今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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女性ペンFT使いさんの愛機をO/Hするの巻

2014年09月30日 13時02分34秒 | インポート

Img_5194ネットで私のところを検索してご依頼を頂きました。女性ペン使いさんのPEN-FT #3227XX 1969-10月製の個体はかなり使い込まれて、外観の小キズが多く、フィルム室へのホコリの侵入も多いです。女性の方はメカには興味はなく、純粋に好きなカメラで撮影を楽しみたい方が多いですね。それも正解です。海外旅行の時に緩んでいたセルフタイマーレバーを落してしまったとのことです。かなりくたびれている個体ですが、女性にやさしい私としては、頑張って修復しますよ。



Img_517095カバンの中に放り込まれて酷使したカメラに多いですが、巻き上げレバーがトップカバーに接触していますね。受けるダンパーの変形もありますが、この個体の場合はレバーも曲がっているのです。








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例によって私のデジカメでは写りませんが、かなりホコリが侵入しています。一見、未分解機に見えましたが、過去に分解を受けているようです。








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レンズマウントの裏側。雨の中で撮影されたでしょう?










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かなりばっちいです。











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こっちもね。











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まぁ、淡々と作業を進めるだけです。すべて分解洗浄をしてあります。では、組み立て開始。







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オーナーさんは仕上がりを急いでいらっしゃるので休みなしで作業をしていますので、画像は少ないです。シャッターユニットは超音波洗浄済み。点検のところブレーキナットが緩み気味です。シャッター幕はキズや変形もなくきれい。






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急いで撮影したのでピンボケですね。本体側と前板側が完成しました。










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今日は関東地方は30℃近くまで気温が上がったらしいですね。道理で作業中暑くてシャツを脱いでいました。で、本体は、ほぼ完成で補器類を着けていきます。セルフタイマーユニット、これもきったないですね。時計だったら絶対に動きませんよ。洗浄注油をした後、組み込みますが、例によって、このユニットに適合するレバーを調達しなければなりませんね。

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時計でなくても動きませんでした。完全にアンクルが固着していました。分解修正でやっと目覚めたところ。やれやれ・・










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タイマーレバーの水平もギリギリ取れて、これでメカ部分の組立は終了です。後は露出計などの調整をしていきます。









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分解機は古いシボ革の接着剤を完全に清掃せず、その上から再接着をしている場合が殆どですが、私は性格上それが出来ません。前板やシャッターダイヤルを完全に清掃脱脂した後、シボ革の隙間対策の黒ペイントをしておきます。







Img_518166 次に付属の40mmですが、これも内部にホコリと言うよりは泥ホコリと砂が大量に入っています。どこで撮影されているのでしょう? 不具合は、絞りレバーが異常に重く、工程の最後でさらに重くなるというもの。これによって、カメラ側のトルクでは押し切れなくてフリーズしてしまう。稀にこのように個体を見ますが40mmの設計上の持病なんですね。




Img_518315 結局、レンズの清掃ではなく、O/Hになってしまいました。見積もり間違えました。絞りレバーが重く途中で変化する原因は、カムの偏摩耗と、この個体の場合、過去に絞り羽根の清掃を受けていまして、片側から強引に絞り羽根を拭いたための羽根の変形があります。要するに、コオロギが鳴くときに羽根を擦り合わせる状態。





Img_518551 全て分解洗浄で組み立てています。12時位置が問題のカム。無給油ですので、酷使されると相手のコロも偏摩耗してしまいます。この個体も摩耗が進んでいます。









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25mmの方が使用期間が少ないようでホコリの侵入は少なめ(普通よりは多いです)です。こちらはレンズの曇りが持病ですが、清掃で殆ど良好になっています。









Img_518754 40mmの絞りトルクは軽く改善しています。これで完成ですが、実用でかなり使い込まれているのはうれしいところですが、あまり防水や防塵性能の良いカメラとレンズではありませんので、雨中での使用やカバンへの保管方法には少し気を着けて頂ければと思います。機械は構造を知って、適切に労わって使えば、それに応えてくれるはずです。


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