今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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連休中のPEN-Fの巻

2018年10月08日 12時28分28秒 | ブログ

お問合せメールを差し上げている複数の方から、どなたも返信メールが来ませんね。手配している部品も届かないので仕掛の仕事が留っています。連休中に仕事をしている方が悪いのですが・・で、予測で作業を始めちゃいます。この個体は、ご常連さんがフリマで救出して来たPEN-F #2044XXと良い頃の個体ですよ。外観もきれいです。現状は不動でしたが、応急復帰をさせて正常に作動するようにはしました。その他、ファインダーに汚れが見えてリターンミラーに傷がある程度。これはフリマとしては良い買い物だったんじゃないですかね? いくらで購入されたのか知りませんけど・・まぁ、PENを見る目は正しいということです。逆にフリマの出店者の方が見る目が無い気がします。

接眼プリズム(PRISM#1)のコーティングが曇っていますが、これはどの個体にも起こっている現象でモルトが悪さをしていますね。

 

当初は全反射ミラーの腐食と思った汚れですけど、プリズムの蒸着腐食でした。

 

 

原因は(PカバーCA5793)と生意気に型番もあるビニールテープの接着糊が悪さをして塗装面を侵して蒸着に影響を与えています。ほんとモルトなどでどれだけ光学部品が被害を受けているのか。。

 

私の手持ちのプリズムは少数ありますけど、この程度の腐食であれば、撮影には影響はないわけですから再使用としたいのですね。数ないし・・

 

では、すべて洗浄してから組み立てて行きます。

 

 

シャッターユニットは良いですね。摩耗も少ないです。

 

 

完成したシャッターユニットを本体に組み込み、前板関係、こちらのプリズムは意外に良好です。保管が悪い個体は黒点の腐食が出ます。

 

巻上げもスムーズでシャッターの調子も大変良いです。さて、接眼のプリズムはどうするかな? まだご連絡がありません。

 

結局、接眼プリズムは、実用上問題ないと判断してそのまま使用して組みました。スムーズに終わるかと思いましたが、駒数板の引っ掛かり、ボタンドメの固着など、やはりフリマ上がりの放置による不具合が出て、少して手こずりました。

巻上げスムーズ、シャッター快調で、まずまずの仕上りになりました。続いてPEN-FV #1019XXと露出計が無いのがお好きですね。初期型としては悪くはありませんが全体のO/Hです。

 

この頃の個体は駒数ガラスの劣化が目立ちます。

 

 

ボトムキャップの接着剥がれ。これ、意外に多いです。

 

 

初期型は-ネジが多用されていまして真鍮ネジですので分解がし難いのです。しかし、ツリカンなどは+ネジより緩みにくい傾向にあると思います。

 

洗浄して組んでいきます。右が今回のFV。駒数板の中心軸のネジが初期は雄ネジ、以後は雌ネジに変更されます。

 

FVの#1019XXはFTで言うと12万台の初期頃ですから、ユニットはすべて改良前ですね。FTは殆どの個体が露出計がダウンしていることから、ジャンクとなって世の中から消え去っていて、FVだから生き残っているようなものです。製造は1967年1月です。スローガバナーもそうです。このユニットは歯車を損傷し易い。

 

チャージギヤ上にワッシャーのようなものが乗っていますね。これは・・分かった。型番のある正式な部品ではありませんが、ベークライト製で分かりました。

 

セルフタイマーとレリーズを連動させるRレバーの裏に接着されいてたワッシャーです。これ、すべてに貼ってあるわけではありません。Rレバーの動きが不安定な場合の補正用ですね。

 

シャッターは初期型なのでバネのテンションが低下していてシャッター羽根が正規の位置まで戻りませんでしたので、やむなく1段張ってあります。

 

ピンセットの位置までしかシャッター羽根が戻りませんでしたが、調整後は正規の位置まで戻っています。

 

ビューファインダーのレンズは、PEN-Fと同じねじ込み式です。その後、スナップリング固定となります。

 

部分的に+ネジが採用されてはいますが、殆どのネジは-(スリ割)ネジの混用時期です。なぜ+ネジに移行したかですが、HIOSなどの電動ドライバーが使えないからです。昔の機械はすべて-ネジですね。零戦もすべて-ネジです。ホンダが二輪の世界グランプリに参戦するため、ヨーロッパへ視察に行って持ち帰ったレーシング部品の中に+ネジがあって、それまでは-ネジで組み立てていたエンジンも以後は+ネジを採用したのでした。

接眼枠は破損していましたので新品と交換してあります。この頃の初期の個体はトップカバーの梨地が細かいというかテカテカ気味ですね。巻き戻しノブはPEN-Fから継承したローレット型で、後に樽型に変更されます。

 

ということで、巻上げの軽い感触は初期型特有のもので、バネが弱いということでもあるんですけどね。初期型のユニットを使った個体としては機械の調子は大変良い個体ですね。

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