今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

珍しいゾーンフォーカスのオートハーフ

2011年12月15日 19時32分52秒 | インポート

Dscf313119 今日はね。胃カメラ飲んで来ました。私、初めての経験で、オリンパスの内視鏡のお世話になって来ました。あいにく、鼻からの予約が取れずに、口腔からのやつでしたが、まぁ、画像に写って一目瞭然ですね。すばらしい技術なんですから頑張って欲しいですね。

で、帰ってから始めたのはオリンパスではなくて、リコーオートハーフです。珍しいゾーンフォーカス機ですね。裏蓋や前面中央のプラ枠がグレーとなっており、ちょっと趣が変わっておもしろいです。問題は、ゾーンフォーカスのレンズが固着して回転しませんね。の表示がいかにも後付けの感じで微笑ましかったりして。ファインダーの曇り、お約束の裏蓋モルトの劣化などありますが、フリクションモーターは健在のようです。

Dscf313237 カバーを分離して様子を見ます。レンズはヘリコイドも渋いのですが、ファインダーへの表示をするピンを直接レンズ部のカムで押し上げる構造など、負荷の掛かる設計になっています。

Dscf313399 ヘリコイドグリスが変質硬化して固着しており外れません。溶剤を浸透させながら分離しました。ヘリコイドネジの加工も粗く、それもスムーズに回転しない原因です。レンズ自体はきれいですので、清掃のうえ新しいヘリコイドグリスを塗布して組立てます。

Dscf313444 ファインダーを清掃します。対物レンズはガラス製ですが、何故かオートハーフのレンズは清掃をしてもクリアーにならない気がします。PENはそんなことないのですが・・ハーフミラーは腐食がありますが、まぁ、いいでしょう。

Dscf313777うちの古いデジカメではうまく写りません。ファインダー内の距離表示はこのように出ます。その他、フリクションモーターのグリスアップをしておきます。

Dscf313952 トップカバーのファインダー保護ガラスですが、フレーム枠が正確な矩形ではありませんね。ファインダーからも左端に見えてしまいます。これは、PENでは、左側のスリガラス部分はサンドブラスト加工をされているのですが、オートハーフの場合は、乳白のフィルムを裏から貼り合わる構造です。その接着が正確でないためにフレーム左枠が斜めになっているのですね。フィルムの接着が甘い個体の場合は矯正が出来ますが、この個体はビクともしません。修正には、セレン枠の熱カシメを外さなくてはなりませんのでこのままとします。

Dscf313855 オートハーフのメンテナンスで一番面倒なのは、裏蓋のモルトの交換です。まずは、古いモルトをきれいに取り去って清掃をしておきます。モルトは全体を一体で切り出す方法もありますが、頻繁にご依頼がある機種ではありませんので、画像のように4ピースで切り出す方法を取ります。ファインダー用の開口部に注意してください。ハーフなのに縦型ではなくて横型ですね。ゾーンフォーカスの表示部が増えているからです。

Dscf314067 こんな感じですね。圧板もピカピカに磨いてあります。この圧板の取り付けラグの先端が少し曲げられて加工されているのは、組立易くて良いですね。PENは非常に入れにくいです。

Dscf314175 これで完成です。リコーの年表によれば、このカメラはOEM供給用に企画されたモデルだそうで、1963年11月の発売で価格は13.800円だったそうです。当時の貨幣価値からすると、お安くはないですね。3点ゾーンフォーカス、上部のダイヤルにはガイドナンバーが付き、セレン枠や裏蓋がグレー化されているため、普通のオートハーフとは違った印象があります。オートハーフファンは欲しい1台でしょうね。

http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/


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