今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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ちょっとお待たせPEN-FT(B)

2011年05月04日 14時34分35秒 | インポート

Dscf2630331 ちょっとお待たせしてしまいました。手の掛かる作業が続いたもので・・・このPEN-FT(B) #2797XXですが、有名中古屋さんで購入されたそうです。トップカバーの「PEN-FT」が例によって黄ばんでいますが画像では分かりません。触って気が付いたのは、巻上げレバーの樹脂製ストッパーが劣化して、レバーがトップカバーに当ってカチカチ言っている。よくよく観察すると、この部分のビスは皿ビスですが、ナベが付いていますね。巻き戻し側ののビスが1本だけ本来はナベですが皿ビスになっています。単純に組み間違えたのか、それとも巻上げレバーのストッパーとしたのか? まぁ、そんなこと考えてみても無駄なので分解して検証して行きます。

Dscf2631311 結構なお値段で購入されたそうですが、露出メーターが動いていませんね。画像のように固着しています。このユニットは基板別体タイプです。後年にSSにて交換されたものと思いますが、このタイプは製造は新しい(比較の問題)ですから、あまり不良はないと思いますが、の可動コイルのピボットネジがすでにいじられています。(通常はネジロックされています)と言うことは、メーター不良で分解したけど治らなかったという可能性が高いですね。

Dscf263216 メーター本体を点検します。幸いコイルの断線はありません。可動コイルのピボット調整が出たら目になっています。これではコイルは回転しません。再調整をして行きますが、構造は時計のテンプの天芯に似ています。時計で言う「あがき」が必要で、ピボットをギリギリに追い込んでしまうとスムーズに動けなくなります。かといって、あがきが大き過ぎても姿勢差によっても正確に動かないことがあります。画像のように、抵抗なく作動して、速やかに0点に復帰するように調整をします。

Dscf263588 シャッターユニットを分解洗浄して点検して行くと・・・巻上げの#1ギヤ軸の磨耗が進んでいますね。上下カバーの塗装も塗装の磨耗(てかり)がありますから、丁寧に使い込まれて、途中で露出計の交換も受けて来た個体でしょう。この軸の場合、#1ギヤの内径の磨耗具合にもよりますが、2回巻上げとなっても不思議ではない磨耗状態です。

Dscf263647 露出メーターは感度良好に復活させました。よって、ハーフミラーも新品と交換してあります。このタイプのメーターは作動不良は少ないため、いじり壊したというところでしょう。その他、セルフタイマーの作動が途中で止まります。これは、リンケージレバーの調整範囲を超えて帯板を開かれいてるため。理屈の分からない人はいじらないように。その他、ターミナル接片のリード線が欠品のため、部品取りとして付いて来たジャンクから調達して半田付けしてあります。ジャンク同梱のお心使いは大変助かります。

Dscf2637481_2 このように完成しています。そろそろトップカバーの角は真鍮が出始めのそれなりに使い込まれた個体でした。入手時の状態としては少しお高い買い物と思いますが、仕上がってみると多少のギヤ鳴りはありますが、巻上げも好調、シャッターの調子もよろしい。結果的に露出計ユニットも新しい基板別体タイプが正常に作動していますので、なかなか良い個体となりました。トップカバーの「PEN-FT」は入れ直してあります。横の時計は今いじっているセイコーマチック、ウィークデータ26石。ちょっと大柄ですが、この頃のセイコーデザインが完成された姿で存在感のある立派な時計です。特に曜日の窓が6時位置にあるのがデザイン的に気に入っています。何故か、この後のモデルは3時位置の日付窓と並んでメガネになりますが、標準的過ぎると言うか、遊び心がなくて好きではありません。グランドセイコーなどの基礎となった時計ですが、何故か評価は低くて安値で入手できます。私は好きですね。


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