今月16日(火)より銀座松屋にて「世界の中古カメラ市」が開催されますのでローライ35を3台ほどまとめてオーバーホールをしておこうと思います。最初はGERMANY製(3000201~3311000)ですが、#31488XXですので中期頃の個体になるのでしょうか。破れの無いしっかりとしたケースに入っています。すでに裏蓋開閉レバーはその後のタイプに変更されているタイプです。マニアさんは初期のタイプが良いのでしょうけど、レバー軸に使用過程でガタが多くなってカウンター板を留める爪が外れやすくなり、カウンターが進まないような故障が多いのです。実用なら変更後のタイプの方が良いと思いますけどね。
特に故障の部分はありませんが、各ギヤ列を分解して洗浄注油をして組み直します。巻上げギヤを外してみると・・ギヤの下に入っているはずのワッシャーがありません。ギヤの裏側に張り付いていることがありますので、過去の分解時に紛失したのでしょう。
過去にメンテナンス履歴のある個体ですので低速もしっかりと切れます。レンズも良好です。ファインダーは初期のプリズム式がそのままに残っている頃です。腐食も無く非常に良好です。分解洗浄と注油をします。
シャッターユニットはシャッター羽根とレンズの清掃をしてあります。非常にきれいなユニットです。さすがにヘリコイドグリスは抜けていますので、清掃をして入れ替えてあります。この頃の露出計はCdsが劣化しているものがありますが、この個体は元気で作動します。
全体的にきれいな個体ですがトップ面の中央に歪がありますね。画像のように意識的に目立つようにして分かる程度です。ここは叩くのではなく、押し出すようにして修正をします。結果、殆ど目立たなくなりました。実用のGERMANY製が欲しい方はこの個体はお勧めです。
今日は、車の車検に出しに行ったり引取りに行ったりでバタバタしていました。最近の車検屋さんは一日車検で持ち込みが普通ですが、昔は引取りと納車も来てくれたのにな。安い分だけサービスが悪くなりましたね。で、2台目もGERMANY製で裏蓋開閉レバーが変更された個体#31212XXです。定番の低速不調とヘリコイドグリス抜けなどありますが深刻な故障には入りません。
初期のプリズム式ファインダーは黒い絆創膏のようなテープに巻かれてL型の接眼枠に板バネで固定されています。
露出計窓は2枚重ねになっていて、接着が弱く洗浄時に分離してしまうことが多いので再接着をします。お約束の巻上げレバーアテは製作して取り付けてあります。あぁ、この個体はHONEYWELLのダブルネームですね。特にプレミアムはないそうですけど。
ローライ35のテッサーレンズは回転繰り出しですからヘリコイドが1つのためグリスが抜け易いのです。カラカラに回ります。レンズはカビなどは無く、少しチリの混入がありますので分解清掃をしておきます。あっ、ft機ですね。組立時にmに直しておきます。
無限遠調整をして化粧リングを接着しますが、観察すると前縁に打撃による黒アルマイト剥がれが認められますのでタッチアップをしておきます。全体的には非常に良い個体ですが、ちょっと衝撃を受けたことがあるようですね。受けていない個体は殆どないと思いますけど・・
3台目はローライ35Sのブラックです。今回は程度が良い個体ばかりです。低速不調やファインダーの清掃などメンテナンスをして行きます。対物凹、接眼凸レンズによる逆ガリレオ式ファインダーを分解して清掃をしておきます。
スローガバナーの洗浄注油でシャッターは快調となっています。程度の良い個体でレンズやシャッターに問題はありませんが、ピントリングを回すと「カクカク」とした感触を感じます。
過去にメンテナンスを受けているようで、プレートが貼り直されています。
ピントリングなどを取り除いてガタの原因を探っていきます。と言うか、この場合はグリス抜けなのです。
ゾナーレンズはインナーとアウターにヘリコイドネジがあり、アウター側のグリスが沈胴チューブ内に拡散してネジ部がカラカラの状態になっています。レンズの清掃とヘリコイド洗浄で新しいグリスを塗布して組み立てます。
ガタが消えて抵抗感のあるスムーズな回転になりました。無限遠調整後に前面プレートを貼って終了です。今回は状態の良い個体が揃いました。