 手巻き式のもう一つのモデルチャンピオンと並べてみます。チャンピオンのケース側はステンレス(SS)ですが非防水ケースです。STPケースの方がクロームメッキに近い光り方で、素人目にはきれいに見えます。定価も安く設定されたと思われますので、なるべく安価に入手したい消費者には大量に売れたのでしょうね。現在、ケースの状態が良い個体は、デッドストックなど殆ど使用されなかったものに限られるのではないでしょうか。この個体も実際に使用するのがもったいなくなりましたね。


おじいさんから受け継いだPEN-FV

2013年06月06日 12時36分07秒 | インポート

Dscf052962 ちょっとPENのご依頼が少ないですね。O/Hをお考えの方はよろしくお願いします。そこで、このPEN-FV #130XXXは1968年8月製という使われているユニットはすべてFTの後期型(27万代付近)と同じ変更後の個体です。PENが欲しい現オーナーさんが、おばあちゃんにカメラが欲しい言ったら、おじいちゃんの使っていたカメラとして、このFVが出て来たとのこと。まぁ、奇遇というかDNAですかね。FVを選ぶとは、こだわりのある祖父様だったのでしょうね。永く放置をされていて革ケースに入っていたので、光学系が心配でしたが、全反射ミラーは端に腐食ありだが中央付近は大丈夫そうです。プリズムにも汚れがありますが、コーティングは生きているでしょうか?

未分解機で、圧板を見ると、ほどほどに使われていた程度の個体です。スプロケット軸とアウターの磨耗もほとんどありませんね。

Dscf0532841 シャッターユニットもメインスプリングが長い後期型ですね。スローガバナーの磨耗も少ないようです。しかし、チャージギヤの軸に偏磨耗が認められます。潤滑の問題もあると思いますが、使い込まれていない個体でも磨耗が進んでいる場合があります。この個体が典型ですね。部品の勘合なども影響しているのでしょうか? ギヤの内径の目だった拡大はありません。

Dscf053325 すべてメカ部分の組立が終ったところ。プリズムのコーティングは慎重に拭き上げの結果、剥離を免れています。

Dscf053652 今回は、全反射ミラーは再使用としています。アイピース枠はカケがあるため、交換ご希望でしたので交換をしてあります。ご覧のように、セルフタイマーユニットやリンケージも全て変更後の部品で組まれています。

Dscf053742 革ケース入りが当時の現役機らしいですね。しかし、保管の場合は、湿気やカビが繁殖するため、取り出して保管された方がよろしいです。まぁ、革ケースに入ったままでしたので、放置から守られていたのですけど・・清掃をした38mmレンズを取り付けて完成。

http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/